プロローグ
いよいよ旅も4日目です。
→ 石垣島3泊4日×自転車旅の様子はコチラ <1日目><2日目><3日目>
この日は朝6:30に起床。早起きしたのは8:30出航の高速船に乗るため。
そう、この旅の最終日は八重山諸島最大の島「西表島(いりおもてじま)」なのです。
ホテルを早々にチェックアウトしますが、帰阪のための荷物はフロントに預かっておいてもらいます。ここからフェリーターミナルはすぐ近く。帰りもホテルに寄ってから空港に迎えるので便利すぎるくらい。
西表島へのアクセスは「安栄観光」の高速船で。往路は北航路で「上原港」、復路は南航路で「大原港」を利用するので、それぞれの片道切符となります。
そして、今日は当然ロードバイク輪行なので自転車も搬入します。乗船券が2,390円、自転車積載が730円だったので、合わせて片道約3,000円ですね。
ところで、乗船券だけを購入する人って珍しいみたい。西表島ではアクティビティとのセット券を購入するのが一般的だそう。チケットカウンターのお姉さんには「船だけでいいんですか?」って二度聞かれました。
船内客室に自転車をそのままドーーン!(笑)
離島便なので、人以外にも様々な荷物&貨物がびっしり積載されています。これも現地の生活感の一つですね。
高速船で約50分の船旅。外洋なのに思ったより揺れない。聞いたところではかなりの頻度でこの上原港行の航路は欠航するらしいので、今日は本当についてる!きっと昨晩のタナくじ「三倍吉」のおかげだ。
本日のルートはこんな感じ。
といっても、実は西表島のほとんどはジャングルで島全体が「国定公園」になっています。故に走ることができるのは島の東側に沿った県道215号線のみ。端から端までざっと55kmというところ。
必然的にこの道を往くことになるので、当然「完全制覇」が目標です。
子午線を跨いで、県道北西端の「白浜港」を目指す
西表島の「上原港」に到着。ここには出迎えの人がわんさか。彼らは…アクティビティの関係者たち。ダイビングだったりトレッキングだったりカヌーだったり。
だから乗船カウンターで「船だけでいいのか」って聞かれたんですね。納得。
下船した乗客たちは、彼らの誘導でどんどん駐車場のマイクロバスやバンに吸い込まれて行きます。
昨日の竹富島もどうだったけれど「港についてピックアップ」というのが八重山における離島観光の基本スタイルなのでしょう。
ものの5分でターミナルは無人に。そしてロードバイクを携えた私だけがひとりポツンと取り残されました。
けれど、これでいいのだ。やはり自転車には一人旅がよく似合う!
ところで事前情報によると、西表島には「ペットボトルを捨てる場所がない」ということでしたが、なるほどターミナルにも自販機はあれど通常併設されている回収箱はありませんでした。
これは自然環境保護のため。国定公園であるこの島での意義ある取り組みですね。
ライド中の補給でも空ボトルを携行することになっちゃうので、ここはつぶしやすく運びやすいボトルの「いろはす」を選択。
あとは補給食ですが、一般的な観光島ではないのでショップや食堂はあまりありません。このターミナルの売店でおにぎりとスニッカーズを買ってサドルバッグに詰め込んでおきます。
さあ、いよいよ西表島ライドのスタートです。
一面ジャングルのこの島では、どんな景色を見ることになるのでしょうか。他の島は少なからずリゾート的、観光地的であるのに対して、この島は「硬派」ですよ。こういうの嫌いじゃない。むしろ大好きです!
県道215号線の制覇のために、まずは上原港から西へ。目指すは県道西端の「白浜港」です。
一本道なので、突き当りまで行ってまた引き返してくるルートだけど、これは仕方ありません。
白浜までは約15kmの道のりですが、走っていて感じたのが「石垣島とはまたちがう」。なんというか人の気配や存在感がすごく薄い。
これは決して悪い意味ではなくて、あまりに自然の存在感が強すぎて、人の存在が霞んでいる感じ。自然の中で感じる人間のよそ者感と言いますか。
いわゆる南国というイメージにはヤシの木だったりトロピカルフルーツだったり、刷り込まれたイメージがあると思いますが、亜熱帯の実態はこれ。つまりは「あふれる自然の生命力」です。
水辺には必ずマングローブ。本州でこれを見ることはまずないけれど、八重山では当たり前の光景。
観光島ではないので、少なくとも見どころとなる観光施設などはありません。
白浜ルートでは唯一「子午線 東経 123度45分6.789秒」という、スゴイのかなんなのかわかりませんが、123456789…いわゆるキリ番のモニュメントがあるくらい。
うん、つまりは田舎ですね。こういうところは本州にもある。でも嫌いじゃないよ。
なぜか山を挟んで2か所にある同様のモニュメント。子午線って線なので、直線状にあるとどこでも設置できるということですね。
それにしても車がほとんど走っていない。
この太い県道を、ロードバイクで独り占めできちゃっています。看板標識もすこし存在感をなくしているところなんかも面白いなあ。やはり渡航してくる人も、レンタカー観光よりは固定スポットでのアクティビティが中心なのでしょうね。
スタートから約30分で「白浜港」へ到着。ここが西表島陸路での最西端です。
といっても、何があるわけでもない。静かな海と南国の風が吹いているだけ。うーん、自然だ。
この白浜港からは、渡船でさらに西の「船浮集落」へ行くことができるみたいですが、あくまで集落の住民用航路ですので、よそ者の私は渡ることはできません。
では、来た道を引き返していきましょう。
さきほど車がほとんど走っていないと書きましたが、興味深いのはいたるところに設置された「ヤマネコとびだし注意」の標識。
この島では特別天然記念物である「イリオモテヤマネコ」の交通事故死が重大な社会問題になっています。
過去の事故現場には必ず標識が建てられていたり、場所によっては「今年度の事故数」なども掲示されています。
見る限りいかにもスピードが出そうな街灯もない道で、夜行性の彼らと路上で遭遇して危機一髪ということはそこそこあるんでしょうね。
行きに見た道を反対車線からまた見返していくルート。県道を境に片側は海、片側は山あるいは森といったメリハリのある景色感はなかなか楽しい。
行きに見た展望所が気になったので登ってみると…
マングローブのジャングル。うん、この景色にも慣れてきたぞ。
それにしても石垣島とは密度の違う自然力です。
森の中から現れた、野良ヤギ!?
…いや、首輪とリードがついているから「飼いヤギ」だ。
こら、食うな!
この島にも当然「牧畜」がある。この4日間で「離島で生きる」ということが少しずつ分かってきたように思います。外洋の真ん中に浮かぶ島では、輸入するものがあったとしても、自給自足の生活スタイルが根底にあるのですね。本州の人間が感じにくい、当たり前の生きていくための活動、すなわち「生活」がそこにあります。
放し飼いのヤギ、そして近くの食堂には「山羊汁」の看板。つまりそういうこと。
星の砂・パイナップル・イリオモテヤマネコ
「上原港」まで折り返してきたので、改めて未知のルートを走りだします。
南へ続く一本道、ここからは各所で脚を止めてゆっくり走ってゆくつもり。
まずはマップでみかけたワード「星砂の浜」に行ってみよう。って、昨日も星砂だった気が。
ペンション「星の砂」に沿った側道から下りてゆくと、小さな浜辺。ここが「星砂の浜」らしい。
おそらく観光者だろうおじ様3人組と女子2人組がしきりに地面を探っています。海洋プランクトンや幼生サンゴの抜け殻だったかな。とにかく星砂がたくさんあるようす。
しかし、昨日の竹富島で星砂を探して老眼を自覚した私に死角はなかった!見えないものは華麗にスルーです(笑)。
気になったのは、この浜辺に海洋ゴミの漂着物が多かったこと。そう、この浜…というか西表島に限っては観光ビーチではないので、おそらく管理や掃除をする人がいない。
だれが悪いわけでもない、ただ人間全体の活動がこうやって自然の中で可視化される。これも事実として受け止めないといけません。
冒頭「ペットボトルを捨てる場所がない」と書きましたがこれも自然保護の面では大切な理念である反面、心ない人は故に投棄という選択をするのかも。
…と複雑な思いで、星砂の浜を見つめる私でした。
自転車にまたがって岬づたいに走っていると、ところどころに「パイン農園」を目にします。たしかにパイナップルは南国のイメージですね。ありように言うと「トロピカル・フルーツ」です。
そこに現れたのが「無人販売所」。
なんと、カットパインの試食までできてしまう。で「食べ放題」って書いてあるけれども無人。太っ腹だ。
丸ごとパインは当然、スティック状になったものや、冷凍パインまであるけれど、お支払いはペットボトルまで。というスタイル。南国のおおらかさを感じます。
せっかくなので、試食させてもらって糖分&水分補給。程よい甘味と酸味が疲れた体を癒してくれます。
ずっと県道215号線。通称「白浜南風見線」。要は南北縦断道路というわけ。
事前情報ではこの季節(2月)は北風が強いと聞いていたので、追い風ペースで快適ライド…かと思いつつ、この日はあいにくの向かい風。
思ってたのとは違うけれど、でもまあ50km程度なので、なんとでもなるか。
とにかくヤマネコ推し。イリオモテヤマネコ発見の碑はずっと南にあるんだけれど、これは「イリオモテヤマネコの銅像」。それ以外の情報は特にない。
ただ、県道で唯一見どころ的な河口湾にかかる海中道路にそって建てられていますね。ここまでアピールされると、会いたくなってしまう特別天然記念物イリオモテヤマネコ。
密林の大冒険~ジャングルを往く~
海じゃない場所はずっとこんな景色。とことん緑のジャングルです。
所々の川とマングローブ林の景色はこの島では一種のアクセントかも。
さて、目指しているのは「クーラの滝」と呼ばれるところ。
なんでも県道から歩いて川を遡上すると行くことができるらしい。
せっかくの西表島なんだし、冒険パートは必ず挟みたいところ。ネットのあやふやな情報を頼りに探していると、ジャングルの切れ目に人が通れるくらいの切れ目が…どうやらここが入り口のようです。
ではここにバイクを止めて。うん、大冒険の気配がすごい!行け!川口浩!
小さな崖をおそるおそる下ると橋の下に出ました。で、ここで足止め。
だって川が遮ってるじゃん…
「行くのかーい? 行かないのかーい??」
「行ーーーーーく!!」ってなるのが自転車旅人。ちなみに現地でこのとおりの独り芝居をしていた私。(笑)
さあ、ここでシューズを脱いで素足で川を渡りますよ!ウェアが濡れようが構いません。冒険・探検こそがこの旅の醍醐味なのですから。
なにかしらハゼ科の魚。素人目には「トビハゼ」。静かにしてるとじっとしてますが、少し驚かせるとなんと水面を飛んでいきます。
川底の砂は一見綺麗に見えて、実は相当緩くて深いヘドロ状の泥。これはきっと河口なので潮の満ち引きに合わせて砂や泥が動いて滞留するからでしょう。
でも水は驚くほどきれい。マングローブがこの水をきれいにしているのかな?
マングローブの根を手がかりに、太ももあたりまでつかりながら100mほど進んできましたが、どうやらこれ以上はリスクが高そう。
一旦岸に上がってみますが、すごい秘境感。うん、いま冒険してる!
そんなマングローブの林の中に、カラフルな何かを発見。
なんとカヤックではないですか。なるほど干潮時にここに係留しておくんですね。「森の秘密基地」みたいでワクワクします。
残念ながら、川の遡上はここで終了。思っていた「クーラの滝」には本来このカヤックで行くのでしょう。で、そういうアクティビティがあるんだ。きっと。
バイクにもどってプチランチをして、途中にあった「大見謝ロードパーク」を休憩がてら少しだけ見学。
ここはいわゆるパーキングエリア。道路から大見謝川のほとりに下りて景観を楽しむのだけれど、特に何があるわけでもない。けれど癒される、というか元気になるのは自然の生命力が豊かだから。
とか考えてたら大きな鳥が頭上を飛んで行った。よく見るとあれは「カンムリワシ」だ!これも特別天然記念物。あれ、茂みにも何かいてゴソゴソ動いている気配がするけれど、ひょっとして「イリオモテヤマネコ」なのだろうか?
少し曇りがちの中、あるタイミングでスカッと空が晴れました。その時ちょうど橋の上でマングローブを眺めていたんだけれど、突如鮮やかに輝くグリーン&ブルー!
思わず写真を撮ってしまうほどの、色鮮やかな景色です。これが天然色だというのだからスゴイ。
マングローブの密林と河口付近なのに全く濁りのない川の水。ジャングルに続く奥行き感は、まさに冒険心をあおります。
西表島は、やはり自然に手を付けられていない未開の地。島の2/3を占めるジャングルには、一体何があって、何がいるんだろう。
ひとりカヤックに乗って、森の奥を目指したい…そんな衝動にかられた私でした。
そんなことを考えて走っていたら、目の前に異様に突き出た小高い山が見えました。
川を上っていくときっとあそこに着くんだろうけど、不自然なほど目立ってる。
古(いにしえ)の遺跡なのか、それとも神殿か。ともかくジャングルの奥に見えるあの場所が気になって仕方がない。まさにインディー・ジョーンズの世界観です。
そして、MAPにも載っていない不思議…。すごいぞ西表島!
西表島唯一の観光地「由布島」、そして水牛たち。
西表島で唯一観光地っぽいのがココ「由布島」です。
遠浅の浜の向こうにある島を個人が買い上げて、植物園を兼ねた観光島にしたそうな。
明らかに今までの冒険ライドとは毛色の違う、ザ・観光地。
あくまで冒険にこだわる私は、せっかくなんだけれど観光自体はパスさせてもらいました。
海の中に電柱が立っているという不思議な光景。由布島へはこの電柱で電気が通っているわけですね。
対岸までは遠浅の浜なので、水牛車に乗っていくのがセオリー。距離にして約500mで、濡れてもいいのなら歩いてでも行けてしまうらしい。
島には10人ほどの島民が住んでいらっしゃるそう。
由布島観光はしないけれど、ここで水牛とはお友達になっておこう!
名前がわからないので「うしーー!」と呼んだらこっち向いてくれた。
にしても、水牛の角は本当に立派。すごいなー、なんでこんな形をしているんだろう。
「水牛」の名のとおり、水の中が大好きなんですね。
今はこうやって、牛車を引いて観光産業に貢献してくれているけれど、この未開の辺境の島を開拓するにあたって昔から彼らが大切な労働力として活躍してきたことは想像に難くない。
水牛車チケットを販売しているお店。カフェお土産屋も兼ねていて、西表島では希少な休憩場所になっています。
クーラーが効いた部屋で涼ませてもらいながらお土産を物色。やっぱりメインは「水牛くんグッズ」ですね。
長居したいけど、帰りの船の時間もあるし、先を急ぎましょう。
異形の樹木「サキシマスオウノキ」と神秘の「水中神殿」
次にたどり着いたのは「西表野生生物保護センター」。
外観はまったく普通の建物ですが、ここは観光施設ではなくあくまで研究啓発のための公共施設ですよーって主張しています。
内部は野生動物の保護を目的とした、啓発用の展示が中心です。
マングローブをはじめとした森の生態系とイリオモテヤマネコについて写真やパネルで詳しく紹介されていました。
しばらく進むと、また道路の一角にジャングルの奥へと続く入り口を見つけてしまいました。RPG的な要素が強いですね、この島は。
とにかく発見した以上は、中に入ってみないといけません。なぜなら私は冒険者だから!(使命感)
木製の遊歩道の先にあったのは「サキシマスオウノキ」。
熱帯の植物で、根っこが板状になっているのが特徴。なんだかすごい造形です。こんな木見たことない。
遊歩道から見下ろすのも悪くないですが、なんとハシゴがあって、地面に下りられるようになっています。じゃあ、下りなきゃじゃん!なぜなら冒(以下略)
ジャングルに降り立ってテンションはマックス状態。
この「サキシマスオウノキ」の存在感がまたスゴイ! おそらくマングローブの一種なんでしょう、根が異様な形に発達しています。なんというか、畏れすら感じます。
そしてジャングルの奥に…なんと!
なんと、なんと!!神殿を発見してしまったのです!!!
もう完全に冒険者ですね。
実はここは満潮時には水没する場所のようです。だから遊歩道が空中にあったというわけですね。で、この祠も水没します。つまり水中神殿というわけ。なんて神秘的なんだろう。
とはいえ、地元の方によって何かが祀られていてしっかり現役の神舎となっています。きっと海の神様なんでしょうね。
手前には水中神殿、奥には神の山。先に立ち込める暗雲の先には魔王がいるのでしょうか。
ともかく西表島は冒険者を呼んでいます。勇者を自称する方はぜひこの奥へ行ってみてください!
西表島の最南端、そして「イリオモテヤマネコ発見の地」へ
帰りのフェリーが出る「大原港」を横目にさらに南を目指します。スタートと同様にここも奥まで行って折り返して戻ってくるから。
ここから先に民家はありません。県道の突き当りに向かう8kmばかりの道は、農耕地と果てしない一本道が続いています。
ユキちゃんだ。農耕地では作物だけでなく牧畜もされているようす。
かわいいヤギですが、彼らもまた生活に必要な存在。「家畜」って言葉は悪い意味でつかわれることが多いけれど、こうやって見るととても大切なものなのだとわかる。
あっというまに県道の終着点に到着。
そして、なんとここには「イリオモテヤマネコ発見の地」のモニュメントが!こんなの知らなかった。
本当にこんな南の果てで見つかったんですね。色褪せたパネルから辛うじて情報を読み取ると、どうやら1965年に地元の小学生が見つけたということ。
島の生態系で生きていた古来からの種、人間目線では「新種」だったわけです。
そして県道突き当りには、また森に謎の入り口が…。いい加減にしてくれ!(嬉しい)
気分はとっくに冒険者ですから躊躇なく進んでいきましょう!
そういえば、万一モンスターとエンカウントしちゃったらどうするんだろう。手ぶらなので武器もないし、防具に至ってはサイクルジャージって、実質防御力ゼロじゃん。
どおーーーーん!!絶景だーーーーー!!!
森を抜けると美しいビーチが広がっていました。ここは「南風見田の浜」。
そういえば、西表島のビーチって南国感があまりありません。石垣島や竹富島はサンゴによる「白いビーチ」が特徴的。西表島ではどちらかというと「土と砂」の一般的な浜。
しっかりとした大地をもつ西表島には山から森を抜けて数多の川が流れています。きっと島の原生林を伝って運ばれてくる土や砂が堆積してできた浜なんでしょうね。
空と海はきれい、でも浜にはしっかり大地の存在を感じる。そんな力強さが西表島の海辺の特徴です。
それでは、一路「大原港」へ戻りましょう。
ただ、その前にどうしても確かめておきたかった場所に。
ここは「日本最南端のバス停」である「豊原バス停」です。
すでにバス路線は廃線されているのですが、こうやってバス停と標識は残されています。
北に向かって果てしなく伸びる道が、象徴的で心にきますね。
そういえば、鹿児島旅では「日本最南端のJR駅」にも立ち寄ったので、公共交通の南端を抑えたわけだ。
バス停の待合室に貼ってあったMAP。ここから始まる西表島のバス旅というのも素敵なんでしょうね。
では改めて「大原港」に向けてペダルを回します。
自然豊かな西表島との別れを惜しむように、ゆっくりゆっくりペダルを回しながら、時折見える風景にシャッターを切る。
ものの15分程度で大原港へ到着。船の時間までには少し余裕もあります。
せっかくなので売店兼待合室で、ご当地の黒糖ソフトとシークヮーサーソーダで休憩です。この冷たさに癒されます。…2月ですが。
定刻になったらなんと、港に3隻もの船が来ました。そのどれもが石垣島行き。
実はこれ、乗客をすべて載せきるための手配なのです。そっか、石垣島に帰れない人が出たら大変だ。
何度も書いていますが、西表島は観光島ではないので宿泊施設もほとんどありません。おおよその人が乗船券とアクティビティのチケットを購入し、日帰りで1日楽しんで石垣島に戻る、というのが一般的だそう。夕方便のフェリーに人が集中するから、このような形になるんですね。
行きと航路が違うので「新城島」や諦めた「黒島」を遠景で確認しながら、約40分の船旅。
石垣島のフェリーターミナルでは具志堅さんが出迎えてくれました。といっても昨日もあってるはずですね。気が付かなかった。
次のリミットは飛行機の時間。急いでホテルに立ち寄って荷物を受け取ったら、一路空港を目指してハイスピードライドです。
時刻はちょうど夕暮れ時。山の端に沈んでいく夕陽を眺めながら、もう走ることはないだろう石垣の空気を噛みしめます。
石垣島さん、4日間本当にお世話になりました!!
なんとか余裕を残して、飛行機にチェックイン。
飛行機輪行の様子は1日目の記事に詳しいので、気になる方はそちらへどうぞ。ともかくJTAは安心なのです。
そういえば夕食を食べてなかったので、搭乗の前にお食事処でも…と思ったら、チェックイン後の石垣空港には小さな売店しかありませんでした。
なので、夕食は旅の締めにしては少々寂しい感じになっちゃいました。
それでも思い出でおなか一杯だもんね!!
行きと同じ飛行機のエンジン音。
陽が沈んだので窓から景色を見ることができませんが、その分機内で旅の思い出をまとめていきましょう。
薄暗い照明と静かな空間で、機内でひとりノートに筆を走らせる私でした。
3泊4日、ツール・ド・石垣島旅のまとめ
ということで、3泊4日にわたって石垣島・竹富島・西表島の3島を自転車で旅してきました。絶景のほどや現地で感じた風土などは個別の記事のとおりですが、とにかくよい旅でした。
大阪から1,500km、初めての飛行機輪行でしたが、こちらは拍子抜けするほどに簡単で安心。石垣島のシーズンオフ期間でもあったことから、往復航空機+ホテル付プランで、38.800円という格安プラン。
2日目のレンタカーが約7,000円、3日目のレンタサイクルが1,200円、4日目の西表島への移動費が約6,000円。食費等の雑費がまとめて約10,000円なので、3泊4日の全行程あわせて、約55,000円でした。
勤続20周年記念旅なので、すこし奮発しましたが、場所と内容を考えると個人的にはそこまで高くなかったな、と感じています。
場所的にも期間的にも、そう何度も行ける場所ではないので、きっとこの1回きりなのだと思いますが、石垣島をはじめとした八重山諸島の自転車旅は本当に楽しかったです。
ご覧になった皆さんも、機会があればぜひ赴いてみてください。心奪われる絶景と、南国の風が待っていますよ!
おしまい。
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