指宿のシンボル「開聞岳」を目指して!【ツールド冬休み】鹿児島編(その③)

ツールド×旅Life

鹿児島旅2日目 プロローグ

鹿児島旅の2日目は【薩摩半島】ライド。鹿児島市から【指宿」を目指し、薩摩半島から海峡を渡って【大隅半島】へ上陸し、【志布志】へ戻るというコースです。

本当は大隅半島の【佐多岬】へ行きたかったのですが、いつもの旅トラブルのため地図のルートに変更。全行程99km、獲得標高902m、実走行時間4h44mというライドになりました。

鹿児島中央から指宿へ

サイクリストの朝は早い…。本当に早い。ホテルの朝食ビュッフェをキャンセルして始発に乗るくらい早い。

というのも、さすがに鹿児島ほど大きな県になると、移動に鉄道を使わざるを得ません。今回の目的地は【指宿(いぶすき)】ですが、陸路で40kmほど。ロードバイクでは2時間かかるのと、薩摩半島から大隅半島へ渡る船の時間を考えると始発での【輪行】がベストです。

【JR指宿枕崎線】は黄色い車両がトレードマーク。質実剛健な車両は火山国にふさわしいたくましさですね。それでは6:21発の【山川】行に乗車です。

座席はラッキーなことにクロスシート。心持ちゆっくりできます。それにしても始発というのに一定の乗客がいてビックリ。通勤ラインではないと思うのですが重要な路線なんですね。

車窓からはちょうど朝陽が見える位置、そして時間。錦江湾を挟んで東からオレンジ色のお日様が顔を出します。車両内で迎える朝もいいものです。うん、旅感だ。

…らしいです。長渕剛さんのファン層は40代以上かな。今の若い子は知らないらしいので、時の移り変わりを感じますね。

単線を文字通りガタンゴトンと進む車両。南へ行くほど乗客は減ってきました。窓から見える景色もどんどん長閑(のどか)になっていきます。

約1時間の輪行で着いたところは【山川駅】。7:30ひとまずここが終点です。

早朝だからなのか、駅舎には誰もいなくて実質無人駅。少し広めの待合室で輪行を解除して、いよいよ指宿ライドに出立です。

薩摩半島のシンボル【開聞岳】とJR最南端の【西大山駅】

走り出してすぐに目的地が見えます。あれが【開聞岳(かいもんだけ)】。なんともわかりやすい円錐形の火山です。指宿のどこからでも見える存在感は圧巻。噴煙を上げる【桜島】とは対照的に、緑で覆われた優しいイメージですね。

標高は900m超。遠くからの見た目はカワイイですが、なかなかの高さと大きさです。でも自転車では登れません。

あの開聞岳のふもとにある駅を目的地としているので、まっすぐ目指せばいいだけ。南国特有の温かさと広い道路で早朝から快適ライドです。

それにしても本当にどこからでも見えますね。眺めのいいところでは思わずカメラを構えてしまいます。存在感では富士山に引けをとりません。

目的地のすぐ手前にある道の駅?【かいもん市場久太郎】。ここで情報取集を兼ねて休憩です。

店内に入って目についたのがたくさんの【絵葉書】。旅先で絵葉書を見ることはありますが、そんなに多くはないので、なぜだろうと思っていると、どうやらこの先の駅に【幸せの黄色いポスト】というのがあるらしい。「ここで書いてここで出す」というのが、一つの記念なんですねー。なるほど。

ここが目的地である【西大山駅】。小さな無人駅ですが、JR路線ではなんと【日本最南端】。

駅舎には乗客ではなく、車で来ている観光客がいっぱい。ちょっとした観光スポットですね。私も人のこと言えませんが(笑)

【開聞岳】と菜の花畑、そして【最南端の碑】とロードバイク。すべて詰め込んだ記念写真のできあがり。

ここが最南端ですが、はるか西の枕崎まで線路は続きます。

そんな最南端の駅に立つ【幸せを届ける黄色いポスト】。特にいわれがあるわけではない、まさに観光地アイテムですが…自分の家に絵葉書を送ってみるミーハーな私(笑)

高速船なんきゅう10号

さて、目的地はクリアしたので、ここからは山川港を目指します。薩摩半島から大隅半島へ戻らないと帰りのフェリーに乗ることができないので。

船の時間には少し余裕があるので、せっかくなので道草を食べながらゆるゆると港を目指して走っていきましょう。

開聞岳のふもとの【川尻海岸(かわしりかいがん)】。ここの砂浜は火山の噴出物でできた真っ黒な浜なんです。

事前調べで偶然見つけたので立ち寄ったのですが、なんとこの砂の中には【オリビン】または【カンラン石】という宝石が混じっています。1mm程度の小さな石なのでぱっと見わかりませんが、ルーペとピンセットで集めて小瓶にまとめるとキレイなんですよ。

海岸べりから見えるのは【長崎鼻】。鹿児島なのに長崎とはこれいかに。まあ、人の鼻に見えない訳でもない。

とか、ブラブラしながら山川港に着いたのが10:00。出航の30分前がマナーです。それにしても人っ気がないなあ…とチケットを買おうとしたところ、波止場のおじさんが「次の便はまだまだやで」と。

ん?時刻表を見ると確かにその通り。私が乗りたいのは高速船でフェリーじゃないけど、高速船のダイヤが載っていない?

私「高速船は??」
おじさん「高速船だったら【指宿港】やね」
私「え??山川港じゃないんだ…指宿港ってどこですか??」
おじさん「あっち。」(アゴで湾の向こうを指す)

なぬーーーーっ!!(キン肉マンの声)

なんと港を間違えていたのです。慌ててGoogleMapで調べると確かに湾の向こう、距離は6km…。急がねば!!!
残された時間は20分。距離は6km。いきなり一か八かのタイムトライアル(TT)の開始です!!

…指宿港に10:29に滑り込み!!

息切れして血相を変えた男からでっかい声で「船はでたんですか!!???」と声をかけられて、港関係者もビックリしたことと思いますが…

「なんきゅうさん?まだ到着してないよ。」

…え?なんで??これってセーフ?沖を見ても船の影は見えないし、どういうことだろう…
と、チケット券売機まで行ってみると、なんと日曜ダイヤ!10:30と思ってたのがこの日に限って11:00だったのでした。セーフ!

良かった…。全身の力が抜ける私。今までの人生で、あんなに全力でペダルを回したことはなかった(笑)

安堵感と脱力感で、その場でへたり込んで船を待つ私。そして沖からやってきましたよ。私の乗るべき船【高速船なんきゅう10号】です。

約20名乗りの船舶ですが、なんと乗客は私だけ。高速船を一人で貸し切り状態です!

と喜んでみたものの、実は赤字路線でこの後ダイヤが見直されるそう。あまりニーズはなかったのか…。

自転車はこのように船尾のスペースに括り付け。なんともワイルドな【高速船輪行】です
なんか自分のバイクが海を走っているようにも見えてカッコイイ!

そうして、わずが30分で【根占港】に到着。いよいよ大隅半島へ戻ってきました。

現在地はココ。半島をきれいに横断したら【志布志】です。残りあと60kmくらい。さっきのTTでかなり脚に来てるので無理は禁物です。時間的にもちょうどお昼なので、一旦ここで昼食としましょう。

とにかく町にしか食べ物はないので、港付近でお食事処を探していると【ねじめ温泉ねっぴー館】を発見。どうやらレストランが入っているようなので、迷わず突入です。

頼んだのは「大隅定食」。ご当地食材をふんだんに使用した定食です。…美味い!!そしてボリュームも申し分なし!!鹿児島の海の幸、山の幸を存分にいただいて、後半戦のスタートです。

鹿屋航空基地資料館で考える

根占からは比較的高低差の少ないルートを選択。やはり山川~指宿のTTで失った脚が足をひっぱります。とにかく平地でも太ももがキツイ。

補給で立ち寄ったコンビニで購入したのがコレ。BCAAの入った【キューピーコーワ アミノV】初めて見ますが、サイクリストにはうってつけですね。2錠のみというのも尚よい!プラシーボ効果もあってか、飲んでから30分くらいして脚が軽くなったかのような錯覚が。たぶん効いている!?

目的地ではなかったのですが、ルート上に突然現れた航空機。ここ【鹿屋(かのや)】には海上自衛隊の航空基地があるのです。男子的にはスイートスポットですね。

そして流れで立ち寄ったのが基地に隣接する【鹿屋航空基地史料館】。外にはたくさんの航空機が展示してあってテンションも上がったのですが、史料館に入るとその気持ちも一変。航空機の資料はともかくとして、ここ鹿屋は戦時中に特攻隊員を太平洋に向けて送り出していたのですね…。

当時の有望な若者たちが大きな時代のうねりの中で人生を捧げていった理不尽さ不条理さに、憤りと悲しみを感じざるをえませんでした。そう、ここは資料館ではなくて「史料館」。その名のとおり歴史を痛く感じた場所でした。

志布志市志布志町志布志から志布志港

航空基地資料館を後に、志布志港を目指します。脚をかばって山間部を避けたルートどりでしたが、そこには新たな敵が…

【広域農道】。それは地方を走っていると時折サイクリストに立ちはだかる壁。

地平線でも見えるかのような、ただただ真っすぐに、広く長い農道。しっかり整備がされている道路ですが、遮るものがなく容赦なく風を受ける。そして、いくらペダルを回しても景色が変わらない。走りながらも時間感覚がマヒするような錯覚さえします。

それでもたまに、こういうお友達が出迎えてくれたりするのが癒し。(笑)
お馬さんや牛さんは、この広大な空間で自分の存在を認識させてくれる大切な要素です。

広域農道でペダルを回し続け、ようやく景色が変わったとおもったら…見えたー!!我らが客船【さんふらわあ きりしま】です。ようやく志布志に到着しました。

出航まで時間があるのと、船内の夕食が若干お高いので、そのまま乗船せずにお弁当を買いに街へ出かけてみましょう。

…ということで、港近くのほっかほっか亭で「唐揚げ弁当」をゲット。なんか大分でも唐揚げ買ってたような。ところで驚いたのはレシートの表記。お店の住所が「志布志市志布志町志布志二丁目…」となんか志布志がゲシュタルト崩壊しています。

いよいよ【さんふらわあ きりしま】に乗船。この「フェリーへの乗船ゴール」というのがたまりませんねー。ベッドとお風呂と食事とお酒がいっぺんについてくる安堵感は他に代えられない(笑)

帰りは「ツーリストベッド」。ドミトリーのベッドですが乗客も少なかったので贅沢使いができましたよ。

本日のご褒美。唐揚げ弁当とビールで乾杯!船窓から見える景色もまた格別です。そして大浴場でゆっくり入浴。さいこうだー!!

鹿児島ライド2日目のまとめ

ということで、旅の3日目で鹿児島の2日目ライドも無事終了。
薩摩半島は指宿を少し回った程度でしたが、大隅半島と違った開放感あるエリアでした。

鹿児島の大きさと地理の特徴を考えると、目立ったスポットを回るだけでも、現地で3~4日が必要になると思います。今回は「海を渡る」という手段で解決しましたが、やはり物足りないですね。

鹿児島には屋久島や種子島といった離島もあるので、これからもまた訪れる場所になりそうです。

というようなことをベッドで旅ノートに記入して、そのまま寝落ち。おやすみなさいー。

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