九州の離島「壱岐島」を走る!【ツールド冬休み】壱岐島編(その2)

ツールド×旅Life

<自転車旅×1日目>

今回は、この【壱岐島】を1泊2日で回る作戦。wiki先生によると<面積133.8平方km/海岸線167.5km/標高212.8m>とのこと。瀬戸内だと【小豆島】に比較的近いイメージですね。朝イチから本気出せば1日で【イキイチ】つまり島一周できちゃうかもしれませんが、自転車旅ですから2日に分けてゆっくり巡りましょう。

これが1日目の実走ルート【総距離49km、獲得標高930m、実走行時間3時間00分】という結果。

島の西側にあたる【郷ノ浦港】を出発して、一気に島の最南端まで行き、島の西部を走ります。お目当ては新幹線の中で調べた島の絶景ポイントの数々。日没ごろに宿泊場所である【湯ノ本温泉】にゴールする。というストーリーです。

そして今回の旅の装備はコチラ。
冬の宿泊旅は荷物が多くなってしまいますが、最近はおおむねこのスタイルに落ち着いてきました。

収納系はハンドルバーバッグと大型サドルバッグ。ボトルケージには500mlボトルとツールケース。ペダル&シューズはSPD。ライトはフロント・リアともに2灯ずつ。といった構成です。かなりリアヘビーなので坂道でのダンシングには少し慣れが必要。

あと、ホイール&タイヤはカーボン×チューブレス仕様。これは冬だから。夏場であればアルミ&チューブド仕様になります。実は以前に夏旅のダウンヒルでカーボンリムを熱変形させてしまってるんですよ。夏と冬では外気温差30度はありますからホイール選択は結構重要ですよー。

島の最南端から【海豚鼻】

では、満を持して【壱岐島ライド】2日目のスタートです。さらば【郷ノ浦港】!。明日は別の港を利用するので、ここにはもう戻ってくることはありません。

郷ノ浦周辺は港町になっています。出発早々、河口の漁船や港町の風情に写真熱が高まりますが、いったん落ち着こう…いつも旅の始めはテンションがおかしくて中々進まない病が出てしまうので。

まずは、島の最南端【海豚鼻(いるかばな)】を目指すのですが、走り出してすぐに「暑いっ!!」。この日は天気も良かったのですが、壱岐島は元々温暖な気候のようですね。この日は冬ウェアにウインドブレーカーを羽織ってましたが、上着はすぐに脱いじゃいました。

だって「赤道」直下ですもんね(ウソ)。どうりで暑いわけだ。

走り始めてすぐにこうですよ。なにせ海が近すぎて…。結局いつもの病に侵されて、なかなか進まない私。

いちいち景色が素晴らしい…!!

壱岐の島はアップダウンが多くてメリハリのあるライドが楽しめます。さっき海岸にいたのに、気が付いたら高台から海を見下ろしている。なんてことが本当に何回もあります。それでもって景色がきれいすぎるんですよね。

冒頭に小豆島に近い。と書きましたが、景色は全くの別物。小豆島も長閑でよい島なんですが、京阪神に近くてどこか観光色の色濃さが印象的。壱岐の島も観光に取り組まれていますが、どちらかというと島の生活の匂いが色濃く、自然なままの離島の姿を至るところで感じられます。これが自転車旅人の情緒を刺激してくれるんですよね。

とか言いながら、やはり進まない(笑)。

なんども脚を止めてはもたもたしながら、ようやく目的地の【海豚鼻】に到着。スタートしてから約40分、距離にして8kmくらい。超ゆっくりペースですね。しかしながら自転車ではとても回りやすい島のサイズ感。そして、名所でありながら観光地にありがちな大きな看板がないところもまた良ポイント。

目当ての場所までの、この「焦らされ感」が本当に神がかっています。

ちなみに壱岐の絶景ポイントには、必ずメインへの導入となる「焦らし区間」が用意?されていて…。なにせ、ロケーションがとんでもなく【ワクワク感】を煽ってくれるんですよ。

そしてこの「トトロのゲート」(勝手に命名)を抜けた先に…。

う…おお…おおぅ!!!!

【海豚鼻】が、どーーん!!と現れました。

自転車で旅をしていると「言葉を失う」というタイミングが何度もあるんですが、そのたびに言語化できない語彙の乏しさを痛感し、また言葉にすることがためらわれるくらいの自然の偉大さに感動します。

まあ、ともかく第1ポイントからすごい所です【海豚鼻】。黄金色の野原と灯台と、空と海。船から見てた灯台はこれだったんですね。

巷の観光地と違う【壱岐島】の素晴らしいポイントは「柵がない。」ということ。淡路島とは大違いですねー。落ちたら自己責任ですが(笑)。ともかく、自然のつくりのままに解放されているので、その場の風景や空気をダイレクトに感じられます。つまりシャッターが止まらない…。

【海豚鼻】で独りぼっち(これも今考えたらスゴイこと)。岬の風に吹かれながら、しばしぼーっとする至福の時間を過ごすことができました。

では、次の目的地へ行ってみよう!

壱岐島の最高峰【岳の辻展望台】

【岳の辻】という、壱岐島最高峰にて島全体が一望できる絶景ポイントがあるらしい。と聞いては寄らずにはいられませんね。郷ノ浦から海岸沿いに走ってきたので、今度は内陸部を通って【岳の辻】を目指していきます。

海豚鼻から岬を下ったら漁港に出ました。このあたりも瀬戸内と大分感じが違いますね。小さな港に狭しと並ぶ漁船の密度は高くて、この島と漁業の身近さを実感します。このギュッと詰まった写真の感じが好き。

はい。さっそく道に迷いました(笑)。で、迷った先に旅人を誘い込む罠の数々が潜んでいるのも旅の常。素直に誘い込まれましょう。

【鏡岳神社】。女性二人組の旅行者が鳥居から先を眺めて立っているけど、入らない。なぜかと思って見に行くと岬の丘の頂上まで続く階段が!なるほど…そそられるけれど…ここは脚を温存です。

その代わり海でも見に行こうかと岬の裏に回ってみると…

どん!!…これです。この島には素晴らしい眺望しかないのでしょうか。

海の青さと岸壁。壱岐の島は溶岩質の岩島らしく、いたるところがこう、荒々しくも美しいのです。

ここは【初瀬の岩脈(はぜのがんみゃく)】と呼ばれていて、あの岩が間近で見られる場所がある…というのを小さな看板が案内してくれているんですが、どう見てもそこは民家の軒先?、先には石階段が続いているので、おそるおそる進んでみましょう…。

これは空き巣と間違われても仕方がないルート。そして恰好。(黒上下タイツ笑)

出たところがコレ。おお!!まさに「岩脈」だ!!難しいことはわかりかねますが、マグマの力です!!(たぶん)

正規ルートに戻ると島の中央を抜ける山岳コースなんですが、ところどころコレモンですよ。眺望ステキすぎ&2月中旬なのにこの緑。やはり島の気候が温暖な証なんでしょうね。

小さなアップダウンが繰り返されるのが壱岐の特徴。この【岳の辻】も標高は200m少ししかないんですが、たどり着くまでに何度も登らされています。しかも、リズムはいいんですが斜度は平均8~9%なので中々に脚を使います。壱岐に行かれる方は、登りの覚悟をしておいてください(笑)。

ちなみにここは、下の展望台兼駐車場。ここからもう少し登ると…

このような大パノラマが!

ほぼ360度の視界としてひろがっています!!!

上の展望台には、ひとり旅と思われる女性が。静かに遠くを見つめておられたので、何やら察して、立ち去られるまで待つことにします。

時期的なものかもしれませんが、この「独りぼっち。」でいられることも壱岐島旅の醍醐味です。孤独を楽しみつつ「独り占め。」できちゃうのもいいじゃあないですか。

「マンガみたいな雲」が愛おしくて、意味なくシャッターをきる私。

奥に見えるのは空ではなくて、キラキラ輝く海。この島、油断したら絶景のパンチを容赦なく浴びせてくる。

進路は西へ【鬼の足跡】

壱岐は【ウニ】で有名な島。なんでも【幻の赤ウニ】というのがあるんだとか…絶景を楽しみつつ、郷ノ浦の港町に戻ってきたのですが、看板を見て思い出しました。折角なので壱岐の港町をゆるりポタリングです。

プロローグで触れましたが、高校の修学旅行先がこの壱岐島。当時の記憶では朝イチから港へ釣りに行って、お昼にはお土産購入としてこんな港街を歩いたなあ…という記憶があって。

で、この神社を見て確信。【塞神社(さいじんじゃ)】です。写真ではなかなか寄りづらいのですが、男女の営みにまつわる神さま。

なんと表現していいか難しいですが、珍百景的なもの差しでいうとポイントが高いところで、男子高校生軍団には格好のネタであったことが思い出されます。不謹慎な過去の自分への戒めを込めて、しっかりお参りしましょう。

そして次に目指すのが、島の西端にある【鬼の足跡】。一体どんな場所なんだろう…。

というわけでたどり着いたのが【牧崎園地】。この自然公園内に【鬼の足跡】があるようです。伝承によると、大きな鬼がクジラを救い上げるときに踏ん張ってできた岩地の足跡。ということですが、それよりも目の前に広がる草原と海と空にすっかり心奪われます。

さすがにバイクに乗るわけにはいかないので、写真のためにゆっくり押して歩いていきましょう。

探す間もなく、すぐでした。伝説もともかく自然の力のすごさを感じます。波風に打たれて悠久の時を経てぽっかり空いた穴と入江。ドラマチックな景観です。

残念ながら日の角度の相性が悪く、うまく写真には収められませんでしたが、寄るとこんな感じ。強者は崖を降りて入江から写真を撮るようですが、タカイトコワイ私としてはパス。夕暮れ時は赤く染まるらしくて、それはそれは美しいそうな。

私的には、この馬の背のような岬、そして荒々しくも内陸を守ってきた岸壁の姿が心に刺さります。というか、ここも柵が一切ない!すばらしい…!!

あ、でも危ないので小さなお子様連れにはお勧めできないかも。

見る角度を変えると、コレですよ。ワイルドだろぉ。

そして雄大な【東シナ海】。この場所も独りぼっちで独り占め。最高の贅沢です。

入江の風景も美しすぎて…。言葉にならない…。

あまりに美しい【牧崎園地】そして【鬼の足跡】でした。

説得力ありすぎシルエットの【猿岩】

旅はまだ続きます。なんか絶景ポイント独り占め企画みたいになってきましたね。

この日は13時頃に港を出ていて、この時点で16時くらい。午後からのライドなのでそんなに距離と時間は稼げませんが、まだまだ欲張っていきましょう。

自分の影が長く伸びてきて、夕暮れが近づいてきたことを教えてくれます。次のポイントも島の西岸になるのでタイミングが合えば、夕陽が拝めるかもですね。

こんな景色がいたるところにあるから、なんてことない道路で脚がとまっちゃう。煙とかずるい。だからこの島が好き。

目指しているのは【猿岩】。その手前に【黒崎砲台砦跡】がありました。背景はともかく戦争遺構も歴史の証拠として旅先では見ておきたいところなんです。…が、途中から進入禁止になっていました。洞窟真っ暗でこわかったー。

【猿岩】どーーーん!!

はい。説明はいりませんね。誰がどう見ても猿です。あまりに猿過ぎる。頭の毛の生え方とかワザとか!とつっこまざるを得ないくらいに。

そしてここは修学旅行での思い出の一コマポイントでもあり。当時の野郎仲間で写真とったなー、と夕暮れ時もあいまって、少しセンチメンタルな気分になる私。うん、あの頃の青さと若さが懐かしい。

そんな【猿岩】は、角度を変えるとただの岩。とはいえ巨大な岸壁は大迫力です。

そして、タイミングよく夕暮れの時間帯になってきました。ちょうど1日目の最終ポイントでもあるので、ここでゆっくりしながら、沈む夕日を眺めることにしましょう。

水平線が橙に染まっていって、空にも独特のグラデーションがかかってきます。そして東シナ海の水平線を拝むのはこの旅が初めて。ストーンヘンジのような巨石群のシルエットもいい味を出してくれています。あの先はユーラシア大陸なんでしょうね。

感慨にふけっていると、お腹が「グーー」。落ち着いたらハラ減った。というか、よくよく考えると船でのカップヌードル以降は補給していないので、そろそろ頃合いかな。肝心の夕陽はというと、水平線の上に大きな雲がかかっているので拝めそうにはないし…。

じゃあ、そろそろお宿を目指しましょうか。

旅の疲れを癒しに【国民宿舎 壱岐島荘】

スイマセン。いちいち絶景を挟んでもらうのやめてもらっていいですか?という【壱岐島】。

景色の方では、もうお腹いっぱいです。まあでも、まだまだ入りますが(笑)。

【猿岩】から今回の宿泊場所である【湯ノ本温泉】へは、ほんの数km。あっという間に到着です。もっと暗くなるかと思っていました。絶景で脚を止めつつも間に合ってしまうコンパクト感が素敵すぎる!

控えめな看板。【国民宿舎】といえば公営の宿。昭和の香りも少し感じるので結構好きだったりします。

小さな入江の岬のてっぺんにあるのが今回の宿【国民宿舎 壱岐島荘】。昭和44年には当時の皇太子ご夫妻つまり現上皇さまが宿泊されたという由緒ある場所です。そして壱岐島一の温泉地である【湯ノ本温泉】でもあります。

さあ、久々の宿泊にテンションが上がってきましたよ!いざチェーックイィーーン!(意味不明)

6畳+αの和室にはすでに温かそうなお布団が。

そしてお部屋はオーシャンビュー!オーイエー!

このロケーション+温泉。1泊2日朝食付きで約5,500円って安すぎません??

いつもの旅では、ご当地料理とお酒を楽しみたいので夕食を外でとるのが常なのですが、この日は近隣がすべてクローズされていたので、宿舎内レストランでいただきました。

せっかくですので【うに飯定食】。加えて少し贅沢に【天ぷら盛り合わせ】といきましょう。そして独りですがビールで乾杯!!

【うに飯】はご飯にウニを贅沢に混ぜて炊きこんだもので、独特の触感と磯の香りがうまみを引き立ててくれます。とはいえウニのシーズンは4月からなので今は旬じゃない様子。じゃあ旬のウニはどれだけ美味いんだろう…。【天ぷら】はきっとご当地水揚げのお魚。サックサクの衣とぷりぷりのお魚の身が本当に美味しい!

壱岐といえば焼酎なんですよね。知ってます。けど焼酎の味わかんないもので、あえてのビール(笑)。

私を含めて宿泊客は3組。温泉は実質貸し切り。大浴場の独り占めはなんとも贅沢です。すいません、誰もいないので写真撮らせていただきました。

お湯は茶褐色。鉄分と硫黄を含むナトリウム単純泉だそう。しょっぱくて鉄の味がするいいお湯です。なんだかんだアップダウンが多くて、夕方からは微妙に脚吊りが出かけていたので、これはありがたい。湯船で伸びとマッサージをしながら至福の時間を過ごします。湯加減も最高だー!!

ちなみにこの間、ウェアは館内のランドリーでお洗濯。旅のウェアは一着のみが基本なのでランドリーは外せないのです。

湯上りにロビーのお土産コーナーを眺めて、サイダーとアイスを購入。和室でまったりしながら翌日の行程を組み上げていきます。思い付きで旅に出て、その場で旅程を組むのも楽しいもの。うん。宿泊旅はやっぱり最高だーー!!!

さて明日はどんな旅になるでしょうか。

それではおやすみなさい。

つづく。

コメント