プロローグ
冬場は走る場所に困ってしまう…。
北摂に住んでいるとすぐそこにある山に向かいたくなるものの、この時期は雪や凍結が怖いし、天気と気温を見てよく考えないといけません。
特に今年は「10年に一度の大寒波」なるものが来て、大阪の平地も一面雪景色になるなんて事件もありましたし。
で、土曜の夕方に明日のルートを試案していたら、テレビで三田村さんが美味しそうな日本酒を堪能しているじゃないですか。なんて羨ましい。この人の仕事を引き継ぎたい…(笑)
さて「おとな旅あるき旅」この日は京都市の伏見区だったようす。そういえば夏ごろに桃山城をニアミスしてしまったし、日本酒の酒蔵も見てみたくもあり。
ルートは川沿いで簡単に行けちゃうわけだし、冬場の平地ライドとしてはうってつけだ!
よし今回は京都の伏見区に行ってみよう!
かつてのキャッスルランド「伏見桃山城」へ
もはや写真も説明も不要ですが、京阪奈ライドの拠点は「さくらであい館」。今回もここを始点に宇治川を北上していきましょう。
堤防の上は風通しが良すぎて冬場は寒いことこの上ないけれど、無駄にケイデンスを上げて心拍と体温を上げるのが私流の冬の走り方。
体もなんとか暖まり伏見の街が見えてきたころ、鉄橋の上にお城のシルエットが現れました。あれが「伏見桃山城」ですね。
観月橋を渡り、伏見区の市街地にある小高い丘を登っていくと面白い標識に出会いました。
「近くに城アリ」を教えてくれているのでしょうか。とにかく説得力だけはすごいですね。道は決してまちがっていないことがわかります。このまま登っていくといいわけだ。
ほどなくして丘を登りきると、出迎えてくれるのがこの大きな門。
実際はこの手前には観光バスも入れるような大駐車場があって、自転車もそこに止め置きする形になっています。
タイトルにもありますが、ここは昭和~平成初期に関西で少年時代を過ごした人は皆聞いたことはあるだろう遊園地「伏見桃山キャッスルランド」の跡地を公園化した場所です。
その昔、関西にはエキスポランドや宝塚ファミリーランド、神戸ポートピアランドに奈良ドリームランドなど多くの遊園地があったんですよ。そういえば梅田のデパート屋上も小さな遊園地だったなあ…なんて郷愁じみたものも感じてみたりして。
どーーーーん!! 伏見桃山城だ!! どうだ!!
といっても、実は遊園地のランドマークとして昭和の時代に建てられた模擬天守です。史実通りかわかりませんが、極彩色の天守は派手で凛々しくもあります。
残念ながらあたりにはロープが張られ立ち入り禁止。近代建築ですが維持管理の面で苦労してそうですね。文化財でもないので老朽化してもあまりお世話はされていない様子でした。
以前に自走で琵琶湖を目指したときにすぐそばを通ったのですが、道ひとつ間違えてニアミスしちゃっていたので今日しっかり到着できて満足です。
「伏見桃山城」、京都観光のHPには「文化的・歴史的価値はありませんが」って書ききられていますが、昭和を生きたランドマークとしてこれからも長持ちしてもらいたいものです。
徳川のお膝元!?「御香宮神社」
伏見桃山城のある丘から伏見の街が見渡せます。住宅街の隙間から見えるこういう遠景も好き。
このあたりの土地勘は全くないので、とにかく一度下りてみて、平地に出たら地図を確かめてみよう。
で、麓まで降りてきたら、道の真ん中に大きな鳥居がありました。
とにかく確かめてみないといけませんね。
鳥居を抜けると「大手筋商店街」のアーケード。左には京阪電鉄の伏見桃山駅もあるので、いわゆる中心市街地ですね。
とにかく人が多くて、バイクとともにこの先へいくことはできなさそう。ところで神社はどこなんだろう…。
周りをキョロキョロ観察していたら、鳥居のすぐ横に神社の門を見つけました。90度曲がってちゃわからないわけだ。
門の石柱には「御香宮神社(ごこうのみやじんじゃ)」とあります。
中心市街地にありながらも広い境内。商店街のにぎわいから想像できない静けさと厳かさ。
その昔、病気に効く「香水」が湧き出ていたことから、その名がついたそうな。ここのお水は酒作の水と同じ水脈のものでもあるらしい。
この時は神主さんによる御祈祷が行われていました。連なる行燈と渡り廊下の仕立てが独特です。
個人的に気になったのがこの化粧。「葵の御紋」と独特の配色はきっと徳川家のものだろうから…。
帰って調べてみるとやはりそのようで、秀吉亡きあとに家康がここに建て直したらしいことがわかりました。関西人にはなじみが薄いこの御紋には反応しちゃいますね。(笑)
新春のなごりか、おみくじを引きに来ていた近所の小学生4人組。
少年期の後ろ姿が「スタンド・バイ・ミー」感にあふれていて、思わずシャッターを切っちゃいました。これも大人のノスタルジーだ…許してね。
自身の無知を恥じる「酒蔵」と「寺田屋」
さて、ここからは三田村ちっくに伏見の酒蔵の街をポタリングしましょう。
あたりの景色と空気は、完全に日本酒の街のものになってきましたよ。
有名な「月桂冠」は、この伏見の地にあったのですね。知らなかった!(1回目)
残念ながら今日は自転車なので飲めません。飲酒運転になっちゃうので。
入館したかったけれど、利き酒にありつけないなら…と考えて泣く泣くパス。次は電車で来よう。
町並み全体がこんな感じで、まさに江戸時代。バイクの存在が浮いちゃっています。
ちなみに、大寒波のあとだったので、まだまだ雪が残っていました。寒いけれど写真的にはこの方がいいかもしれませんね。
へー、昔ながらの旅館もあるんですね。「旅籠(はたご)」という看板にも味があります。
この街の雰囲気にマッチしていていい感じ。こういった建物がなくならずにあるのも京都だからなのでしょうか。
…ん?「てらだや」?聞いたことあるなあ…
…!!?
って、あの「寺田屋事件」の「寺田屋」ですやんか!?(ここだけ関西弁)
伏見にあったんですね…知らなかった…。(二度目)
まごうことなき幕末の跡地。歴史の証人。井戸なんてほんとにそのままです。
尊王攘夷と維新の志士。日本の歴史の大きな転換点がこんな身近にあったなんて驚きです。
京都には多くの寺社仏閣があって、観光はそちらに寄りがちだけど、この地で国の将来に命を懸けた人達の激動の足跡を見ることにも大きな価値がありますね。
ブログで何度も書いているけれど、高校の時世界史を選択したので、今になって日本史に疎いことが悔やまれて仕方がない。
ということで、伏見の地にはこんな通りもありました。一見すると高知県のようですが京都市伏見区です。
お、通りを一本違えると、またもや見覚えのある文字が。
やはり昭和世代にはなつかしい「かっぱっぱー♪るんぱっぱー♪」でおなじみの「黄桜」もなんと伏見区でした。知らなかったー!(三度目)
ここは「黄桜」の歴史や商品を紹介する無料施設「カッパカントリー」。そうそう、この色っぽいカッパのお姉さんには、子ども心にドキドキしたものです。
そういえば最近は「黄桜」より、横文字の「kizakura」の方がよく見るような気がします。
とにかくカッパづくしの資料館。
黄桜といえばカッパですが、ほんとに商品宣伝のために作られたキャラクターで歴史的ないわれなどはないそうです。
お色気カッパお姉さんです。いやらしすぎず美しい、自然な感じがまたいいんですよね。
原画の作家の方の紹介もあって、黄桜の歴史に触れることもできました。
伏見区の伏見(ふしみ)のいわれは、この「伏水(ふしみず)」から、だったのですね。この水がお酒造りに適していたと。なるほど、知らなかったー!(四度目)
川をはさんで向こうに見えるのは「月桂冠」の工場。
残念ながら外壁の改修中で一面が養生されていましたが、本来はここからの景色が伏見の酒蔵の代表的な光景なんだとか。
酒蔵の街を抜けて、そろそろ帰路につこうかという時に、おもしろいお寺を見つけました。
特徴的な門をもつこのお寺は「長建寺」。弁財天さんを祀っているようですね。あと、住職さんの筆跡も独特だ…。
ジュディ・オングが!?知らんかったー!(五度目)
弁天さんを祀っているので「Wind is blowing from the Aegean~女は海~♪」ということか…。とにかく一風変わったお寺なのでした。ここはパラダイス認定かも知れません。(笑)
京都伏見ライドのまとめ
宇治川をもどってきて、さくらであい館にゴール。うん、安定のルーティングです。
自宅のある大阪北摂から往復で60km程度、半日ライドとしては観光も含めてちょうどいいコースです。意外とこれは人におススメしたいルート。
伏見桃山城を観光して、酒蔵を巡って、歴史に思いを馳せる。京都の中心地でも同じようなことができますが、伏見はそれより幾分ディープな楽しみ方ができるのではないでしょうか。
で、しっかりサコッシュにお土産を詰めて帰ってこれる距離感でもあります。
黄桜カッパカントリーでの戦利品はこのとおり。
私、もともと日本酒は苦手で飲まなかったのですが、このライド以降いろんな日本酒の利き酒を楽しむようになったのでした。
めでたし、めでたし。
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