プロローグ
春から中3になる息子の春休みを前に、どこか行きたいか尋ねてみたところ「自転車で旅がしたい」と嬉しい回答が!!
中学生になる直前の春休みに「愛媛~広島ライド」、GWに「小豆島ライド」を敢行していたのですが、思いのほかいい記憶が残っていたようで、久しぶりにまた走りたいという自発的動機が芽生えたのは自転車乗りの父としては嬉しいところ。

じゃあ体力もついてきた今、ともすれば高校生以降は一緒に行動してくれなくなることも考えて、ここでぜひ走らせておきたいコースの代表格「しまなみ海道」にチャレンジすることにしました。

関西在住なので、起点は本州側の広島県尾道市。終点は海道を渡り切った先の愛媛県今治市。この区間の往復を2日間ですることに。
片道80㎞ですが、食事や景観を楽しむポイントも多々あるので時間的には結構タイトかもと思いつつ、中学生の息子との「しまなみ海道親子ライド」の始まり始まり~
小さな海峡の町「尾道」から
自分自身ひとりだけでは何回目になるだろう??
というくらい、数年おきには訪れている街「尾道」。

ちょうど2010年代、ロードバイクが一大ブームになったタイミングで、うまくサイクリストファーストな街づくりをしてくれたので、景観ともども設備も全国有数の場所です。
海峡に面した「ONOMICHI U2」も10年以上経っていい感じに街並みに溶け込んでいますね。
身長が伸びた息子のために組み上げたGIANT(DEFY)のシェイクダウンも兼ねた旅なのでここでの写真は外せない!

ちなみに私はCerveloなのでGIANTの看板にかぶらないように気を付けて…(笑)

しまなみ海道ライドのスタート地点としてはほんとに整っていて、着替え、整備、補給に事欠かないエリアです。
また、この海峡を挟んだ港町の景観が良いんですよね。旅の始まり感がハンパない!
ちなみにこの日は大阪からバイクを車載してクルマで来ています。市街地の少し奥まったところの有料パーキングは1泊2日で1,500円くらいだったはず。
移動費を考えると1人なら新幹線輪行、2人以上は車がリーズナブルかな🎵
1島目、都会と海の狭間「向島」
尾道特有の風情あるこの光景が大好き。
何度来ても飽きない、どころかそのたびに癒されます。

尾道市街から対岸の向島にわたるためには、この「渡船」への乗船が必要なんですが、初めての人はまちがっても橋を渡っていこうと思わないように注意。
乗船料はひとり100円+自転車30円(だったと思う)。乗船時間は約5分。
国際的な自転車ルートでもあり外国人の方も多く、なれない手つきで小銭を出しているのもほほえましい光景。
文化の違いだろうけど、京阪神の観光地はアジア系の観光客が大半なのが、しまなみ海道は欧米系の観光客が中心になる。自転車文化やネイチャーツーリズムが浸透しているんでしょうね。
観光消費とはちがうベクトルで来てもらえる場所は本当に大切にしたいと思う。

さて、「向島」はまだ広島県の尾道市のエリア内。これから進んでいく各島の中ではもっとも都会的で人口密度が高い島でもあります。
市街地に行くと本州側と何も変わらないのですが、海辺になると景色がガラッと変わってくる景色の二面性がこの島の持ち味。

初めて走る人はまずこの光景に目を奪われます。
海峡にかかる巨大な橋と、向こうに続いていく道のワクワク感!
ちょうど橋の見えるポイントに展望所があるので、多くの人が(そして外国の方が)自転車をとめて写真をとっている姿も素敵ですね。
島内にはいくつか立ち寄りポイントがあるんですが、それは2日目の復路で訪れるつもりなので、行きは景色中心にまっすぐ海岸コースを往くのです。

橋が見えたらヒルクライムがセットでついてくるのがしまなみ海道。
橋って「丘の上」から海を挟んで対岸の「丘の上」にかかっているので、ぐるっと迂回して登っていくコースになっているんですよね。
とはいえ、レンタサイクルの性能でも登れる程度には斜度もゆるいので初めての方にも安心。とはいえできれば電動をお勧めしますが。(笑)
ちなみに登り坂では、息子が私をパスして先導していく…これは地味にショックだった。
ベテランサイクリストの出来上がった脚よりも、若いという自然摂理のポテンシャルに敵わないのは埋められない溝を見せられたようで💦

そうこうしていると、あっというまに橋の入り口に着きました。
看板にあるとおり、各橋は自転車と原付で同じルートになっているので、事故には要注意です。
2島目、はっさくと像が印象的な「因島」
向島と因島を結ぶのがこの「因島大橋」。
ここはしまなみ海道随一の特徴的な造りをしています。

こんな感じで、橋の上の道路ではなく「橋の中」を走るんですね。
解放感はあまりないんですが、海上を延々と続くトンネル様の道で行くというのも新鮮な体験です。
いつになるかわかりませんが、淡路島と鳴門市を結ぶ「大鳴門峡」も数年後に自転車可となるかも、という話がありますが、きっと構造上この形になると思われます。

まだそんなに距離を走ったわけではないですが、中学生のモチベーション的に「走るだけ」はありえないので、ここで一つご褒美補給タイムとしよう。
ということで、因島大橋を渡ってすぐ、看板に従っていくと到着するのがココ「はっさく屋」さん。

名前の通り「八朔(はっさく)」をメインとした和菓子&洋菓子があってイートインできちゃう。
3月末とはいえ暑い日だったので「はっさくソフト」、それとメイン商品である「はっさく大福」をいただきます。
このはっさく独特の「ほろ苦さ」がちょうどいいんですよね。自転車でさえなければお土産に買って帰りたいところ。

疲れをためない程度に休憩していくのは長旅には大事なこと。
大福を食べながら橋を眺めて一服です。

因島には「像」が多い。なんでだろう。
走りながら見ていくので、近づいてその由来を確認したりはできないのだけれど、唐突にあわられる作品たちには「なぜ?」がつきまとって離れない。
島に入ってすぐの公園には巨大な「恐竜」がいて…

ちょっと進むと「モアイ」と「大黒さん」。
気になるから写真は撮ってみるものの、謎は深まるばかりです。

因島もどちらかというと都会よりの島のイメージ。島内には自転車神社などの観光スポットもあるので、ゆっくり回ると色々楽しい島なんだと思います。
ルート的には一部市街地があってストップ&ゴーが多かったり、小さな峠で多少脚が削られてという点もあるので、今回のように前半で休憩を取っておくのがライド上のポイントになるかも。

さて、橋が見えたらおなじみの橋脚へのヒルクライムがあるのはどの島も共通。
少し脚にはこたえるけれど、景色が広がっていく感じはとてもステキで疲れを忘れちゃいますね。
3島目、レモンと食事を満喫するなら「生口島」

因島から次の「生口島」へつなげてくれるのが「生口橋」。
先ほどと違って自転車で橋の上を渡る形になります。解放感はやっぱりこの形がいいな♪

橋のたもとにはこの看板。ここから「生口島」です。
地図を見たらわかりやすいですが、この島はひたすら海岸線を走るルートになるので本気出したらちょっとしたタイムアタック気分も味わえます。

橋のかかる丘の斜面は一面の「レモン畑」。
旬がいつなのかは知らないんですが、3月下旬でも黄色い実がたくさんなっていました。
ちなみにいろんなところでお目にかかる「瀬戸内レモン」の表示はこの生口島産のレモンを指すと思ってほぼ間違いないと思います。

生口島はちょうどルートの真ん中にあたる場所に商店街や観光場所があって、ちょうどよいレスト場所になっています。
ひとり旅のときはハイペースで午前中に通過しちゃっていて、私自身がここで食事をとったことがないのですが、今回はスローペースの親子旅なのでここでちょうどよいお昼ごはんタイム。

しまなみ海道の特集番組やサイクリスト情報などで、かならず取り上げられる「ちどり」さん。
いつも立ち寄りたいと思いつつも素通りしちゃってるので、今回ここによれたことは相当嬉しかった私。ただしお財布的には少々厳しかった模様。(笑)

有名どころのひとつ「タコ」をふんだんにつかった「タコ天丼」は息子の注文。
ボリューミーな天ぷらには甘ダレがかかっていて、とてもおいしそう!(分けてもらえなかった人)

私はこちら「レモン鍋」を注文。TVとか見てどうしてもコレが食べたかったのです!
レモンの島らしい創作鍋ですが、さっぱり酸っぱい出汁でおいしかったです。つきあわせの「タコ飯」ともに最高でした!

ということで、生口島は「休憩」の島として利用しましょう。
日帰りレンタサイクルの人は次の大三島で折り返して尾道にもどる形がベストだと思いますので、この生口島のロケーションを生かさない手はありません。
島内には他にも超有名なジェラート屋さんもあるんですが、こちらは復路にていただくことに。
4島目、区間最大面積、サイクリストの聖地「大三島」
次の橋は「多々羅大橋」。
唯一島のなまえが付いていない橋なんですが、橋自体にいろいろお愉しみポイントがあるのが特徴なんです。

橋の橋脚に備え付けられている「拍子木」。看板には「多々羅鳴き龍」とあります。
走っていると素通りしちゃうポイントですが、気づいたらぜひ自転車をとめてやってみてください。
天に続く橋脚の壁を拍子木の音が延々と反響していきます。物理的現象なんですが、体験できるところって意外とないのでお勧めです。
声でもいけちゃうのでいろいろ試してみると面白いですよ。

そして橋の上に「県境」が!
海の真ん中で(下が海なので)広島と愛媛を渡ることができちゃいます。
ここはなんとなく写真が撮りたくなってしまうはず!

そして多々羅大橋を渡って降りたソコが「道の駅 多々羅しまなみ公園」であり、大きなモニュメントとともにある「サイクリストの聖地」です。
ここは本当に絵になります。愛媛県側の本気を感じますね。(笑)

愛媛県はしまなみ海道に限らず県内のサイクリングロードを本気で整備しにいってるので、お洒落で実用的な設備があちらこちらにあります。
この人型デザインのサイクルラックも出会った当初はしまなみ海道のイメージでしたが、愛媛県内を走っているとところどころで現れます。

道の駅としてもしまなみ海道中最大規模になるので、ここでゆっくり補給タイム。
特にボトルの補給は必須かと。

季節は春の入りですが、早い桜はもう咲き始めていました。
ずっと海辺を走ってきたので、ある意味しまなみっぽくない景色が新鮮ですね。
ちなみに「大三島」は名前の通り大きな島で、面積ではしまなみ海道随一だと思います。
この島を拠点にルートを外れて、うさぎで有名な「大久野島」にいけたり、広島に向かう「とびしま海道」に行けたりもするんですよ。
5島目「伯方島」、6島目「大島」の後半2島はほぼセット
大三島でも休憩をとったので、他は特に立ち寄らず次の島へ進みましょう。

区間中唯一のアーチ橋となる「大三島橋」を渡ると、その先が塩でおなじみの「伯方島」。
行程中もっともルートが短い島でおそらく距離にして2㎞程度くらいしかないので、通過ポイント的なあつかいになっちゃうのが申し訳ないところ。
ホントはここにも大きな道の駅があるのですが、さっき休憩したので華麗にスルーして次の島を目指します。
ごめんね伯方島。

次の橋は吊り橋の「伯方・大島大橋」。橋の名前もここでセットになっちゃった。(笑)
6島目になるこの「大島」がしまなみ海道中もっともルートが長くてアップダウンの激しい島になります。ちょっと覚悟がいりますよ。

そうそう、しまなみを訪れて初めて知ったのが「村上水軍」。
戦国の世にこの海峡を支配していた海賊なんですってね。

その村上水軍の拠点や城が、ここ大島の離れ小島に点在しています。

この島々にはたしか観光渡船で渡れたような気がしますが、すごく興味があるもののサイクリストとしてはちょっと立ち寄りにくいかも。
でも海流の激しい海峡と島の遠景は一目の価値ありです。

最後の道の駅「よしうみいきいき館」にたどり着くのはいつも夕方前。
なのでお店は半分閉まりかけているので、フルオープンのこの施設を見たことがない。
ちなみにこの道の駅にたどりつくまで、結構な斜度と距離の峠を登らされてへとへとでたどり着いているにも関わらず、です。(笑)

でも食券制のソフトクリームにはありつけたので、ここでまた小休憩。
ちなみにここは愛媛県、つまり「みかんソフト」です。
ここまで70㎞、中学生の息子は結構余裕でびっくりです。若さというエネルギーは無尽蔵ですね。
ゴール地点「今治市」はお城と焼き鳥の街

最後の橋は圧巻!全長なんと4㎞に及ぶ複合橋「来島海峡大橋」です。
先が見えない距離感の橋ってすごい!
復路で立ち寄りますが、あまりに巨大すぎて橋脚にエレベーターがついていて途中で小島に降り立ったりもできちゃうんですよ。

その4kmを無事に走破して、今治側に降り立った先にあるのがこのモニュメント。
いつごろにできたんだろう?少なくとも私史上初めてです。
にしてもいい写真が撮れますね!

遠景から見る来島海峡大橋。走りごたえありました!

ここからは宿までのんびり移動。
ホテルをとっている今治市街に向けて走っていくと…

どーんと目の前に現れたのが「今治城」。
日が暮れるまでまだ時間があるので、せっかくだから立ち寄りましょう。

ほんとは天守を内覧したかったんですが、16時30分をすぎていて入場できなかったのが悔やまれます。
とはいえ、これは復旧天守で内部は美術館らしく、現存十二天守にこだわる息子はあまり興味がなさそうなので良かった。

桜の咲き始めの季節。満開になると城下が美しく彩られるのでしょうね。

今治城を後にするにあたって、地味にびっくりしたのがこのお濠。
何におどろいたかって…

この魚たち、フナだとおもったら全部「フグ」!?よく見たらクロダイもちらほらといるじゃない…
このお濠、海に通じているんですかね。とはいえちょっと海岸から距離はあるんですが。

ということで、今治城のすぐ近くのお宿に到着~♪
今回は親子連れなので、設備が整ったビジネスホテルをチョイスしていました。
かの有名な「スーパーホテル」です。

ネット広告にもあるように、サイクリストフレンドリーなホテル…
…と言いたいところですが、自転車は屋外置きで輪行袋がないと室内持ち込みはできないもよう。
思ってたんと違う。サイクルラック置くだけならどこでもやってることで、サイクリストフレンドリーを名乗るなら館内に自転車置けるとか防犯的な扱いをしていただけなかったのはちょっと残念。
とはいえ、想定できそうなことで輪行袋を持ってこなかった自分にも落ち度はあるかな。

荷物を置いて着替えたら、いよいよお楽しみの夕食タイム!
食事は「今治焼き鳥」って決めてやってきたので、近くの焼き鳥屋さんに行きましょう。

串を入れずに鶏皮を鉄板で押し焼きするのが「今治焼き鳥」
皮好きの私には嬉しい料理。同行の息子も喜んで食べてました。

中学生連れなので焼き鳥屋では数品で切り上げて、今度は近所のスーパーへ夕食&夜食の買い出しに。

スーパーホテルの素晴らしいところはアルコール含めた無料ドリンクバーと持ち込み可能なフリースペースがあるところ。
では、ここで正式な親子打ち上げといきましょう🎵
旅のまとめ<往路編>
ということで、まずは尾道から今治の一方通行80㎞ライドが無事終了しました。
ルートは以下の通り。まっすぐ一本道で実際にはブルーラインをトレースしていくだけでゴールできますし、車道中心ですが車通りも多くはなく、超初心者向けのコースでもあります。
景色や立ち寄りポイント、休憩場所の自転車向け設備など考えると、改めて国内随一のサイクリングルートであることがわかりますね。
親子連れ想定で、平均時速15㎞、実走行時間で5時間+途中食事や休憩で2時間、であれば日帰り片道旅は小学生高学年くらいから可能かな、というのが感想です。
なお、ところどころ書いていますが中学生の息子は余裕でした。途中春休み中の高校生軍団がクロスバイクで走っていましたが、おそらく片道完走はできているはず。
エリア的に立ち寄りポイントも多いので、往復で使い分ける感じで行くと、ライドも観光もまるまる楽しめるのがしまなみ海道なんだと思います。
ということで、復路編につづく…
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