【福知山線廃線敷】。明治時代から1980年代まで渓谷沿いを走っていたこの鉄道跡地を、ロードバイクで行ってみよう!…と、思い付きのままライドに出ましたが、そこには【思った以上の絶景】と【自転車ではとても走れない道】という現実が待っていたのでした。
…というお話の続きです。
停車場の跡のようなコンクリート基礎。なんだか【駅】のようで、そこはかとなくノスタルジックな感じがいいですね。地面の鉄板も気になる…。
相変わらず美しい渓流。青とも緑ともつかない石灰岩の色目が絶妙なニュアンスを醸しだしてる。
生瀬から武田尾へは川を遡上するルートになるので、上流に行くほどに景観が美しさを増します。
これぞ鉄道遺構の跡、といえる【枕木】の山。枕木って「鉄芯」が入っているんですね。だから丈夫なんだ。
何年ここに積んであるかはわかりませんが、防腐処理もあってか朽ちることなく形をとどめているのには驚きます。さすが鉄道インフラの基礎を支える資材ですね。
こういう【断面を背景にしてバイクを収める構図】は、ついついやっちゃいがち。でもよく考えると枕木をバックにできるなんて機会はめったにないことに気づきます。
ちょうどいいタイミングで、またや【トンネル】。廃線敷は約5kmの道のりですが、歩いていて単調にならないのはこのトンネルのおかげです。【真っ暗闇】に入っていく緊張感がたまりません。
この感じ、あくまで私の感想ですが【銀河鉄道999】の世界観に通じるものがあります。「999で星から星へ」という感じでトンネルごとに「違う星に着いた」みたいな感じ。なかなかに良いメリハリです。
このトンネルは【レンガづくり】。どのトンネルも微妙に工法が違っているのも面白いです。
ライトを最大照度にして、スローシャッターを切ると…
どーん!とトンネルの全体像が把握できました。きっと今後は維持補修などされなくて「崩れたら終わり」だと思いますが、歴史を感じる造りが確認できます。今見ておいてよかった!
トンネルを抜けると…て…鉄橋だ!!…本当に廃線跡なんだ、と実感する圧倒的な説得力。
そして、頭の中でウッドベースのイントロが始まる…
“When the night …has come…♪And the land is dark…♪”
”So darling,darling …Stand…by me! …oh…Stand by me…♪”
まさに、スタンド・バイ・ミーでしかないロケーションが!!!うーん。浸るしかないですね。
やはりこの鉄橋は廃線敷きっての撮影ポイントになるので、人が滞留してしまうポイントです。自転車の私はみなさんの邪魔になってしまうので、しばらく通過待ち。
折角なので、待ってる間にトンネルの造りをしっかり見ておくことにしましょう。
こういう規則性の中の不規則とか、好き。
トンネルで後ろを振り返るとこう。夜とか絶対無理なやつ。たとえ人だとわかっていても【後ろから足音】とか怖すぎる…。でも好き。(変態)
そしてタイトル画、どーん。
まさに【鉄道遺構】の感じが滲みだす良いロケーションです。人の通りが絶えるのを待ってよかった。ちなみにこの時は冬ですが、春から秋のハイシーズンは、ハイカーだらけでこんな閑静な感じで写真を撮るのは苦労しそう。
赤い鉄橋。ペンキの赤と錆の赤が混ざって、なんとも言えない「鉄橋の赤」になっていますね。
川を渡る鉄橋なので、この先は川の流れが自分の右手から左手に変わります。急峻な山間を抜けたので、ここからは山と川の表情が穏やかになります。
延々と続く枕木。まさに廃線跡。
自転車を押しながら、あまりにゆっくり歩いたので陽が傾いてきました。でもこの西日がいい感じ。
いままでなかった見慣れない看板。ゴールの【武田尾】が近づいてきた証です。
ちなみに【武田尾】の付近はある程度の距離が「導入区間」として整備されていて、親水広場や展望広場などのハイキング系設備が充実しています。廃線の雰囲気は薄れてしまいますが、ライトなハイカーや家族連れはこちらの方が廃線敷を楽しめる区間ということですね。
いよいよ最後のトンネルです。あの光の先が…
ゴーーーール!!無事に【武田尾】に抜けることができました。奥に見えるのは【温泉橋】らしい。
ゴール地点のあか抜け具合には少し驚きました。かなり整備が行き届いていて、公園化されています。展望デッキ的なつくりで駐車場もあるみたい。
入口(生瀬)と出口(武田尾)のギャップがすごいですが、思い返すと入口付近も工事をしていたので、ひょっとしたら生瀬も同じようにきれいになるのかもしれません。
工事とともに移設されてしまった感がある【武田尾稲荷神社】にお参りしておきましょう。
武田尾といえば、知る人ぞ知る【武田尾温泉】。近隣では日本最古を自称する【有馬温泉】が有名ですが、こちらは「ひなびた温泉地」としてマニアをうならせるロケーションが魅力なのだとか。
事前調べで、冬期の日帰り入浴はやっていないを確認していますが、せっかくなので温泉地の風景を見ていきましょう。
川の真ん中にあった、不自然なほどでっかい岩。下の人たちはピクニックかな?と思ってよく見たら、ロッククライミングのトレーニングをされてました。すげえ!
これが【武田尾温泉】の温泉宿エリア。なにやら風情…というか、独特のオーラを感じます。
冬以外は入れるらしい、日帰り入浴の【元湯】さん。前の写真にあった坂を上った先にあります。まさに「奥地」と呼ぶにふさわしい場所と雰囲気です。この一帯、行った日には人の気配がなく、なんというか…少し怖かったです(笑)。
この吊り橋の先に【JR武田尾駅】があります。電車を利用する場合は、生瀬か武田尾から片道全線のハイキングが楽しめます。車で来るなら往復がしばりだから、あまり長くは歩けないのがデメリット。
そう考えると自転車の場合、片道全線を歩けてゴール後はそのままライドに切り替わるという、意外と楽しい条件なのです。ということで、武田尾を散策した後は、宝塚の山中を抜けて自宅までライドを楽しみましょう。
武田尾から大阪北摂へは、新名神高速道路の側道を使ったハイスピードライドが楽しめます。新しく整備された道は、広くて路面状態も良く、ほどよいアップダウンがあってリズム感がいい。
池田まで一気に帰ってきて、ふと気づけば高台からの街並みが綺麗でした。
思い付き日帰りライドで行った【福知山線廃線敷】は「近場にある異世界スポット」として、とても楽しめるコースです。
【総距離75km、獲得標高680m、実走行時間4時間10分】実際は時間の半分は徒歩だった気がしますが、ライド&ハイクとしてバランスの取れた行程でした。
おしまい
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