春の晴れた日に【宇治から草津】へお散歩ライド

自転車×日記

ちょっと自転車散歩へ出かけよう

先日の岡山ライドで消耗したのか、一週間ほど疲れが残っていて本調子じゃない…。

というようなことを言い訳にして、次の休日「回復走」と称して、久しぶりに【宇治】から【草津】まで、お散歩ライドに出かけました。

行程はこんな感じ。といっても何度か走っているルートで、宇治から大津までは山越えがあるものの、上りもキツくはなく回復走にはちょうどいいコース取りです。府県境にはところどころ見どころポイントもあるので、日ごろパスしがちな場所にあえて立ち寄ってゆっくりのんびりお散歩ライドを楽しもうという魂胆。帰りは輪行のつもりなので、まっすぐ一本走り抜きで行ってきました。

【さくらであい館】から

自宅エリアから東へ、京都や滋賀を目指す場合には必ず経由することになる【さくらであい館】。ここは桂川・宇治川・木津川の三つの河川が合流するポイントに位置しているので、川沿いにどこへ向かうのにもちょうどいい場所です。とにかくここへ向かって、であい館で休憩しながら行先を考えるというのもアリ。休日ともなれば大阪、京都、奈良界隈のローディーが続々と集まってくるハブ拠点としてもにぎわいます。RPG的に言うなら冒険者の酒場やギルドのような場所でしょうか。

日曜の朝ともなればラックがいっぱいになることも。ここを待ち合わせに使う人も多いようですよ。色とりどりのバイクは見ているだけでも楽しいですね。知ってるバイクはあるかなー。

まさにローディーの基地。売店では狙ったようにバナナやあんパンを置いてくれているので助かります。プチライドの際はここで補給食を確保してスタートするのがいつものパターン。

それでは装備を整えて、宇治川沿いに東へ向かいましょう!

宇治川沿いは自転車道ではないのですが、交通量も少なく快走できます。ここは宇治川沿いの好きなポイント【JPD京都ヘリポート】。小型のヘリコプターが並ぶ姿は少年心をくすぐりますね。一度くらいはヘリで遊覧飛行がしてみたいものです。果たして乗れる日は来るのだろうか。

【宇治】をお散歩

【さくらであい館】から10kmくらいで宇治の旧家ゾーンに差し掛かります。結構立派な日本家屋が軒を連ねているのですが、宇治だけに「お茶御殿」といったことろでしょうか。興味をそそられますが民家なので潜入はできませんね。そしてこのゾーンを抜けると宇治の見どころの一つ【平等院】が見えてきます。

宇治川にかかる【宇治橋】。以前来たときは観光客が多すぎて写真が撮れなかったんですが、この日は午前ということもあり比較的すいていました。社会情勢的に外国人観光客が少ないことも影響しているのでしょうね。今となってはコンクリート橋脚ですが、建設は大化2年(!)、大化の改新の翌年なので、1,000年以上前!?ほんまかいな。

宇治橋のたもとには【紫式部】の石像がありました。相変わらず日本史に疎いのですが、宇治は「源氏物語のまち」だそうです。この時、特に意識はしてなかったのですが、この紫式部さんとはこの旅の途中でまた再会することになるのです。

平等院の【表参道】。以前、平等院を目的に来たときはココが人混みすぎて、とてもバイクで進入できる状況ではなかったのですが、この日はすいていたので今回が表参道デビューです。

それにしても、とにかく「お茶。ですね。イメージしてた宇治のイメージのまんまです。

参道にはお茶屋が軒を連ねていますが、初心者にはその違いがわからないのがツライところ。お茶屋さん同士は商売敵にならないようにすみ分けされているのかな…とかいらない心配をしてみたり。

この日は平等院には入らず外周をお散歩してみることに。季節的には桜が終わって藤の花に切り替わるところですね。

三分咲き、といったところでしょうか。立派な藤棚がわずかに色づき始めています。今まであまり花に興味をもっていなかったのに、ロードを始めてから自然の風景とともに季節の風物詩なんかに興味を持つようになりました。旬の風景はぜひ見ておきたいんですよね。藤の花は鬼滅の刃でも有名?になりましたよね。鬼除けの花でしたっけ。

宇治川の堤防が新緑のトンネルでいい感じ。この日は本当に緑が綺麗でした。

堤防から鳳凰堂を隠し撮り。木々の隙間からなんかいいアングルで撮れちゃいました。

平等院の「裏参道」になるのでしょうか。人の少ないこじんまりした通りです。私的には人混みを避ける習性があるので、この雰囲気の方が好きだったりします。

【天ヶ瀬ダム】に初潜入

そうだ、宇治川の上流には吊り橋もあったっけ。ここも行ったことがないので寄っていきました。平等院から数百メートル、思ってたより近くに頑丈そうな吊り橋を発見。

しっかりした造りに「これ吊り橋?」って思ったんですが、人が乗るとしっかり揺れるんですね。タカイトコロコワイ症の私ですが、足元の板張りがしっかりしていたおかげで無事往復できました。遠くから見るときれいな形の吊り橋ですね。ちなみに名前は【天ケ瀬橋】です。

「その日、人類は思い出した…」で始まるマンガのような。やっぱりダムの堤体って迫力がありますよね。これは【天ケ瀬ダム】。下から見上げるのは初めてなんですが思ってたよりデカい。右下にあるのが関西電力の発電所なんですが、発電施設がずいぶん小さく見えてしまいます。

何度か走りに来ている宇治なのに、今回は初めてづくし。天ケ瀬ダムは私が走るときに限って閉まっているのですが、今回は奇跡的にオープンしていました。これは入らざるを得ません。

受付を抜けると立派なアンテナと建物。おお!なんか基地っぽい!!ウルトラマンの世界観だ。

初めて歩く天ケ瀬ダムの堤体。京都の日吉ダムも規模は大きいですが、構造物としての説得力は天ケ瀬ダムの方がスゴイ!…というのは個人的感想です。

川のように左右に蛇行する細長いダム湖。この奥行きが秘境っぽくて素敵です。

帰り際、受付の方にドキドキしながら「ダムカードありますか?」と聞くと、3枚もらえました。一番気になるのが「天ケ瀬ダム再開発事業、真実の記録」カード。裏にはQRコードが記されていて秘密のページに飛ぶようになっています(笑)。

ダム湖にかかる朱色の吊り橋。こちらはコンクリート架橋なのでさすがに揺れなかった。強度的に吊り橋構造にしてあるんですよね、きっと。それにしても「鉄の赤」と「錆の赤」が混じった「橋の赤」にめっぽう弱い私。

【立木観音】で800段クライム

天ケ瀬ダムからは山間の快走コース。斜度もあまりないので丁度良い負荷を楽しみながら進んでいると、山の中で【滋賀県】に切り替わりましたよ。

この道をたどっていくと【琵琶湖】に出ることは何度も走って知っているけれど、いつも立ち寄らずに通り過ぎてしまうところに立ち寄るのが今日の目的。

瀬田川沿いにある駐車場がいつもいっぱいで気になっていたのが【立木観音】さん。道路から境内が見えないんですよね。そしてなぜか人も見当たらないんです。

バイクを降りて初めて分かりました。はい、「石段八百余段」。つまり境内は山のてっぺんにあるということですね。どおりで人の気配がしないわけだ。

この日はライド&ハイクの覚悟で来ていますから、足元はSPDシューズ。階段くらい登ってやりますよ!と言ったものの、いわゆる石段なので歩幅が変わってなかなか歩きにくい…そしてよくよく考えると800段超ということは、あの「金毘羅さん」より階段多いんじゃないか!?(金毘羅さん785段説)。この日は家族連れやご夫婦が多く、皆さん途中で立ち止まっては休憩をはさんでおられましたが、自転車乗りのプライドとして坂の途中の休憩は許されないので根性だして一気に登り切りました。今日一番のヒルクライム、サイコンもってきてたら獲得標高上がったはず。(笑)

息を切らして登り切った先には立派な境内が。当然みなさん思い思いの場所でまずは休憩されています。見知らぬ方たちですが、同じ苦労をしてきたことを思うと変なシンパシーを感じます。これも観音様の思し召しでしょうか。

すごく説得力のある手水。そりゃあ貴重な水でしょう。節約節約。

境内の中心には「鹿に腰掛ける弘法大師」という珍しい像が。その昔、弘法さまがこの山に光る霊木(立木)を見つけた折に、白い鹿が現れて弘法様を乗せて山を登った…とか。で、その白鹿が観音様だった。というような由緒だそうです。

そんな【立木観音】さまには「厄除け」のご利益があるそうです。京阪神だと「門戸厄神」も有名ですね。ともかくこのツライのぼりを越えることで、人が自ら厄を振り払ってたどり着いた場所、という気がします。

個人的に神社仏閣独特の建築物が好き。きれいにアーチを描いた渡り廊下は本当に美しい。古来からの宮大工の技術の賜物ですね。

本堂でゴールかと思いきや、あと少しだけヒルクライムが残ってました。【奥之院】にはこの立木山を守護する「道了権現大菩薩」さまが祀られています。

無事に怪我無く降りられますように。と目先のお願いをする私は不信心なのかも知れません。

奥之院から下るとここから境内に戻ってきます。伝統建築による立体交差が素敵すぎます。

さあ、下りも「八百余段」ですよ。足を踏み外さないように慎重に下るのですが、体重が一気に足にくるので、ある意味登りよりもつらいかもしれません。

でも登りでは気が付かなかった景色に気が付くことができるのはいいこと。それにしてもこうやって見ると相当標高を稼いでいるハズ。

【石山寺】で再会

立木観音からはずっと下り基調。瀬田川の渓流にそって快走して次のポイントに向かいます。

瀬田川沿いに現れたのが【石山寺】。またもお寺さんです。ここもいつも素通りしちゃってるので今回潜入してきました。

新緑のモミジの回廊がとても美しい。これは紅葉の時期にきたらエライことになってるはずです。

石山寺は小高い丘全体がひとつの境内になっていて、いくつものお堂と庭園を見ることができます。というのもあって、しっかり入山料(600円)が必要です。せっかくなので、ここはパスせず入山しましょう。

こちらが本堂。京都清水寺のような高床式のお堂です。下から見上げるとスケール感がありますね。さきほどの立木観音様と同じで、こちらも真言宗のお寺。

そしてここで「紫式部」と再会。さっき宇治で会ったので、同じルートをライドしてきたのかな…ではなくて、紫式部はここ【石山寺】で源氏物語を執筆したらしいのです

平安の女流文学の聖地ともなっているようですね。絵馬ならぬ絵紫式部がたくさん並んでいました。ここでお参りしたので、これからブログの文章もうまくなるのかもしれません。あ、でも女流じゃないや。

真言宗の特徴である「多宝塔」。円と角が合わさった独特の形状は荘厳さと美しさを兼ねそろえる建造物です。

ピンクの花と青空のコントラストが素敵。石山寺は花のお寺としても有名で、敷地内にいくつかの庭園が設置されています。

宇治橋のほとりの像とまた違う感じの紫式部さん。各地でお顔にばらつきがあるので少し気になりますが、いわゆる「像」のモデルってあるんでしょうか。並べたら別人だと思うんですが…。

石山寺には「門前町」もしっかり残っていて、瀬田川沿いに数百メートル続く軒がいい風情を醸し出していました。歴史の名残が町や通りごと残っているのは嬉しいですね。写真はおみやげ屋さんの「ひょうたん」が綺麗でつい。

石山寺からすぐ近く、瀬田川のほとりにあるのが【瀬田の唐橋】。「いそがばまわれ」で有名ですね。ここも何度も訪れています。

個人的に気になったのがこの建物。たしか河川の管理棟。水位や水量の測定をしているのですが、このクラシックな設備が私の琴線に触れてしまいました。素敵すぎる…って、ひょっとして現役じゃないのかな。

瀬田唐橋の周辺って交通量も多くてせっかくの風情を感じにくいのが玉にキズ。一応東側にわたると河川敷にまとまった空間があって、そこに【ビワイチ出発の地】の碑があります。この日はビワイチする気はさらさらないのですが、せっかくなので写真だけいただきます。あ、このステンレス像(というのか?)タイヤはしっかり700cですよ!(笑)

今日は琵琶湖を拝まずに、草津へ抜けるルート。名残惜しいけれどいつでも来られますし、今日は瀬田川河口までとしておきましょう。

【草津宿】をお散歩

ビワイチでは湖岸沿いしか走らないわけで、滋賀県の魅力あるスポットをわからないまますっ飛ばしていることになります。なので、今回は【草津】を目標に来たわけですが思ってたより垢ぬけた街でした。

ここは【草津川跡地公園de愛広場(区間5)】なる場所。川の跡地を行政が整備して素敵な公園を作ったということですね。

ちなみにこの河川敷をたどると琵琶湖にでるわけで、地面には親切に琵琶湖までの距離がわかりやすく示してあります。

いわゆる川だった場所には、広い遠路と飲食施設が。

思ってた草津と違う…(失礼)、すごくオシャレな街じゃないですか。

そういえば特急も止まるわけだし、滋賀県でも都会になるんですね。

公園ゾーンに降りてみると、サイクルラックまで常備されていて感動。ビワイチからはルートが外れますがそれでもサイクリングの受け入れ態勢を作ってくれているとか、親切すぎますね。草津市、恐るべし。

さて、今回ゴールとして目指したのがココ【草津宿】。東海道と中山道が交わる古来からの交通のかなめとして存在した宿場町です。この風情を期待して草津に来たので、さっきの公園はショッキング(笑)

マンションも立ち並んでいますが、エントランスの造りは和風に仕立ててあって、できるだけ古くからの景観を維持しようとされています。まさに「現代に残る旧街道」という感じ。

通りのいたるところに歴史の跡を物語る看板が立てられています。これを見ながらゆっくり歩くだけでも勉強になりそう。さすがに大きな宿場町だけあって通りのはずれや路地裏に至っても昔の景観が色濃く残っています。

あれ?鹿だ。さっきも見たぞ…と思ったら、ここは【立木神社】。さっき寄ったのは【立木観音】なのでお寺。同じく【立木】を語り【鹿】そして【厄除け】まで一緒。ということはつながりのある場所でしょうか。

気になって調べてみたら違いました。弘法様と白鹿ではなく、「タケミカヅチノミコト」が白鹿に乗って訪れて柿の木を植えた(立木)という由緒だそう。けれど似通っていすぎという不思議

夕食当番なので

草津宿をゆるっとポタリングして、古来の風情を感じたらそろそろ帰宅の時間です。今日は帰って夕食を作らないといけないので、早いうちに切り上げましょう。

草津が交通のかなめであるのは今も昔も変わらず。草津宿からアーケードをくぐるとすぐそばが【JR草津駅】になります。

駅前で輪行準備をしていたら、地元の少年に話しかけられました。「どこから来たんですか?」「大阪からですよ。」「いいですよね。僕も前に北海道を自転車で走ったんですよ。」なんて、旅先での小さな出会いとコミュニケーションは嬉しいものです。

草津宿っぽさをなんとか伝えようとする駅前の門。少し惜しい(笑)。

JR琵琶湖線のグリーンの車両が見られるのも嬉しいポイント。湖西線のカエル号も好き。

朝9時30分に自宅を出発して、夕方17時06分の新快速に乗る。これで自宅には18時過ぎに帰れているわけだから電車ってすごい。

家で自転車を片付けつつ、唐揚げを揚げて19時過ぎに夕食。うん完璧な1日でした。

70kmだとミドルライドという感じ。疲れもほとんどなくて快晴の中のんびりとサイクリングとハイキングを楽しむことができました。

今回のように【ルートは何度も走っているけれど、立ち止まったことはない】というところを再確認するようなライドも楽しいものですよ。というライドでした。

めでたし、めでたし。

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