さて、今回のツールド秋休みでは「岡山~鳥取~島根」と、中国・山陰地方を1泊2日かけて約300km走ってきたわけですが、そもそもの旅の動機は別のところにあったわけで。
⇐詳しくは、1日目のプロローグにあるとおりなので、興味のある方はコチラから。
という前置きをもって、この旅における最後の物語をここ「JR出雲市駅」から始めましょう。
牛丼でおなか一杯になって、ホームでのんびり列車の到着を待っていたら、何やら懐かしい車両が入ってきましたよ。
これは旧国鉄型車両の「特急やくも」じゃないですか。昭和生まれにはたまらない造形ですね。地方路線で見かける列車はどれも印象深く映ります。
ホームの電光掲示板に、憧れのあの寝台列車の名前が表示されました。このワクワク感は、小学生のときに新大阪のホームで初めての新幹線(もちろん0系)を待っていた、あの気持ちと同じです…。
……!!!
キターーーーー!!! サンライズだーーー!!!!!
うおおぉーーー!!2階建て車両だーーー!!
エンジとベージュのツートンからの大型車両。これをまじかで見ることになろうとは!
ちなみにホームにいる皆さんは一様にスマホを向けておられます。やはり寝台列車なんてそうそう乗れるものじゃないですからね。
【特急サンライズ出雲 東京行き】を証明する電光掲示がまぶしい!
そう。今回はこれに乗って、なんと「大阪へ帰る。」という大作戦を決行するのです。
…と、出だしがかなり興奮気味だったので、ここで今回の行程を落ち着いて整理したいと思います。
島根県出雲市から大阪へは、岡山を中継地点として特急と新幹線を乗り継ぐ行程が一般的ですが、乗車時間4時間超、料金1万円超となり、通常でもそこそこの時間と経費を要します。
そこで今回選択したのが、この「サンライズ出雲」。本来は出雲市~東京の950kmを12時間かけて運行する便ですが、東京行きの上り便に関しては、なんと午前0時過ぎに大阪駅に停車するのです。一応日をまたぐので「寝台列車」に乗った気分にもなれるというシチュエーション。
肝心な運賃ですが、こちらはかなり割高になるので要注意。というのは、通常の「運賃+特急料金」に加えて「寝台料金」がさらに加算されるのです。この旅時点では【乗車運賃6,600円+特急料金2,640円+寝台料金6,600円=合計15,840円】となりました。同じ経路を特急+新幹線で帰ると約10,000円なので1.5倍の値段となってしまいます。
寝台の部屋にはいくつかグレードがありますが、私は一番リーズナブルな「ソロ」を選択。寝台料金は距離に関係なく1室料金なので、大阪で下車であっても満額がかかります。5時間の旅ですが1室貸し切りなのでこれは致し方ないところ。むしろこれだけのアップチャージで憧れの体験ができるのだから、寝台列車に憧れる方にとっては必要十分な支出とも考えられますね。
そして、最も大切なのが「サンライズは完全予約制」であるということ。人気の列車ですので、当日に席が空いていることはあまりないそうです。予約は乗車日の1か月前からなので、乗車を考えている人は旅の日程から逆算しておさえておく必要がありますので、十分ご注意を!
それでは、ここから「サンライズ輪行」の様子をご覧ください。
サンライズの車両は完全個室型で、中央に廊下(?)があるだけのレイアウトなので、出入り口のスペースにバイクを係留することになります。
時折、車掌さんが巡回されていますので、必ず自分の荷物であることをお伝えしておきましょう。
ちなみに個室が1階(フロア側)だと、無理すれば個室内に入れることも可能だと思います。
客車の車内風景。
個室スペースを最優先に設計されているので、廊下の幅は最小限。手ぶらでもすれ違うのは難しいので、対面の場合はアイコンタクトが重要です。(笑)
手前の20号室が私のお部屋。自分で登録できるナンバーロックで施錠ができる仕組みです。
うおおおぉおおーーー! 立派な個室だーーー!!
と、思わず声をあげてしまうくらい素敵なお部屋。寝具はもちろん備え付け。
枕元には照明やアラームのスイッチもあって、まさに寝台列車の装備です。なにより2階席はこのルーミーなパノラマキャビンが最高です。私的には2階席一択ですね。
私の旅の「ひとり打ち上げ」に必要なスペースもこのとおり。完璧なマイルームだ!
客車の間には、このようなラウンジスペースがあるところも。車窓を眺めながら、ここでお酒やコーヒーを飲むのも素敵すぎる…、でも私の場合は完全夜行便なので外は見えない。(笑)
特筆すべきはこの「シャワーカード(330円)」。
ネットの情報では「乗車したらすぐ買え!」との進言が散見されます。なぜなら、車両編成全体でシャワー室が2か所しかないから。利用は先着順のため、当然人気で実際に売り切れもあるとか。
これについては事前に調べていて、乗車後のToDoリストの一番にしていたので無事手にすることができました。このカード使用後も帰ってくるので、記念としてもいいですよ。
シャワールームはこんな感じです。完全個室で利用できるのは1人だけ。
カード1枚で6分間シャワーを浴びることができます。男子的には必要にして十分な時間。シャンプーやボディーソープは備え付けですので、タオルさえあれば何とでもなります。
列車の揺れが大きいので、足元がおぼつかないままシャワーを浴びるのは、アクロバティックでなかなか面白いですよ。
シャワーの後は、別車両を探検。
この日は平日だったので、出雲からの乗車は少なめだったのか、空き室を見学することができました。
左の写真は「ノビノビ座席」。冒頭の料金の説明にはあえて記載しませんでしたが、この席はなんと「寝台料金不要」なのです。リーズナブルですがフェリーでいうなら2等席のイメージで他の乗客と空間をシェアする形のエリアなので、個人的には候補にならなかったのと、あと「寝台料金不要のため超人気」で予約がかなり困難な座席なんです。
右の写真は「シングルツイン」。2階席が半折り畳み構造になっていて、部屋全体が吹き抜け(?)で開放感がすごい。ソロ旅の私には縁のない部屋ですが、これも素敵なお部屋ですね。
さて、車内を十分堪能したので、ここからはわが部屋でゆっくり旅の打ち上げと振り返りタイムです。
夜のため残念ながら景色は見えませんが、このキャノピーの開放感はすごい。いつか東京まで行って朝方の車窓の風景を見てみたいものです。
出雲から大阪までは約5時間30分。この素敵すぎるマイルームで、お酒とおつまみ…あ、車内販売はないので事前購入は必須です!…を楽しみながら、旅の写真や行程を整理していると、だんだん睡魔が。
小一時間ほどベッドで眠りに落ちちゃいましたが、これもまた良き。まさに「寝台列車の旅」という感じがたまらないですね。
そうそう、乗車して初めて知ったんですが、この「サンライズ出雲」は岡山駅で四国・高松発の「サンライズ瀬戸」と合流・ドッキングして「サンライズ・エクスプレス」にパワーアップ(?)するのです。どうでもいいことかも知れませんが、子どものときに夢中になった合体ロボットアニメのようで興奮しちゃいました。
たのしい時間ほどあっという間に過ぎるもので、残念ながら気が付けば大阪に到着していました。
ホームで車両を見送るも「いつかは東京まで!」の想いが募ります。ブルートレイン時代の寝台車両にも憧れますが、現代において定期運行されている唯一の寝台列車。設備や旅情は現代風にアップデートされていますが、それでも鉄道旅として希少な機会であることには変わりありません。
こうやって、かねてからの夢であった「サンライズ出雲」での輪行旅を叶えることができた私は幸せものですね。
さて、この旅のオチなんですが、大阪駅到着は深夜0時30分ごろ。当然在来線は終電を過ぎていますので…大阪駅で自転車を組み立て、自宅まで約20kmの深夜ライドで帰宅となったのでした。
出雲~大阪をサンライズ利用される自転車人は、最後は自走ですよ!!とお伝えして、この旅を締めくくるとしましょう。
めでたし、めでたし。
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