<和歌山>本州最南端「潮岬」を目指す!【ツールド冬休み】

ツールド×旅Life

プロローグ

寒い冬でも旅には出る!とは決めているけれど、どうせ行くなら暖かい土地へ。

ということで、この冬に選んだのは本州最南端の和歌山県は「潮岬」です。少なくとも本州でここより暖かい場所はないはず。

まずは、ダイジェストからどうぞ。

結論から言うと、和歌山は「広すぎ」。とてもじゃないけれど、日帰りや1泊2日で回れるエリアではありません。

なので、実は今まで複数回和歌山を訪れているのですが、今回は3回目でルートはこんな感じです。

白浜から串本までの約80km。過去2回の旅はまだブログにアップしていませんが、今回が一番南のコース。いわゆる「南紀」とか「紀南」と呼ばれるエリアですね。

マップのとおり、海岸線をひたすら走るというコースプロフィールですが、これといった山を越えるわけでもないのに標高が950mということは、小さなアップダウンが「これでもか」というほどあった。ということです。

2月の旅でしたが、お天気に恵まれた狙い通りの暖かいライドとなったのでした。

それでは、はじまり、はじまり~。

スタート地にして佳境「南紀白浜エリア」

自転車旅人の朝は早い。とはいえ「JR白浜駅」に降り立ったのは午前10時。

同じ近畿地方と言えど、さすがに大阪からは距離がありますね。新大阪から始発の「特急くろしお」に乗り込んだのが午前7時35分なので、ここまでざっと2時間半の輪行旅です。

白浜はメジャーな観光地ですが、思ったよりも駅は質素。

けれど、これでもかというほど「温泉とパンダ」を推してきています。今回はどっちにも用はないので何か申し訳ない気持ちにもなります。

旧「特急オーシャンアロー」の車両や地元のゆるキャラたちがお出迎え。土曜日だったので、駅は歓迎モードでした。

改札を出ると数台のロードバイクが。お友達同士で待ち合わせてここから走り始めのようです。

ここは元気に「おはようございまーす!」とあいさつ。お話を聞くと同じ大阪からの皆さんでした。車載で来られた方と電車で来られる方の待ち合わせだったんですね。

この皆さんは白浜を巡られる様子。最後に温泉に入ってライドを終えられるのだそう。それもいいプランだなあ。

JR紀勢本線は「サイクルトレイン」を運行しているので、駅のいたるところにサイクルラックが常備されています。私もここで輪行解除して、早速使わせてもらいました。

バイクの組み立てや写真撮影などしていたらあっという間に時間が過ぎて、もう11時。

日帰りの遠方ライドでは、走行時間が制限されるので補給の回数とタイミングが結構重要だったりします。ここは少し早めの昼食をとってからスタートすることにしましょう。

で、目指したのは「とれとれ市場」。黒潮の通り道である和歌山で海産物を食べておくことはマストです。

とにかく巨大な「観光市場」。広い駐車場には観光バスもひっきりなしにやってきますし、店内もただただ広く、お土産からお食事処、マグロの解体ショーまでやっています。何より「とぉれとーれ、いぃちぃばぁー♪」のBGMがクセになる。

で、昼食はもちろん「海鮮丼」!!

たしか1,500円くらい。ここまで前振りしておいてなんですが、結論から書くとここでの食事はおススメしないかな…。昼食時にも関わらず乾燥気味の具材と少ないごはん。どんぶりだけが大きくてなんか全体的にミスマッチ感。

やはり観光客用に大量消費されるメニューなので、それなりのクオリティーでした。美味しい海産物は専門店でいただくのがいいでしょうね。…というのは個人の感想です。

とにかくおなかを満たせたので、ここからライド開始。さすがは観光エリアの白浜、いきなりリゾートチックな景色です。

今日はもともと80km程度のライド計画なので、5時間を見ていれば大丈夫。正午前に走り出して17時くらいに串本に着ければいいのだから、ゆっくり白浜エリアを流していきましょう。

案内看板に従って走っていると、あっという間についたのが「円月島」

陸続きではないので岸から眺めることになりますが、海岸沿いにいくつかビューポイントが設置されているのが良いですね。

大きな岩の真ん中に、これまた大きな穴が開いています。波の浸食による造形の不思議。

岩に生えているのはきっと「松」だと思う。醸し出される「和」のテイストがまた良し。

今日はスタート地だけど、夕方になると穴の向こうに夕陽が見えるという貴重な光景が拝めるらしいですよ。

そうそう、この旅からまた新機材を導入しました。いわゆるアクションカメラです。

DJI ACTION2 はサイコロ状の筐体を分割できる面白いカメラです。ハンドルバーや延長ロッドにとりつけてロードムービー作成の機材として頑張ってもらいます。

白浜といえば「白良浜(しらはま)」。文字通り白くて美しい浜です。

ここの砂は石英質の珪砂。つまりはガラスの原料になる砂らしい。でもなんでここだけなんでしょう。これも自然の不思議ですね。

夏には行くことはなくても連日ニュースなどでここの模様が流れるので、関西人はみんなしってる「ザ・海水浴場」。

冬には人っ子ひとりいませんが、それゆえに白良浜の美しさが際立ちます。

走行風から硫黄の匂いがするぞ、と思ったらすぐ横にあった「源泉」

白浜は関西有数の温泉地でもあります。夕陽の絶景ポイントや温泉、そして海産物となると、本来白浜はゴール地として設定する方が満喫できるのかも知れないな…

もうなんか、とにかく順番に回れるようにできているのが白浜エリアのすごいところ。

次についたのは「千畳敷(せんじょうじき)」

「見ろ、人がゴミのようだ!」…ではなくて。

太平洋の荒波に削られた岩場に立つことができる場所。写真でわかる人のサイズ感がこの岩場のスケールの大きさを物語っていますね。

ザザーーーーン!!と打ちつける波と巨大な岸壁の幾万年もの戦い。

この白浜の海岸一帯は確かジオパークに認定されていたはず。地質学的にも珍しいこれらの場所は一見の価値ありです。

アクションカメラをもってウロウロしていたら、さきほど白浜駅でお会いしたみなさんと再会。

「あれ?串本に行かれるんでしたよね」って言われて「あ、見どころがありすぎて、まだ白浜を出られてないんですよ」なんて言い訳を。(笑)

ここも岩場、どうやら「三段壁」の上あたりらしいけど、導かれるままに来てみました。

奥に柵が見えるのできっとその先にも行けるんだと思うけど、先を急ぎたいのでここまでに。

で、これが「三段壁(さんだんべき)」

やはり波の浸食によって造形された、美しい岩壁です。

個人的な感想ですが、ちらっとでも「恋人の聖地」とか混ぜられると冷めてしまいます。

観光地的にはあらゆる宣伝文句で人をあつめる必要に迫られるのでしょうが…。

海の家でもない、お土産と食事の両方を満たす観光地の売店。こういうのは好きです。

白浜エリアをぐるっと半周してきましたが、順番に回れてしまうところはさすがに全国有数の観光地ですね。

上記のほかにも、パンダで有名な「アドベンチャーワールド」もあったりと、白浜はコンテンツがいっぱいです。きっと白浜エリアだけでも丸一日ライド&観光が楽しめると思います。

しかし先を急がねば…串本まではあと…70kmは残ってる。

黒い浜辺と岩礁「志原海岸」

案の定、白浜で時間を使いすぎてしまったので、海岸線を結構本気モードで走っていきます。

ちょうどレストをとれそうな道の駅を見つけたので入ってみると、特徴的なビーチが。

地図で確認すると、ここは「志原海岸(しはらかいがん)」という場所らしい。事前には知りませんでしたが、旅の出会いは学びのチャンス。ここは浜辺に降り立ってみましょう。

…というように、こんなに素晴らしい場所だったんですよ。

先ほどの「白良浜」と対をなすような特徴的な「黒い浜」

その理由は、浜辺が「砂」ではなくて「小石」の堆積でできているから。

山から流れてきた石が摩擦や衝突によって、角が取れ丸みを帯びていく。社会科で習ったことですが最下流の浜辺にあるのは見事な丸石たち。こうやって実際に見て触れて勉強が学びに昇華されるのですね。

地図では少し南に大きな河口があるので、この浜の石たちはおそらく波によって再度陸に運ばれてきたものなのでしょう。

そしてこちらも特徴的な…なんていうのでしょうか。岩壁?ではなくて岩棚?とでもいうのでしょうか。

先ほど見た「千畳敷」とも「三段壁」とも違う、波によって浸食された岩肌には特徴的な「筋」が刻まれています。

自然の造る幾何学模様は美しくもあり、どこか恐ろしさも感じます。おそらく満潮時には海底に、干潮時にはこうやって地面となるのでしょう。その繰り返しでなぜかこうなる、ということ。

泥岩質であろう黒い岩肌が、やはり黒い浜とあいまって、この「志原海岸」独特の光景になっています。

それでもって、海の青さよ。

この時は気づかなかったのですが、奥に見える岩壁には浸食作用でできた洞窟もあったようです。よく見るとたしかにそう見えますね。

奥に見えるはエアーズロックならぬ「ベアーズロック」

たしかにクマの頭の形をしていますね。壱岐の島でみた「猿岩」に負けず劣らずの動物度です。

またこの岩だけが、不自然にポツンとあるというのも不思議な光景。

志原海岸で調子にのってドローン飛ばしたりしていたので、さらに時間はタイトに

すさみの市街地で休憩したかったけれど、ここを飛ばしていかないと間に合わなさそう。

はい、今回の目的地は「潮岬灯台」なんです。

台風上陸時に必ず出てくる「本州最南端の灯台」であり、さらに「日本ののぼれる灯台16基」のうちのひとつなのです。

毎度のことですが、灯台への入場締め切りが午後4時30分なので急がねばならない…わかっちゃいるけど絶景に脚を止めてしまいがちなのは自業自得なんです。

南紀の海岸線は、終始こんな感じ。

美しい海の景色と、岩壁に沿ったアップダウンがセットになっています。

岬をこえるたびに脚が削られていくので、油断できません。

「道の駅すさみ」にて。

前半で背負ったビハインドを挽回しようと頑張ったのが裏目に出た様子。思ったより気温が高くて汗を結構かいていたのに、水分補給を怠っていた様子。旅に慣れてきて油断していましたが、久しぶりの「脱水症状による脚つり症状」がでました。

こうなると、リカバーが難しいのは自分が一番よく知っている。観念してここでロングレストです。

併設施設に「エビとカニの水族館」がありましたが、とても立ち寄る気分にはなれなかった…。

時間にして15時30分、残り距離が30km。残念ながらここで実質的なミッション終了です。

旅の終着点、「潮岬灯台」そして「最南端の碑」

脚つりの症状をごまかしながら、ゆっくり岬のアップダウンを越えていくと「串本海中公園」が目の前に。なんとかゴール間近までやってくることができました。

海中公園といえば、この「海中展望台」がアイコンですね。本棟での水族館見学に加えこの海中展望台で自然の海の中を眺めることができるんですよ。

時間があれば立ち寄ってみたいものの、当然ここは見送りです。

最後の坂がきつかった…けれど、たどり着きました。これがあの有名な「潮岬灯台」です。

時間は17時15分。がんばった方ですが、やはり入り口はクローズ。こればかりは仕方ありません。

こうやって出雲の日御碕灯台にも、志摩の安乗埼灯台にも登れなかったなあ…と、苦い思い出を噛みしめながら反省タイム。

しかし、ある意味対策をしてきた!!

私の第2の目となってくれるドローン「空神丸」がこういう時にこそ活躍してくれるのです!

本州の最南端、本州を守るかのように太平洋に向かってひとり佇む「潮岬灯台」の姿は、凛々しくたくましく美しいのでした。

入ることができない灯台の周りをウロウロしていたら、ちかくに神社を発見しました。

その名も地名のとおり「潮御岬神社」。

岬の先にある質素な境内。灯台までは多くの人が来るのだろうけど、きっとここまで来る人は少ないのだとおもう。

けれど、きっとこれが「本州最南端の神社」になるのではないでしょうか。

潮御岬神社の参道を少し外れると遊歩道があったので、進んでみると…

ちょうど夕暮れ前の美しい岬の光景が出迎えてくれました。

灯台には登れなかったものの、きっと灯台に上っていたら気づかなかった場所・景色だったのかもしれません。これも旅の醍醐味のひとつですね。

潮岬には「本州最南端の碑」があるというので、それをもってこの旅を締めくくるとしましょう。

位置的に夕陽の絶景ポイントでもあるのだから、それなりに賑わっている…のかと思いきや、おそらく17時ですべての施設は締まっちゃったみたい。働き方改革なのでしょうか?(笑)

わかりやすい案内板。「あっちね」って言ってる感がすごい。

どーーーーん!!「本州最南端の碑」だーーー!!

西日本を中心にいろんな場所を旅していると、いくつかの「最○端」に出会いますが、この「本州最南端」というのはスケール感がまたスゴイですね。

紆余曲折あったものの、ともあれ目的の場所に着くことができました。

日没以降は、あっという間に暗くなってしまうのが冬の特徴。

串本からは輪行で大阪にもどりますが、食事をとる時間がないので車内用に地元スーパーで買い出しです。さすがに海鮮とはいかないので、ボリュームたっぷりの「かつ丼弁当」とおつまみ&お酒で手を打ちましょう。

潮岬と橋でつながっている「紀伊大島」には友好都市であるトルコの記念館があるので立ち寄りたかったのですが、タイムアウトであきらめざるをえなかった…残念。

19時すぎに無事ゴールである「JR串本駅」に到着。ここからは約3時間の電車旅で帰阪します。

いつもなら帰りの電車で「旅の打ち上げと振り返り」を楽しむ時間なんですが、脱水での脚つり以降体調が戻っていなかったので、乗車後すぐに偏頭痛からの寝落ち。

新大阪で目覚めたときにはスッキリしていましたが、これほど無自覚に疲れがたまっていたライドは初めてかもしれません。冬のはずなのに暖かすぎて、体が順応できていなかったのかな…。

和歌山ライドのまとめ

ということで、今回は本州の最南端を目指して、南紀白浜から串本までの約80kmを走った日帰り自転車旅でした。

冒頭にも書きましたが「和歌山はとにかく広すぎ」です。

紀北・紀中・紀南と大きく3エリアに分かれますが、その表情は様々。今回は紀南の海岸線西部を走りましたが、串本から東にも「勝浦~熊野」エリアがありますし、中央部なんかは秘境の山々が連なります。

その分、旅のしがいはありますので、四国一周のように何度かに分けて幾度も訪れるのがいいのかもしれません。

今回走った白浜~串本エリアは、海岸線沿いのある意味単調なルートですが、「ジオパーク」に焦点を合わせると様々な学びがあります。走り方や見方を変えることで楽しめるのも和歌山ライドの美味しいところだと思いますよ。

ということで、無事3回目の和歌山ライドを終えた私でした。

めでたし、めでたし。

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