正に絶景!乗鞍エコーライン【ツールド秋休み】乗鞍編(その3)

ツールド×旅Life

2日目の① 深い霧の中、畳平を彷徨う

一旦宿をチェックアウトしますが、ご厚意で荷物を預かってもらえることに。
ひとまず身軽になったので、畳平の散策に乗り出します。

とはいえ、霧が濃い…。

畳平にはバスターミナルがあり、ほとんどの人はバスで上山されます。そもそも乗鞍岳は自然環境保護の観点から自家用車の通行はできません。なのであとは徒歩か自転車。あ、タクシーはOK。

必然的にレストランや案内所を備えた大きなターミナルとなるわけですが、この日は視界が…。
周りを満たしても一切様子がわからないので、建物の中で情報収集です。

室内の案内板を見ると、レストハウスのすぐ裏には高山植物が咲き誇る【お花畑】
そして一番近い尾根に【魔王岳】という場所があるようです。
あっ…丁寧に最新の【クマ出没情報】まである。

…クマよけの鈴もってないし、この視界なら「森のくまさん」のごとく突然出会う可能性も否定できないよなあ…

とはいえ、朝一番に、またこの視界で、いきなり自転車で下山という選択肢はありえないので「別の登山パーティーの近くから離れない作戦」で散策をするとしましょう。

まずは【お花畑】へ。
…視界は50mくらいでしょうか。さすがに高地は秋の訪れも早く、9月中旬となると花の季節は完全に終わっていました。あらゆる条件が悪すぎる(笑)

それでも、地表を人の足で荒らさないように、しっかり整備されている木道が続いているので、ぐるりと1周することはできました。
高山植物なんて普段は見ることができないわけですから、貴重な場所ですよね。
初夏に訪れるときれいなようですから、一度はそんな時期に来てみたいものです。

続いて目指すのは【魔王岳】
バスターミナルから最も近く、徒歩15分で着くことができる山頂です。

ハイカーに歩きやすく整備された道ですので、SPDシューズでもへっちゃら。
そんなに急峻な道ではないのに、息がすぐに上がってしまうのは、やはり空気が薄いから。
こういう経験もしてみるものですね。なんだか新鮮です。しんどいけど。

登山道からは、畳平のシンボルである池【鶴ヶ池】がきれいに見渡せるはずなんですが、やはり霧が邪魔してくれています。
ここはなんとなくのシルエットで我慢しましょう。

【魔王岳】に登頂!!

【標高2,746m】の碑が、ここが頂であることを示してくれています。
それにしても【魔王岳】なんて、カッコいい名前ですね。登頂&征服した感があるじゃあないか!

しかし風がとてつもない…敵のスタンド能力か(ウソ)、直立姿勢が困難なほどの風。
霧が流れて風の流れが可視化されているので、視覚的にも迫力がすごいです。
とにかく登頂記念の写真をとって、そそくさと降りていこう。(クマに出会いませんように…)

そういえば、自転車での登頂記念の写真を撮っていないことに気が付いた。
昨日は悪天候&日暮れ後で余裕がなかったので、忘れずに帰る前に抑えておこう。

ということで【乗鞍岳畳平 標高2,702m】での1枚。おめでとうございます!!

…やっぱり景色がないと寂しいですね。

2日目の② エコーラインを下山

霧の様子にも慣れてしまいましたし、【お花畑】や【魔王岳】でも十分時間を使ってしまったので、そろそろ観念して下山をしないといけません。

一度、お宿にもどって、お礼を言って荷物を受け取ります。
「もう少ししたらガスがなくなると思うんですけどねえ。」とお心遣いの言葉をいただきましたが、外は相変わらずの様子。期待せずにいた方がいいかな。とか考えながら自転車にまたがると、下山道の入口にバス停看板を見つけました。

【自転車で来られる国内最高峰】はここなんですね。【標高2,716m】確かにいただきました!

天気のいい日に訪れたかったなあ…。心残りを感じてバイクにまたがった、その瞬間。

…!?

…晴れた!!

お宿の方すげーーーー!!まさに予言的中です。
乗鞍に上がって天候に迷った人は、ぜひお宿の方や案内所の方の予言に耳を傾けましょう(笑)

「一瞬で世界変わりすぎ問題」発生です!!
色鮮やかな稜線が、はっきりしたコントラストを伴って目の前に現れました。「眩しい!」そして「目が痛い!!」(笑)
実際に標高があがると、紫外線量が大幅に上がるようですね。

それにしても、山の天候ってどういう仕組みなんでしょう。

今から下る道は、昨日登ってきた道。のはずなのに。初めて見る道。

こんなに素晴らしい道を登ってきてたのか…。なんて美しい光景なんだろう。
遠くまでつづく稜線の迫力。九十九折の紅葉。うーん、筆舌に尽くしがたい。

帰る直前に、とんでもないラッキーを引いた気分です。

折角の恵まれた天候に感謝しつつ、ゆっくりゆっくり脚を止めながら下っていくことにしましょう。

ちなみに、この下り、おそろしくスピードが出ます。斜度がないのに一瞬で60km/hとか。
これはきっと空気が薄いから。日本最高峰は【最も空気抵抗が少ない地点】でもあります。
乗鞍のダウンヒルにはご注意を!

それにしても、景色の美しいこと!

感動のあまりテンションはMax。「うおーー!」「ひえーー!」「すげえええ!」と謎の感嘆詞で気持ちを表現しつつ、下っています。
すれ違ったハイカーの皆さん、奇声をあげて走り去って申し訳ありませんでした。

それにしても美しい。自然の雄大さと美しさ…もう語彙力が限界です。

標高によって表情が変わるのも、また楽しい。
だんだん紅葉が目の高さに迫ってくると、天界からちょっと現世に近づいているような妙なリアリティを感じたりしました。

そうそう、平日ですが時折ローディーさんとすれ違います。「こんにちはー!」と声を掛け合うのはローディのマナー。
みなさん登りの途中で脚を止めて、写真を撮っておられたり。
昨日のことを思うと…正直うらやましい(笑)

荒々しい岩のガレ場の斜面や、森林限界から針葉樹の森に戻る瞬間など、さまざまな表情を見ながら昨日のスタート地点である【乗鞍観光センター】に戻ってきました。

もう「キモチイイ」以外のなんの感情もない、アブナイ高揚感のもとゴールです。

2日目の③ 車でロングライド そして大阪へ

前日【乗鞍スカイライン】の通行止めというトラブルから始まったこの旅。
はるばる長野側まで来てしまったので、帰りの行程は5~6時間を見ておかないといけません。

時刻はお昼すぎ。まっすぐ帰っても夜じゃん。と思いつつ、疲れと事故に気を付けないといけません。何より標高2,700mから一気に平地にもどるので、体がどんなリアクションを示すのかも不明。

ひとまずは高速に乗っちゃう前に、お昼ご飯を済ませましょう。
選ばれたのは【道の駅 風穴の里】。なんだかカッコイイ名前ですね。

いただいたのは【山賊焼き定食】。ランチ時間少しずれてましたが、快くオーダー通していただきました。店員さんありがとう!

この鶏の【山賊焼き】(正確には”揚げ”ですが)が長野県のご当地メニューのようです。
濃い味付けと見た通りのボリューム感が、にわか登山者の空腹と疲れを癒してくれます。

デザートにはしっかり信州牛乳のソフトクリームを補給。私の旅にソフトは欠かせません。

あとは来た道を帰るだけ。長野自動車道>中央自動車道>東名高速道>名神高速道と乗り継いで、帰阪です。

彦根あたりで夕焼けを見て、大阪に戻ったのは日が暮れてからとなりました。
さっきまで、乗鞍にいたのに…文明の力とはすばらしくも恐ろしいものです。

エピローグ&まとめ

えてしてどの旅も思い付きから始まるものですが、この【乗鞍岳】はローディーにとってはやはり特別なところですね。

ロードバイクでいける【国内最高峰】へのチャレンジ。そして見事な景観。
私もこの時初めて訪れたのですが、【乗鞍岳】のあまりの存在感に圧倒されました。

ちなみに旅は2017年ごろですから、当時と今では状況が変わっているかもしれません。
ブログには描き切れていませんが、登頂記念バッチのガチャがあったり、霧の中魔王岳で遭難しかかって宿の方に見つけてもらったり、山頂の強風でバイクがすっ飛んで行ったりと数々の出来事がありました。

このころは旅に慣れていなかったので、いろんな瞬間が心に残っています。
地方のこと、草木や星のこと、カメラの腕前、メモをとること。などなど、今思うと「あれやっとけば良かった。」と思うことも多々ありますが、それでもいい思い出ですね。


それでは旅の行程を端的にまとめてみると、こんな感じです。

1日目  6:00 大阪出発(自家用車、高速利用)
    15:00 【乗鞍観光センター】着
    17:30 畳平到着【乗鞍白雲荘】に宿泊

2日目  8:00 チェックアウト
     9:30 【お花畑】散策
    11:00 【魔王岳】登頂
    12:00 下山開始
    13:30 【乗鞍観光センター】出発
    19:30 大阪着

経費  約38,000円(1泊2日)
    <内訳> 高速料金 約20,000円(往復)
         宿泊費  約9,000円
          食費等  約3,000円
         燃料費  約6,000円


1泊2日の自転車旅としては、タイムパフォーマンス・コストパフォーマンスともに良くないですね。
奇しくも長野側に回り込んでしまったのが大きいのですが。
大阪からは鉄道を乗り継ぐ方法もあるけれど、大きくは変わらないかもしれません。ただ運転の労力がないのは魅力的かも。

自家用車の場合は、グループ相乗りだとコストが下げられるかな。
若いころに関西から信州にスキー旅行にいったアレ。(笑)

しかしながら、旅の満足感&充実感はプライスレスです!!
【乗鞍岳】はサイクリストなら、一度は訪れておくべき場所ですよ。

おしまい。


    
    

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