★このルートのおすすめポイント★
☆ 熊野三社以前の聖地「神倉神社」への登頂
☆ 「熊野速玉大社」と「熊野那智大社」の両方を巡る
☆ 太平洋に面した浜辺と大海原を眺める
☆ 旅館・ホテルが密集する那智勝浦エリアでの「おいしい海鮮」と「日帰り温泉」
2日目ライドのスタート
さて、2日目となる今日は、新宮~那智、勝浦を巡って「熊野速玉大社」「熊野那智大社」にお参りして、熊野三社巡りを完遂させます。
ルートとしては、昨日が山中の「中辺路」(なかへち)、今日は海沿いの「大辺路」(おおへち)を往く形になります。
わかりやすく今日は海の日ということで。
朝は空気が良い&車が少ない。と良いことだらけなので、朝食を済ませたら早めに出立しましょう。
「まえ田」さん、素敵な宿とお料理をありがとうございました!
古の聖地「神倉神社」
まず目指したのは「神倉神社」。
熊野三社に比べて知名度は低いかも知れませんが、ここは熊野三社建立よりも以前、はじめてこの地に神様が降臨された場所という由緒ある神社です。
御神体は山の中腹にそびえる大きな岩。つまりアレ↑↑↑。
ここに行くまでには五百余段の石階段を上っていく必要があります。
見逃してしまいそうな小さな看板を頼りに、路地裏を走っていくと…
「神倉神社」の入り口に到着することができました。
で、見た感じがこれ。登りはじめて20段くらいでギブアップ。
というのも、参道は総自然石の階段で踏みしろがまちまちなのとかなりの急こう配。実際は前かがみで手も使ってよじ登るような感じです。
自転車旅では歩くことも多いのでソールが柔らかいMTB用のSPDシューズを履いてきているのですが、金属クリートが滑って単純にアブナイ。
一旦降りて駐輪場までもどって再考。
危険を冒して怪我をしたら旅は中止。無理はしたくないけれど…引きさがりたくもない。
そこでひらめいたのは「クリート外し大作戦!」
この金属クリートを外しさえすれば…
おお!素晴らしく歩きやすいトレッキングシューズに変わりました!!
あの急峻で危険な石段も難なく(足元だけは)登る事が出来ました。
これ、思った以上に効果が高いのでこれからの自転車旅でも多用しそうな予感。
スタートから三分の一くらいの地点までは急峻な石段ですが、そのあとは歩いて登れる程度に。
長い参道を歩いていくと、とうとう本殿が見えてきました。
新宮の街を見下ろす本殿と迫力の御神体。降臨された神様が宿るにふさわしい場所ですね。
時間が早朝帯であったことと、参道のふるいにかけられることもあって、実際にここまで来られる方は少数。
このロケーションをほぼひとり占めできる環境で、神聖な空気を存分に吸ってお参りを済ませました。
参拝のインパクトとしては熊野三社の上を行きますので、ここはおススメのポイントです。
熊野川で本宮と連なる「熊野速玉大社」
神倉神社から「熊野速玉大社」まではほんの数百メートル。自転車で約5分。
裏路地をすすんでいくと、あっという間に到着です。
熊野巡りの二社目となる「熊野速玉大社」。
市街地にある神社ということで、さすがにここは人が多いですね。
いかにも新宮ぽく朱塗りの鳥居や神殿がキレイです。
驚いた。というか納得したのは、神社のレイアウトが昨日お参りした熊野本宮大社とほとんど一緒だったということ。
特徴的なのは最後の鳥居をくぐって、その正面ではなく左奥に向かって本殿がそびえ、そこから右に長屋のように社殿が連なること。
素人目に本宮大社との違いは、建物が朱塗りされているかどうかだけです。
この既視感には驚きました。
時間もあるので落ち着いて参拝。
ところどころ、「八咫烏」の紋があしらわれているのが熊野大社の証ですね。
事前情報で期待していたほどには大きくなかった「川原町」。
熊野詣での参拝客を招く門前町ですが、熊野川の氾濫にそなえていつでも設置・撤収できる独特の造りをもった店舗が「川原家」です。
今では雰囲気づくりの横丁といった感じでしたが観光地資源としてはいいのかも知れませんね。
伝統の保存食「めはり寿司」を求めて
熊野速玉大社でお参りを済ませて、昼食の買い出しに向かいましょう。
新宮の街は、熊野山地と熊野川に囲まれたコンパクトなエリアとなっていて、ポタリングするのにちょうどよい感じ。
街角のマップをもとにおおよその見当でバイクを進めますが、ところどころの風景がまたいいんですよね。
熊野巡りといえば「めはり寿司」。
古くから旅の保存食として親しまれてきた、いうなれば「高菜おにぎり」です。
熊野古道ライドですから本当は昨日食べておきたかったのですが、前回の記事のとおり、どこにも立ち寄れなかったので…
ということで立ち寄ったのは街中にあった「めはりや」さん。
レストラン形式のお店ですが、持ち帰りも販売されています。
一人前はこんな感じで4つ1パックになっていました。
「王子ヶ浜」で太平洋を感じる
そのまま、勢いで海を見に「王子ヶ浜」へ。
昨晩「まえ田」の大将から、「和歌山でも串本から東が本当の太平洋だ」という話をされたので、ぜひ新宮から水平線を眺めてみたかったんです。
風は穏やかだったとはいえ、瀬戸内とは背丈が違う「波」。凪いではいても「ザザーン」と轟く波音は迫力が違います。
驚いたのは砂浜で有名な白浜とは打って変わって、ここは「石の浜」だということ。
波打ち際は、波で丸められた石で覆いつくされています。
この波とこの石の浜を上がってこられるアカウミガメのみなさん。
大変だと思うけれど…がんばれーー!!!
あの水平線の先には、当分何もないんだなあ。(たぶんこの先の陸地はパプアニューギニア)
…と想いを巡らせながら、早めの昼食「めはり寿司」。
4個ですがかなりおなか一杯になりました。
熊野巡りの終着点「熊野那智大社」と「青岸渡寺」
いよいよ最後の熊野大社「熊野那智大社」へ向かいます。
和歌山海沿いをおなじみの国道42号に沿って軽く走ると、あっという間に那智駅に到着。
この区間10㎞もなくてかなり近い印象です。
那智駅は「熊野那智大社・那智の滝行きの拠点」になるので、駅も存在感がある朱塗り。
併設する形で観光案内所があります。
ここでトイレと水の補給をして、いよいよ2日目のヒルクライム。いざ那智大社へ。
那智駅から山上の「熊野那智大社」までは10㎞にも満たない距離で、つづら折りはあれど斜度は普通(強くても6%程度)。
ひとりごとをぶつぶつ言いながら登れるくらいの余裕はあります。
途中、いわゆる表参道にあたる「大門坂」がありますが、コチラは徒歩専用。
本気参拝の方々やハイカーの方々はここから数キロを歩いて行かれるようですね。
自家用車なら、那智の滝やその奥の那智大社のふもとに駐車場があるので、乗り入れのファスト参拝も可能。
自転車は山上まで適度なヒルクライムなので、修験道ぽさがあっていいですね。
途中、車道から「那智の滝」が拝めるポイントが!!
ここは写真だけとって、改めて参拝後に立ち寄ることにしましょう。
車道を一番上まで上がると観光案内所。
ここの公衆トイレ横に自転車をとめて、まずは「熊野那智大社」へ参拝です。
ここまでの車道、そして徒歩で上がる参道はいわゆる「お土産街」になっています。
香川の金刀比羅宮参道までとは言いませんが、世界遺産の看板がかすんで見えるほどにはにぎやかだ。(笑)
参道から見下ろす景色は、どことなく尾道を思わせる立体感。
ひたすら石段を登ることになるのですが、自転車でのヒルクライムに比べたら楽勝。
徒歩約15分で「熊野那智大社」の境内に到着しました。
結構な高台まで上がってきたようで、眼下の景色が広く美しい。
山の切れ目からは太平洋がのぞきます。
熊野大社といえば、ここにも「八咫烏」(ヤタガラス)。
サッカー日本代表ユニフォームのトレードマークでもありますが、お導きの鳥なんですね。
私の人生も良き方向へ向かいますように。
那智大社で目を引いたのが、御神木「大楠の洞」。
樹齢800年を超える御神木の根元に空いた大きな洞は、そのまま内部を通って上部にある幹の出口に通じている。
どことなく「となりのトトロ」を思わせる自然の神秘ですね。
護摩木をもってここをくぐると御利益があるということで、家内の安全を祈願しておきました。
那智大社に併設しているのが「青岸渡寺」(せいがんとじ)。
熊野那智大社から門をくぐってすぐ。1秒で着いた。(笑)
明治の神仏分離令で無理やり別れさせられたのですよね。というくらい神社と寺院は別々に、されど同じ場所にあるのです。
この青岸渡寺の高台から有名な那智の滝と朱塗りの三重塔の景観写真が撮られるわけですが、まさかの三重塔がメンテ中!!
…って、私の旅ってこういうタイミングに重なることが多いですね。
これも一つの思い出としましょう。(道後温泉でもこうだった…)
休憩したくなるくらいには歩いたので、観光センターで「黒蜜ソフトクリーム」を注文。
和歌山ではいたるところに「那智黒」ののぼりが立っているので、食べないと罰が当たりそう。(笑)
名勝、されど御神体「那智の滝」
青岸渡寺にもしっかりお参りをしたらバイクで少し下って「那智の滝」へ。
いろんな滝を見てきましたがここは初めて。
おそらく日本でもっとも有名な滝といっても過言ではないでしょう。
この滝はただの滝ではなくて、「飛瀧神社」(ひろうじんじゃ)の御神体そのもの。
自然に神が宿る、自然信仰・山岳信仰が熊野の神々の本質なんですね。
300円を奉納すると小さなお守りをいただけ、滝のすぐ近くまで参拝できます。
ここまで近づくとさすがに迫力が違います。圧倒的な落差と水量!!
八咫烏かわいい♪
さて、これで今回の大きな目的である熊野三社めぐりを完遂することができました。
石段を戻って、バイクにまたがったらダウンヒルにて市街地へ向かいましょう。
那智勝浦「ホテル浦島」の洞窟風呂
2日目は熊野巡りをスムーズに終えることができたので、今回の隠れ目的地に行く時間が確保できました!!
その地とは、那智勝浦にある「ホテル浦島」。
ズバリの目的は、その中の洞窟温泉「忘帰洞」と「玄武洞」での日帰り入浴です。
先に書いたとおり、和歌山南部は大阪からのアクセス上、訪れにくい場所なんですが、いろんなメディアで紹介される「ホテル浦島」はいつか行ってみたい場所の一つだったのです。
ホテルは半島の離れにあって、フェリーで上陸するというスタイル。
しかし港にあまり人の気配がないので、誘導のおじさんに聞いてみると「今日は遊覧船がでないから、駐車場からのマイクロバスを利用してください」とのこと。
なるほど、風が強い日ですもんね。
ということで約1㎞程離れた(!)駐車場にいくと、自転車を止める場所とマイクロバスの待合を案内してもらえました。
バスは不定期運行ですが、基本的には人が居たら動かすスタイルのようで待ち時間はほぼなし。
しかしフェリーで行くような場所にマイクロバスでどうやって行くのか、と思っていたのですが、まさかの「私設トンネル」をくぐっていくという荒業。
しかも細い私設トンネル内にはいくつかの交差点まであるなんて驚きです。バス内でもお客さんがざわついていました。(笑)
これはもう「要塞」ですね。個人的に「勝浦のジャブロー基地」と呼ぶことにします。
半島を丸々利用して作ったホテル。ただただ広く大きい敷地と設備に驚かされます。
ここは日帰り入浴も受け付けてくれていて、1,500円で施設内の温泉をすべて利用できます。
ロケーションを考えるとこれでも十分安すぎる気がするんですが。
チケットを購入して説明を受けたら、早速温泉へ。
でも実は、帰りの電車時間との戦いが始まっているので、あまりゆっくりはできません。
天然洞窟温泉の「忘帰洞」「玄武洞」にはぜひとも入っておきたかったので、この2か所に絞って入浴です。
当然温泉内の写真はありませんが、その迫力たるや。
目の前に波しぶき、浴槽は人工だとはいえ洞窟全体はホンモノ。
そして、こんなロケーションで日暮れの時間帯を楽しめる贅沢たるや。
入浴にあわせサイクリングウェアから通常着に着替えるなど帰宅の準備も整え、本当は泊まりたかったことを惜しみつつ、やはりマイクロバスでホテルを後にします。
残す時間はあとわずか。
夕食に勝浦のマグロを食べようにも港周辺のお店はすべてクローズ。駅前まで自転車を走らせると、アーケードの中に一軒だけあいている店が。
ここはマグロ丼のお店「山賀」さん。
入ってから知ることになりますが、いろんなメディアで紹介される有名なお店な様子。
とはいえお客は私だけ。貸し切りです。
ここでマグロ丼(980円)を注文。
昨日「まえ田」の大将から聞いたのですが、都市圏流通のマグロはほとんど冷凍もので、漁港そばではいわゆる「生まぐろ」がそのまま食べられるのがポイント。確かに触感やうまみが違います。
ボリューミーなどんぶりは完食するのも一苦労。嬉しい悲鳴です。
エピローグ・旅のまとめ
さて、最後は駅前でお土産を買って…とおもったらお店がない!?
探し回って見つけた商店街のお店でご当地のお菓子を買って、予定通り「紀伊勝浦駅」から特急くろしおに乗車。
さて、お土産のターンで気が付いたのですが帰りの電車で大きな誤算。
たまたま夕食をとって乗車したからよかったのですが、特急が停車する観光地の拠点駅とはいえ、紀伊勝浦駅には「売店がない」。
そして、白浜駅にも(この時間)「売店がない」。
つまり、食事も飲み物も、少なくとも新大阪に着く4時間強の時間、手持ちがなければ一切の食事や給水が不可能ということです。
あまつさえ、JRでは新幹線や特急車両での車内販売も廃止されました。これでは「車内難民」となった場合、特にロングライド時などスポーツ後の乗車では脱水など取り返しがつかないケースになることも考えられます。
少なくとも地方の店舗が17時過ぎには閉店することを考えると、日中に帰りの車内補給の買い出しを済ませておくことは、今後の自転車旅においてマストだと認識しました。
みなさまもご注意ください。
そんなこんなで、「白浜駅」で車両を乗り換える際に、ホームの自動販売機で水分だけなんとか手に入れて、無事に帰阪することができました。
1泊2日の今回の自転車旅は、「JR白浜駅」を起点に組み立てた行程ですが、距離も高度も際立って厳しい部分はありません。
熊野古道と熊野三社巡りは、和歌山でもかなり走りやすく満足度が高いルートで快適な旅ライドが楽しめましたので、これから和歌山旅をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
ということで「めでたし、めでたし。」
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