日本の原風景「和束の茶畑」へ【自転車×日記】

自転車×日記

これは秋の入り、まだ残暑がきつかった時のお話。

平日に一日暇ができたので、少しロングライドをしてみようと思い立って「和束の茶畑」を見に行ってみることにしました。

ちょうど途中には一度行ってみたかった「万灯呂展望台」もあるので、近場の初めてルートに出かけてみることにしましょう。

京都&奈良方面へのライドでは、まず「さくらであい館」を目指すのが定石。

平日早朝のであい館では、珍しくサイクルラックに自転車がかかっていません。ここを独り占めできるのはちょっとレアですね。

まずはここから木津川沿いを走って、山城大橋を渡るところまではおなじみのルート。

以前にこのルートで宇治田原にある風鈴のお寺「正寿院」に行きましたが、今回はここから別ルートに。

カップル向けには「夜景がきれい」だとか言われている「万灯呂山展望台(まんどろやまてんぼうだい)」方面にハンドルを切ります。

展望台へ向かう細い山道の所々には「茶畑」が作られていて、さすがに宇治と和束という有数のお茶の産地に囲まれたエリアだということを実感します。

登り始めから約3km、平均7%くらいのそこそこの斜度がある一本道を登っていくと…

山の中腹にある「万灯呂山展望台」に到着しました。

標高は300mもなく、そんなに高い場所ではありませんが、ここからは木津川を挟んで京都の街がよく見通せます。霞がかっているのは致し方なし。

時折涼しい風が駆け抜けるここは、軽いクライムのあとの休憩場所として最適ですね。

展望台に別れを告げて、今度は山中を通って「和束町」を目指していきます。

半分林道のような細い山道を淡々とクライムしていくのですが、思ったより登らされます。先ほどの展望台は決して頂上ではなかったのだと、改めて実感。

少し大きい通りに出たと思ったら、聞いたことのある名称が…「大正池」。京都のクライマーの中で有名なあの峠ですね。

…ということは、まだまだ登るわけか(汗)

森の中に小さな小屋を発見。なにやら雰囲気がありすぎて素敵ですよ。

三段に積み重ねられたおそらく手積みの石垣と沢を渡る手作りの橋は、ジブリの世界観を彷彿とさせます。

わかりやすい「和束町」へいざなうゲート。この異世界への入り口が一層厳しいヒルクライムへと導いてくれるのです。

この林道の雰囲気はとても素敵なんですが、ところどころで容赦ない斜度が襲い掛かってきます。

体感では平均10%くらいなのでは?…でも路面が綺麗なのは少しうれしかったりします。

…なんか今日はひたすら登り続けていますね。

でも、登り続けた先には必ず「ご褒美」があるのがロードバイクのお約束!!

峠から見下ろす景色。牧草地のようにも見える若草色は、すべて「茶畑」。あれが有名な「和束の茶畑」なんですね。

この景色を見て「おぉーー!」と感嘆していたところ、後ろから追いついてこられた壮年のローディーさん(以下、ロ)に話しかけられました。

ロ「道に迷ってこんなところに来ちゃったんですけど、すごい光景ですね!」
私「私も初めてなんです。きっとあれが有名な茶畑なんですよね。ちなみにどこから来られました?」
ロ「実は関東から出張で大阪に来て、ロードもってきちゃったんですよ(笑)」
私「おお!それはスゴイですね。私も全国旅をしたりしていますが、関東は行ったことがなくて。」
ロ「いや、関西も走れる場所がたくさんあっていいですよね。しばらく休みのたびに走ろうと思ってるんですよ。」
私「それいいですね。ぜひぜひ関西を満喫して帰ってください。」
ロ「それにしても、今日迷わずに家に帰れるのかな…(笑)」

峠の頂上で、見知らぬ人と絶景を見ながらおしゃべりするのも旅の楽しみです!

さて、峠から九十九折のダウンヒルをおそるおそるこなして、たどり着いたのが和束町。見渡す限り一面の「茶畑」です。

宇治の茶畑も存在感がありますが、和束では山あいのすそ野一帯がすべて茶畑というスケール感。さすが京都最大の茶の産地

この一帯をぶらりハイキングやポタリングをするだけでも楽しそう。

そうそう、この景色を見に来たんです!

素敵な景色を見ながら集落をウロウロしていると、先ほどのローディーさんと幾度かすれ違います。「あっちの景色よかったですよー」とか、嬉しい声かけもあったりして、旅の気分が盛り上がります。

お茶の緑がまぶしい「和束町」。この風景が日本遺産に選ばれるのにもうなづけますね。

さて、茶畑を堪能したら、そろそろ大阪へ戻ることを考えないといけません。

木津川まで戻るのも芸がないので、ここはもう一つ山を越えて宇治方面から帰るルートを選択。

その前に、せっかくお茶の産地に来たんだから。と、小さなカフェで抹茶のソフトクリームをいただきます。残暑厳しいヒルクライムのあとに、この冷たさが染みる!

…さて、写真はここで終わっていますが、実は帰路に選択した府道62号線、通称「宇治木屋線」が鬼門でした。まさに地獄のヒルクライムルート…クライマーはこういうの好きなんでしょうけど…斜度14%を超えてくる旧道の峠道に私の意識は朦朧としてしまい、完全に熱中症気味となって、ほうぼうの体で帰宅することになるのでした。

そんなこんなで、最終的なルートはこんな感じです。

相変わらず暑さに弱い私。「残暑を甘く見るな」という教訓を改めて学ぶことになったのでした。

それにしても、風情と迫力があった「和束の茶畑」。少しきつめのクライムルートですが、身近に絶景を感じることができるおススメコースです。

…というお話でした。

めでたし、めでたし。

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