倉敷の美観、瀬戸大橋、牛窓の夕陽を見に!【ツールド春休み】岡山編

ツールド×旅Life

プロローグ

ある休日の夕方。ぼんやり見ていた「出川哲朗の充電させてもらえませんか旅~♪」で刺さっちゃったのが岡山県【牛窓】の夕陽。あぁ、今これが見たいわ…。

…というわけで、翌週の朝。新大阪駅で岡山方面への新幹線を待つ私の姿がありました。

山陽新幹線では必ずと言っていいほど利用するのが、日本旅行の「バリ得!こだま」。指定席正規料金より2,000円近く安いので旅のコスト適正化には必須です。今回もしっかりお世話になりました。日本旅行さんありがとう!

朝6時59分発のこだま839号は、子どもの頃に憧れた大好きな500系新幹線。今は8両編成で頑張っています!

現行のN700系は3列+2列の5列席であるのに対し、旧車両は2列+2列の4列席で定員が少ないのですが、その分1席ずつのスペースが横に広いので、実はこだま車両の方が輪行積載に余裕があるのは自転車旅人の豆知識。

新大阪から約80分。到着したのは【新倉敷駅】。迷いに迷って今回のスタート地に選ばれました。というからにはもう2案あって、ひとつは姫路から海岸沿いに牛窓を目指す案、もうひとつは岡山から牛窓の最短コース案を考えていたのですが、どうせなら長い距離で多くのチェックポイントを設定できる方が楽しいだろうと考えて、倉敷から牛窓までのロングコースという結論になりました。

そしてこの【新倉敷駅】は初めて降り立つ地。このドキドキ感も旅には欠かせません。また新しい景色が頭と心にインプットされます。この頭の中の白地図が塗られていく感覚がたまらない。

これが今回の行程。【倉敷】から瀬戸大橋の付け根【児島】まで南下し、岡山市街を通り抜け一気に【牛窓】まで走り抜けます。総距離130km、獲得標高1,000m、実走行時間7時間の旅がスタートです。

江戸時代からの古き良き町並み【倉敷】

山陽を走るのに基準となるのが「国道2号線」。ひとまずこれに乗って【倉敷】を目指すことにしましょう。

しかし自転車旅の注意事項として、「地方の国道の高架・バイパスは、自転車走行が可」という絶妙なワナが潜んでいます。というのは「自転車進入禁止の標識」がないのでそのまま高架道路に乗ってしまったが最後、高架区間終了まで恐怖のハイスピードライドを余儀なくされるのです。今回も例にもれず勢いで乗っちゃいました…スタートしてすぐ、心臓に悪いわ…。自転車旅をされる方にはおなじみの「あるある」ですが、これから遠くに行ってみたい人は地方の国道には本当に気を付けてくださいね。

【新倉敷】から【倉敷】までは約10kmと少々距離が離れているので、2号線と側道を駆使して東へ進路をとります。岡山横断では大きな川を幾度かわたるのですが、まず渡るのは【高梁川(たかはしがわ)】。広い河口はそのまま瀬戸内海につながります。それにしても雄大な景色ですねえ。

そしてたどり着いたのが、本日の第1チェックポイントの【倉敷美観地区(くらしきびかんちく)】。江戸時代から続く昔ながらの白壁や柳並木などの街並みが文化財として保存されたエリアです。当然倉敷観光のメッカなのですが、この風情と風景をぜひ写真に収めておきたかった。

朝9時。早朝とは言えないまでも観光客はまだまだ出足段階で、比較的人が少ないのがポイント。これでこそ風情が際立つというもの。

美観地区のメインストリートもこんな感じ。そしてさすが【晴れの国、岡山】。この日も快晴!黄砂の影響か、遠くは霞がかっていますが旅人には嬉しいロケーションすぎます。

軒下の小物が粋だったり…

ツタの絡まる喫茶店にロマンを感じたり…するのです。

桜は葉桜。散り終わりの時期でしたが、花吹雪がまた風情を煽ってくれます。なんども言いますが、人が少ないのがいいですね。行くなら朝早くがオススメですよ。

「珈琲エル・グレコ」。時間の都合であえて入りませんでしたが、とても素敵な雰囲気です。建物は大正時代からのものだそう。ここで飲むコーヒーは美味しいんだろうなあ。

船頭さんが漕ぐ「川船流し」。柳に囲まれた水路がなんとも風流。旅をしていると、時々目の前に日本の原風景が現れては心を癒してくれます。江戸~大正時代を生きてきたわけではいないけれど、懐かしさを感じるのは日本人のルーツが遺伝子的に組み込まれているからなのでしょうか。

これだけ見ると江戸時代そのもの。

白壁に杉焼き板の街並み。さすがに美観地区というだけあって美しい町並みです。この建物が普通に現役の証券所だったりするからスゴイ。街づくりが徹底されていますね。

好きすぎる建物群。

この壁がなんとも好き。タイルのようでタイルでない。これは平瓦をつかった「なまこ壁」。目地が立体的に盛り付けてあって独特の模様に見えるんです。岡山ではところどころでこの壁を見ることになるので覚えておいて損はない。

小さな小物もいちいち素敵。自転車旅ではこういう品物が荷物になってしまうので買えない悲しさ。

水路のあるメイン通りから一本入ると、そこも古き良き街並み。小さな旅館が並んでいますが、こういうところに一度は泊まってみたい。(でも、きっとお高い。)

自転車旅のいいところは、こういう観光地を効率よく回ることができるところ。美観地区は1時間くらいで2周くらい回ってしまいました。

美観地区を満喫した後は、レンガとツタの【アイビースクエア】へ…

…ん!?なんだか朝から物々しい雰囲気ですよ!?。写真に写ってるのは全員警察の方々。制服警官と私服の刑事さんがあらゆる角と出入り口にスタンバイされています…。きっとこの日、なにか良からぬことが想定されているんですね…。ということで、ここはビビッて入れなかった私。

警察の厳重な警戒の中、なぜかあちらの角からはほのぼのしたBGMが。「そばかすなんて♪気にしないわ♪」という歌声は堀江美都子さんではないですか!…とおもったら、原作の「いがらしゆみこ」さんの記念館でした。美観地区のそばにあって、景観に迎合しない赤と白の建物は、楳図かずおさんの邸宅のような存在感なのでした。(笑)

鉄道駅と港町【下津井】

倉敷美観地区をあとに、ここからは一気に南下します。瀬戸大橋の付け根、児島半島にある【鷲羽山(わしゅうざん)】そして倉敷とはまた違う古い町並み【下津井(しもつい)】が次のチェックポイントです。

河口に連なる大規模コンビナートの迫力。メカ好き男子としては工場のパイプラインや工場夜景は大好物。…なのですが、この日は霞晴れでかすんだ工場群にディストピアを連想し、この時は「怖い…」と感じてしまいました。とにかく規模が大きすぎて異様な光景です。ロケーション次第で感じ方が変わるんだなあ、と変に納得。

【下津井】に向かうには越えなくてはならない【鷲羽山】。そのてっぺんに位置するのが【鷲羽山ハイランド】。観覧車が見えてきたので峠はもう少しです。…それにしてもこの遊園地、落ちモノ系ばっかりだ…(笑)

大した標高もないので、楽々のんびりクライム。このトンネルが峠ですね。

「おおーーー!!」

自転車旅では独り言や感嘆が勝手に出るんですが、こういう光景があると仕方ないですよね。トンネルの奥に見える景色。その先には海、そして【瀬戸大橋】!!こういう景色との出会いがたまらない!だから自転車旅が好きなんです。

「晴れの国、岡山」。トンネルを抜けると最高のロケーションが用意されていました。圧倒的なスケールの絶景が目の前に広がります。春霞もかえっていい味を出してくれていますね。これ、ほぼゴールでいいんじゃないか…という発想が頭をよぎるものの、今日のゴールは【牛窓】ここはまだまだ経由地です。

峠を抜けてすぐ先にあるのが【鷲羽山ハイランド】、いわゆるB級レジャー施設としてその名をはせる「ブラジリアンテーマパーク」なのです。見た感じスリル系のものしかありません(笑)

入口のスロープが陽気すぎて…さすがブラジリアン!映えるじゃないか(笑)

バス停には気になる案内。「自転車ラックバス」。たった2台の積載ですが、ワイルドな装いは試したくなる…ものの、高価なバイクはリスキーに思う。しかし圧倒的ローコスト。

遊園地なんて行かなくなって何年たつんだろうか。そして私はこの先遊園地にいくことはあるんだろうか。とか変な心配をして、入口で「行った」ことの証明写真を撮っておく私。

さあ、ここから一気にダウンヒルすると【下津井】です。

「下津井駅~下津井駅~」と車掌さんの声が聞こえてきそう。ここは廃線になった下津井電鉄の終点、【下津井駅跡地】です。地図で見かけてどうしても寄りたくなった場所。

地元では「下電(しもでん)」の愛称で親しまれてきた鉄道の廃線敷と旧車両がそのまま保存されている場所。地元ではこの廃線跡を巡るサイクリングコースもあったりと、観光資源としても活用されているようです。ここは入場自由なのでこういった写真もとれてしまう。うーん、貴重な光景ですね。

鉄道に詳しいわけではないのですが、なぜか自転車旅には鉄道が絡んでくる。輪行での乗車だったり風景としての鉄道だったりと、切っても切れない縁。だから結局こういう場所には訪れてしまうわけで。

ここは廃線跡なのですが、おそらく有志の方で保存&お手入れされているのでしょう。お花畑にも地元の愛を感じます。鉄道には地域性というのも浮かび上がってきますね。

保存されている車両には錆もなく、きれいな形で保存されています。おおきな原っぱに佇む赤い車両がとても美しく、風景の素敵なアクセントになっています。

公民館的な建物の2階は「小さなてつどう館」として利用されていました。

下電車両の部品をコツコツと集めて少しずつ設置している発展途上の「てつどう館」。ここにも地元の愛を感じますね。なんだかほのぼのします。

【下津井】は港町でもあって、小さな湾にはボートや漁船が並びます。旅中の景色の移り変わりは面白いもので、ここからまた旅のステージが変わってきますよ。

海岸沿いのどこからでも見える【瀬戸大橋】。圧倒的な児島のシンボルですね。時折橋の下を通過する列車がそのスケール感を引き立ててくれます。

行きの新幹線で行程に加わった【下津井町並み保存地区】。町の中心部が倉敷なら、海の玄関口は下津井。開運で財を成した商家を中心とした港の街並みが保存されています。

港にあたるので、漁協の販売所やこういった小さな?商店が海鮮を扱っています。こういう手作り感あふれる市場の風景も好きだなあ。干物とか買いたかったけれど、自転車旅では積載の関係上我慢せざるを得ないのが悲しいところ。

倉敷とまた違った海辺の街並み。海辺の家々の杉板率が高いのには何か理由があるんでしょうか。

ここは【むかし下津井廻船問屋(むかししもついかいせんどんや)】。大きな商家をそのまま資料館として活用しています。

立派な内装と間取りは武家屋敷のよう。士農工商で最も位が低いはずの商人ですが贅を尽くした立派なお屋敷は当時の世間にどのように認識されていたのでしょうか。

素敵な箱庭は庶民とはかけ離れた世界。

瓦葺に白屋根の立派な御殿です。

一方、路地を入るとこんな感じ。焼き杉板の家々が並ぶ光景はどこかノスタルジック。

小高い丘の上に見えるお寺。きっと昔からここにあって、港町を見てきたのだと思う。

そろそろお昼時なので、どこかに食堂はないものかと下津井の路地をウロウロしていたら、いい感じの商店街を発見。お好み焼き屋がいい香りを出していたけれど、やっぱり海鮮が食べたい…と断念。

岡山名物【たこめし】を求めて

港といえば漁船。私的には「港に密集した漁船」フェチなので、こういう眺めにめっぽう弱い。そして残念ながらこの漁港にお食事どころは見当たりませんでした。

高台から見えたのは「あおいうみ」という素敵なワード。海が青いに越したことはない。青は平和の色でもあります。

気が付けば13時過ぎ。このまま港町を彷徨ってもらちが明かないので、文明の利器スマホで近隣の食事処をチェックしてたどり着いたのがココ。【ふく仙本店】さん。ここで「たこめし」を食べるのです。

店内は回らないお寿司屋さんのソレ。ひとりカウンター席に座るとテンションが上がります。あれだ、「孤独のグルメ」みたいだ。とひとり悦に入ります。

注文したのは「たこ刺身定食」(1,700円)。私の旅では考えられない高価格帯のお食事です。(笑)

釜めしにはふんだんにタコが入っていて、噛めば噛むほど味がしみだしてきます。うん、うまい!

たこ刺身といいつつ、しっかり魚介の刺身も入っています。タコつぼを模した入れ物にぶつ切りのたこが山盛り。コリコリとした歯ごたえなのにみずみずしさを感じるタコ独特の触感と味を堪能します。海藻類も含めて美味しくいただきました。

普段はコンビニ飯で済ませがちなんですが、やはりしっかりとご当地のメニューをお食事処でいただくというのは格別ですね。貧乏旅なので何度もは無理ですが、時には一食こうしてしっかり採っておくと旅の満足度は上がります。【ふく仙】さん、ごちそうさまでした!

海にかかる巨大建造物【瀬戸大橋】

いよいよ瀬戸大橋ゾーンへ。海辺の道を走っているとサクッとくぐれてしまいました。「橋感」よりは「道路感」を強く感じるのは明石海峡大橋とまた違うところ。きっとこの瀬戸大橋には鉄道が走るので、その分大きく頑丈につくる必要があったんでしょうね。

横から見るとトラス構造が美しい!わかりやすい遠近感がいいですね。

この瀬戸大橋を展望台から眺めたいので、鷲羽山の上を目指してペダルを回します。

その途中で出会ったのが、少しレトロな装いの【下電ホテル】。下電といえばさっき寄った廃線跡ですね。ロゴの素敵さに思わず足を止めてしまいます。

このホテルの入口には廃線跡で見たのと同じ形式の車両が展示されていました。こんな斜面に鉄道路線と鷲羽山駅が本当にあったどうかは知りませんが、雰囲気の作り方は絶妙ですね。

そしてここが【鷲羽山展望台】。瀬戸大橋を遠くまで見通せる絶景ポイントです。春霞が惜しいですが、島々に橋脚を立てて香川県の坂出までつながる橋は「鉄道併設橋梁」として世界最長です。

手前の九十九折と海と橋。このロケーションも最高です。いつまでも見ていられる。

展望台のレストハウス。岡山定番の土産物のほかに、デニムの小物がたくさん。そういえば児島には【ジーンズストリート】があった。ということは…この後寄らねばなりませんね。

家族連れが地面に寝そべって写真を撮っていたので、見てみると【ポケふた】がありました!ポケふたのご当地をさんざん旅してるくせに今まで気づかななったアイテム。インスタでその存在を知り、今回初めて発見しました!「ルカリオ」は知ってるポケモンでしたよ。でもきっとこの先の旅でも見落としまくるんでしょうね。そもそもポケモン世代ではありませんし…。

クラフトマンシップの街【児島ジーンズストリート】

瀬戸大橋のある児島はジーンズで有名。なんでも日本で初めてジーンズを製造したのがここ【児島】だったのだとか。瀬戸大橋からすぐ近くということで立ち寄ってみました。

うん。わかりやすすぎるストリートです。逆にここまで説得力のある通りの入口は見たことがない(笑) 。紫外線とかで傷まないのはさすが丈夫なデニム生地だからでしょうか。

工場と店舗が一体になっているお店も多くて、作り手と売り手がセットになった職人によるアーケード街というイメージ。

残念ながら、ここでジーンズを買って帰ることはできませんが(デニムのサイクルジャージがあれば考えたかもしれない…)せっかくなので、ストリートをゆるポタ。

販売なのか、廃棄なのか、再利用なのか。こういった光景から作り手の姿が見えるいい通りです。

全長400mくらいの元商店街を「ジーンズストリート」として活用されていますが、かなりオシャレに仕立てられた通りです。中心にある広場には写真映えする休憩所も。

石柱にジーンズが巻いてある。というのも斬新。これで傷んでいかないのだからジーンズってすごい。

ちょっと悪乗りした感のある「インディゴソフト」。青い食べ物に目がない変態的な私ですが、昼食のたこ刺身定食に予算のほとんどをつぎ込んだので、泣く泣く我慢の子でした。

日本のエーゲ海【牛窓と前島】

時は15時すぎ。今回の目的地は「日本のエーゲ海」と称される【牛窓】。なのですが、ルートがあまりにも考えなしだったので、児島から以降は途中の立ち寄りをすべて排して、ただただ愚直にペダルを回します。

あと関係ないですが、岡山は水路の街でもあります(たぶん)。国道は車と信号が多いので、一本横を走るようにするんですが、この景色が一向に終わらない。うん、退屈だ。

冒頭にあるように、出川哲朗さんのごとく「牛窓の前島で夕陽を見る」がこの旅の目的でもあるので、ここからのビハインドは許されません。しかし平地というのはなかなか脚を削りにきてくれます。筋肉疲労で太ももが攣ってくるという症状も出てきましたよ。

事前調べでは、日の入りが18時30分ごろ。ここを走っているのが17時30分。ここからあと10kmほどあるので、立ち止まることはできません。

ということで、脚を止めずにシャッターを切って牛窓の記録を残します。…ぶれぶれだ!(当然)

牛窓から前島へはフェリーに乗船する必要があります。航路は片道7分と非常に近いのですがダイヤが1時間に1本なので、18時10分には港に着かないといけません。今17時50分。標示のとおりだとギリギリ間に合うかどうか…。

最悪フェリーに間に合わない場合は、牛窓から夕陽を見るでもいいかと思ってたのですが、なんとか10分前に到着です。周りはすでにオレンジ色に染まってきていました。

少しゆっくりできるので、港の風景を写真に収めます。白壁に杉板の家が連なるのは瀬戸内の港町の特徴でしょうか。この風景には何か共通したものを感じますね。

夕陽が大分傾いてきました。なにやら金曜ロードショーのような光景がノスタルジック。しかし、ここから日没までの太陽が動く速度はすごく早いんです。

多島海と小さなフェリー。絵になる光景ですね。

フェリー着岸!受付はなく、乗り込んだ船内で料金を払うのは尾道の渡船と同じ方式なのです。

先週のテレビで出川さんが行ってた場所だから、こんな天気のいい休日はミーハーなファン(=自分)で一杯のはず…と思っていたのですが、なんと乗船は私ひとりと地元の方1人だけ。ほぼ貸し切りカーフェリー。

夕陽に照らされた船体がとても美しい。地元の方はずっと車内だったので船内は私一人。自由行動が可能です。(笑)

「おおぉぉー!」船体正面からのぞむ瀬戸内の海と空。橙と青が重なって何とも美しい!

船内から望む夕陽が美しすぎて…。海面に反射する一筋の光芒は本当に天気の良い日にしか見られません。

この橙と蒼が重なる瞬間が好きすぎて。いわゆる「マジックアワー」ですね。

たった7分の乗船ですが、船の上からこの日一番美しい光景をしっかりいただきました。さあ、ここからラストスパートです。時は18時20分、日没まであと10分!!!

前島は全周4kmの小さな島ですが、島全体が国立公園に指定されています。実は社会人になりたての頃、社員研修で訪れた場所でもあり、ほんの少し自分のルーツ的な場所でもあります。この島で目指すのは有名な展望台ではなく「とある丘の上」。出川さんが地元の方に聞いたマル秘スポット。

「ゴーーール!!!」。勾配10%を超える激坂で脚が攣ってしまったものの、根性の押し歩きでなんとか目的地へたどり着きました!

日没には間に合った…??。そっか、夕陽の前に島があるから、海に沈むのは見られないんですね。ということは、やっぱりさっきの船内からの夕陽が本日のサンセットでした。

ここは充電旅のゴール地でもあって、もっと人がいるかと思いましたが、私一人で独り占め。なんていう贅沢なんでしょう。夕陽は島の向こうにあるものの、空を紅く染めてくれています。

出川さんの座ったベンチにひとり腰掛け、陽が沈み切るまでゆっくりとした時間を過ごします。「日本のエーゲ海」と言われる【牛窓】そして【前島】。エーゲ海なんて行くことありませんが、きっと勝るとも劣らないこの風景。本当に美しすぎますね。

自転車旅ではいろんな瞬間で「生きてる」って感じることが多いんですが、それは「何かをしているとき」が多いような気がします。それはペダルを回して坂を越えることであったり、トラブルを解決することであったり、美味しい料理に舌鼓をうつことであったり…

でも久しぶりに、ただただ「なにもしない」ということに「生きてる」を感じることができました。小さな島に自分ひとりぼっちで、海と空を眺める。これが私の自転車旅のスタイルで、とても大切な時間なのです。

出川さんベンチ(勝手に命名)は全部で5つ。ベンチとこの場所自体も地元の方が善意でつくり開放してくださっているようです。賑わいよりは落ち着く居場所が似合う場所として、自転車旅の方はぜひ(探して)訪れてみてはいかがでしょうか。

戻りのフェリーは19時出航。例の展望場所から下りで5分なのであっという間。島には約40分の滞在でしたが、心は満たされ大満足。春とはいえ、陽が沈むと冷え込んできたので待合室でぼーっと。こんな時間も好き。

帰り便は完全に貸し切り!なんかすごい贅沢。フェリーの船長さん(?)は私のことをしっかり覚えてくれていました。嬉しいけれど明らかに夕陽だけを見に来た観光客でスイマセン。ちなみにこの船で脚攣り&筋肉痛の症状がひどく、マグオンとスポドリを補給。帰りのライドに一抹の不安…。

陽は完全に落ちて、空の色は橙から紫に変わっています。”紫だちたる雲の細くたなびきたる”がしっくりくる眺めでした。

牛窓港に明かりが灯り、夜が来たことを知らせてくれます。今回の旅のゴールは無事クリア。ここからはナイトライドで岡山をめざしましょう。

エピローグ

結局、牛窓から岡山までの自走は早々に諦めました。脚がもう回りません。スマホで調べると最寄りは【JR西大寺駅】。牛窓から約15km、ここまで走って輪行で岡山駅を目指す作戦に切り替えましょう。こういうフレキシブルな対応も自転車旅のメリットです

JR西日本の赤字路線の公開が最近の話題。休日の岡山行き、19時台の便ですが…乗客は数えるほど。経営側の支店もお察ししますが、旅人してはこういう路線が結構大事。なくなってほしくない。

国鉄型車両のインパネが格好良すぎて。祖父が国鉄勤めで整備担当だったので、こういうところに思い出があったりするのです。

疲れ果てた旅人を岡山まで運んでくれたのはJR山陽本線の黄色い車両。この子にはピンチの際毎度お世話になっているような気がします。ほんとにいつもいつもありがとう。長生きしてほしいなあ。

20時58分発のこだま号は、これまた憧れのレールスター!紺とグレーの車体がカッコいい!

やはり輪行には2列席の車両がピッタリ。特大荷物置き場にバイクを積み込んだら、あとは走行ログと写真の整理にゆっくり取り組めます。

岡山駅では半額になったお弁当を購入していたので、ちょっと贅沢な食事になりました。押し寿司とご当地ビールで乾杯!うーん。今日もいい旅でした!

旅のまとめ

今回の旅のコースはこの通り。倉敷~児島まではゆっくり見どころを追っかけましたが、小島から牛窓は30km以上をどこにも立ち寄らず、ただ移動だけという修行ステージになっちゃったのが反省点。この区間の記憶がほとんどないのがいい証拠。春先ですが気温が高く天気も良すぎたので、若干ばて気味であったようにも思います。

岡山には何度か訪れていますが、行くたびに違うルートを走れているのは嬉しいこと。とても広い県内に見どころやコースがたくさんあるのはいいですね。大阪からも近からず、遠からずなので、ちょっとした旅気分を味わうにはちょうどいい場所です。なにより【晴れの国、岡山】を名乗るだけあって、晴天率がすこぶる高いのは旅先ポイントが高いですよ。

<旅の感想>
・とにかく天気が最高!さすが【晴れの国】。お天気統計は侮れない。
・古き良き町並み、海辺の港町、瀬戸大橋に離島、とコンテンツが豊富。これを1日で回れるメリットは測りしれない。
・道路事情は微妙。街の比率が高くて車両と信号が多いのが旅としては若干のストレス。
瀬戸内の景観は最高。とはいえ岡山に限ったことではないけれど。
・万一のエスケープに山陽本線が利用できるのは安心材料。

<旅の反省>
・やはり地方の大型国道は避けた方が良い。あと県道397号線の「岡山ブルーライン」に間違って入りそうになるのも注意点。
・やはり補給か。春先の気温が高い日は水分補給を夏並みに頻繁にする必要あり。今回脚攣りがあったがおそらく軽度の脱水だと思われる。

<行程>
6:59 新大阪発 > 8:19 新倉敷着
8:45 新倉敷からライド開始 > 9:30 倉敷美観地区 > 11:45 鷲羽山ハイランド > 12:00 下津井駅跡 > 12:30 下津井廻船問屋
13:30 昼食・ふく仙
14:15 鷲羽山展望台 > 15:00 児島ジーンズストリート > 18:00 牛窓港
18:10 フェリー乗船 > 18:20 前島着 > 18:30 夕陽の見える丘
19:00 フェリー乗船 > 19:10 牛窓着 > 20:11 西大寺駅 > 20:29 岡山着
20:58 岡山発 > 22:07 新大阪着

<経費>

科目内容内訳金額
交通費バリ得こだま新大阪~新倉敷5,100円
JR山陽本線西大寺~岡山240円
バリ得こだま岡山~新大阪4,100円
牛窓フェリー人+自転車、往復360円
食費朝補給食ドーナツ・お茶210円
昼食ふく仙、たこ刺身定食1,700円
午後補給食あんパン・スポドリ他500円
夕食押し寿司・ビール800円
雑費おみやげ他800円
総計ーーーーーー13,810円

交通費が全体の7割程度で、残りは補給と食事。日帰りの遠方ライドとしては妥当な金額です。

そういえばこの旅は2022年の春のできごと、というのを申し添えておきます。次はどこへ旅に出ようかしら。

おしまい。

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