GWは「京都西山三山」巡り。【自転車×日記】

自転車×日記

京都「西山三山」とは

京都「西山」。絢爛豪華な寺社仏閣が並ぶ「東山」でもなく、政(まつりごと)に大きな影響を与えた「北山」でもなく、すなわち社会科や歴史の教科書には載ることがない、京都のもう一つの寺社仏閣エリアが「西山」です。具体的には【京都市西京区+長岡京市+向日市+大山崎町】の周辺を指し、山地と農業地帯に囲まれている自然豊かで物静かな環境が【京都西山】の魅力です。

観光地としては「北山」「東山」が定番になるのでしょうが、ここ「西山」は庶民信仰が根強い【西山三山(にしやまさんざん)】に代表される寺社が有名で、山間部にあるという立地から観光客よりも登山者やハイカー、そして自転車乗りがこぞって訪れる場所なのです。

…と、前置きが説明的で長くなっちゃいましたが、要はゴールデンウィーク(以下、GW)中はどこに行っても混みあうので、京都のあまり知られていない静かな場所を走ってみよう!ということで【西山三山】が選ばれた。ということです。

それでは早速【京都西山三山巡りライド】に出かけましょう。あ、ちなみにスタート&ゴール地点は【芥川桜堤公園】。GW前後にはこのように川の上空を一面の鯉のぼりが泳ぐので、地元の風物詩として親しまれているんですよね。

さて、目指す【西山三山】ですが、古くは【西山古道】として多くの人々が歩いて参拝した、【善峯寺(よしみねでら)】【光明寺(こうみょうじ)】【楊谷寺(ようこくじ)】の三つの寺を指します。

大阪北摂からだと、高槻市の山間部から山を越えるとすぐなので、私にとってはかなりアプローチしやすい場所。トレーニング的な日常ライドでたまに前を通過するものの、実際に入ったことはなかったので今回はすべてのお寺に立ち寄ることにしましょう。

新緑の季節。鮮やかな山の緑が眩しくて、気持ちよい山ライドが楽しめます。大阪から京都への境目になる【逢坂峠】を越えたら、西山に入った合図です。

西山三山はじまりの地【善峯寺(よしみねでら)】

とか言いながら、いきなり道を間違えた…。

【逢坂峠】を越えずに、その手前を右折していればダウンヒル途中に【善峯寺】が現れるんですが、調子にのって逢坂峠を越えてしまったので一気に山を下りきってしまいました。

となると、改めて正面から山を登りなおさないといけないのですが、実は善峯寺への正面からのアプローチはローディー界隈で「地獄坂」の愛称で親しまれて(?)いる有名な急坂。で、気づいたら斜度がこのとおり。少なくとも私の脚ではペダリングできません…。結局ラスト500mくらいは押し歩きで登ることになるのでした。

しかし見方を変えると、それだけ高く急峻な斜面にあるのが【善峯寺】の特徴になっているのです。

はぁはぁ言いながらなんとか辿り着いた山門。入口には大きな立体駐車場があることから、かなり大きな寺院だということがわかります。ここ善峯寺は「西国三十三所観音霊場の第二十番札所」でもあるので、訪れる人も多いのでしょうね。

山門からさらに階段を上ると現れる立派な門。奥に多宝塔が覗いていることから「真言宗」のお寺であることがわかります。

世の中のありとあらゆる「いたみ」から守ってくれるというありがたいご利益。あと受験のゲン担ぎにとなる「おちない」というご利益もあるようです。こちらの云われは平成のある出来事にちなんでいるので興味がある人はぜひ調べてみてください。

コチラの本堂で「痛みよけ」のお願いをしておきましょう。実は私、結石や通風の既往歴がありますので…(笑)。

こちらでは、絵馬に「松の木」が描かれていますが…

天然記念物にして日本一の松を自称する「遊龍の松」がシンボルになっているのです。この松、看板を見た時には理解できなかったのですが近づいてみてビックリ。縦ではなく、地面に横たわるような形で大きな幹があり、そこから枝と松葉が幹の表面を覆うように生えている…今まで見たどの松とも違いました。さすがに日本一を冠するだけのことはありますね。

斜度20%を超えて登ってきたわけですから、眺望が悪いわけない。というか、想像以上に良すぎました。すごく素敵なロケーション。中央に「京都タワー」を収めてみたけれど見えますかね。

西山の斜面から東山を望むという位置なので、ここは日の出と朝陽がとてもきれいなはず。あときっと夜景もきれいなんでしょうね。なんか京都を見守るお寺、という感じがします。

西山三山の最も北に位置する【善峯寺】は斜面を利用した広い境内に多くの講堂が並ぶ、壮観な寺院でした。なんだかんだで1時間以上滞在しましたが、東山にある絢爛豪華な寺院に比べて「質実剛健」さを感じたのでした。

西山浄土宗の総本山【光明寺(こうみょうじ)】

善峯寺で脚が終わってしまったので、今日は一社で終わろうかと思ったのですが、意外と近くに【光明寺】があることが分かったので、頑張って寄ってみることに…いや、頑張らずについてしまいました。それくらい近く。

ここ【光明寺】は「西山浄土宗」の総本山で、なんと「念仏」発祥の地だそうです。「西山三山」というものの、それぞれ宗派が違うのは面白いところですね。

ここもかなりひろい境内のようです。特徴的なのが本堂に向かう長い参道。

入口の「総門」から奥に、低くて長い階段が続きます。こういう導入も素敵ですね。本堂に向けて一歩一歩厄を落としていく感じでしょうか。

本堂となる「御影堂」の大きさに圧倒されます。どこからどうやってお参りしたらいいのかよくわかりませんでしたが、正面に大きなお賽銭箱があったので、外からお参りさせていただきます。

立体的に組まれた講堂の渡り廊下と参道。お寺の敷地ってどこまで入っていいのかわからないことが多いのですが、個人的には行けるところまでは行ってみたい派です。

表参道が低くて長い階段だったので、平面的な敷地を想像していたのですが本堂からは他の講堂が見下ろせるくらいには高低差がありました。

そうそう、ここではこの日「結婚式」が催されていました。神社ではよく見かけるのですが、お寺で結婚式というのはあまり見たことがないので新鮮でした。

総門より西にある小さな門をくぐって【光明寺】を後にします。ここ光明寺に短期大学も併設されているようで仏門に入る若者の学びの場にもなっているんですね。ここは【西山三山】中、もっとも街に近くアクセスしやすいお寺でした。

ちなみにこの日はこの二社を参拝して「西山三山巡り」を一旦終了です。のこる一社には日を改めてチャレンジすることに。というのは、脚が終わったのと家での食事作り当番の時間が迫っていたから(笑)。

眼病平癒と花の寺【柳谷観音 楊谷寺(ようこくじ)】

というわけで日を改めて、残る一社【楊谷寺】へ。ここは別名【柳谷観音】とも呼ばれています。場所としては、西山三山中もっとも南、かつ大阪北摂から一番近い場所。ちなみに私的には日常ライドの射程圏内なので、よく立ち寄る場所だったりします。でも中に入るのは今回が初めて。

山門手前まではよく来ているのでなじみの風景、そしていつもの写真構図。今日は天気が良かったのでいい写真が撮れました。

楊谷寺も山の斜面に位置するお寺ですが、敷地内は比較的フラットでコンパクトです。ご利益は「眼病平癒」。なんでも弘法大師が湧き水を眼病治療の霊水にしたという言い伝えがあり、今もその水が湧き出ていて持って帰ることができます。

この山門から先は拝観料(700円)が必要。奇しくもこの4月から徴収が始まったのですが、拝観料を払って入る価値は十分ありますよ。

というのも、コレ。「花手水」です。最近はインスタでよく見る絵ですよね。

いたるところに季節の生花が浮かんでいます。これはたぶんダリアとカスミソウ。

ツツジとカーネーションの赤・紅・朱。カワイイ小鳥さんはなんと手作り。

青モミジ。浮いているのと沈んでいるの、どちらも綺麗。

なぜなら、こういうことだから。自宅のすぐ近くに発祥の地があったとは驚きです。また、ここは「紫陽花寺」としても有名で、とかく「花」に縁(ゆかり)があるお寺なんです。

そしてこういう飛び道具も持っているのが楊谷寺のスゴイところ。これをスルーするわけにはいかない(笑)。写真はNGですが、確かに「小人のミイラ」実物の展示を拝見しました。うーん…スゴイお寺だ。

あまりにインパクトが強いものが多く、入って20分してもまだ本堂にたどり着けていませんが、境内全景はこんな感じです。

このギュッと詰まった感じがとても好き。お寺独特の色あいの重なりも素敵ですね。

「観世音菩薩」と書かれた大きな提灯が本堂の目印。ここは講堂の中に入ってお参りするスタイル。

ここからがスゴイのですが、なんと建物内にかなり自由に入れてしまうのです。昔ながらの造りの寺社建造物を中からしっかり観察できてしまうのは、個人的にとても嬉しいポイント。

ほかのお寺で見てきた立体的な独特の渡り廊下、これも基本的に歩き放題。半ば迷路のように組みあがった渡り廊下や階段を歩いていくと建物内部から「奥の院」にたどり着くという感動。

中庭もとても美しく、森の静寂と相まっていつまでもここに居たいような気持にかられます。

なんということでしょう。庭園を望む赤じゅうたんの和室。素敵すぎませんか、コレ。ちなみに朝早くに行ったので人が少ないということも幸いでした。とにかく独り占め感&満喫感がすごい!

あの渡り廊下の先が「上書院」。期間限定公開でプラス800円の拝観料が必要ですが、それはそれは美しい部屋と景観が待っている…らしい。どうしても入っておきたかったんですが、手持ちのお小遣いでは「あと100円」が足りなかったのです。きっといつかあそこに入ってやろう!

楊谷寺をしっかり堪能したので、そろそろ退場です。名残惜しく花手水の写真を撮ったらピンクのバラがハート形であることに今更ながら気が付きました。うーん…ちょっとあざといかも楊谷寺(笑)。

「京都西山三山巡り」ライドのまとめ

ということで、GWに「西山三山」を制覇してきました。という話題だったのですが、自転車ライドというよりはお寺巡り紀行みたいな感じになってしまいましたね。まあ、たまにはこういう記事もあるということで。個人的には、一番身近な【楊谷寺】が一番おもしろい場所でした。

さて、冒頭に書いたとおり「西山」は、東山・北山に比べて目立ちませんが、自転車ライドで行くにはこちらの方がずっとオススメです。ライド的な面白さもありますし、観光客でごったがえしていないので、ゆっくり参拝も楽しめるという点ではかなりのポテンシャルを秘めています。

それぞれ宗派も異なる寺院ですが、西山は一体感があって面白い場所なので、個人的に【西山三山ライド】を推していきたいと思う私です。

西山からの帰路で高槻までダウンヒルを楽しんだ後は【芥川桜堤公園】でゴール。今年最後の鯉のぼりを拝んでおきましょう。2日に分けて走りましたが、両日トータルで80kmくらい。山あり谷あり寺院ありの「西山ライド」は楽しいですよー!

というお話でした。めでたしめでたし。

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