プロローグ
「石垣島×自転車旅」も2日をかけて随分満喫できたので、旅の後半は本島を飛び出して八重山諸島をめぐってみることに。
事前に候補としていたのが「黒島」。ここには毎年ウミガメが産卵に来るビーチがあるほかは、「何もない」というのが魅力の島。南の果てにあえて観光資源に頼らないという環境というのはどんなだろう。
リゾート地に興味のない私にとっては、「黒島」は非常に興味深い場所なのでした。
…寝過ごした。「黒島」無理じゃん…。というのが、3日目朝一番の出来事。
きっとカラダが島と夏の空気に慣れていないせいだ…と勝手な言い訳をつぶやいていますが、黒島を諦めることになったのは、フェリーの時間。
石垣島にはフェリーの「離島ターミナル」があって、八重山の各島への航路があるのですが、遠くに行くにしたがって便数や時間が限られてしまいます。今日のようにタイミングを逃してしまうと「次は明日」という結果になっちゃいます。
ということで、急遽旅先を変更することに。
今回は「最も近く、素朴な島」である「竹富島」へいこう!ここなら30分おきにフェリーが出ていて、何と片道15分で到着できるという好条件です。
なので、ホテルでゆっくり準備。今日は海に入る気も満々なので、足元は現地で購入した樹脂製サンダル、通称「漁サン」で挑みます。現地の漁業関係者が好んで履くことからこの名が付いたそうな。
では、チケットを購入して…いや、今回の旅の特典で「島めぐりチケット」が使えたはず!…ということでなんと無料で往復チケットをゲットできました。
フェリーと言えど高速船、驚くほど透明で碧い海を波しぶきをあげて進みます。ものの15分で、あっというまに竹富島へ到着。
竹富島はとても小さな島。全周約9kmですが周回道はなく、島の中央3km圏内に村があり、そこから浜へ道が伸びるという交通事情。
事前調べでは、赤瓦の石垣様式の住宅、水牛での観光と石垣民謡など、昔ながらの島民生活が色濃く残る島。とのこと。
港に着くと数多くのマイクロバスやバンがつけてあって、観光客がそちらに吸い込まれて行きます。そうか、あれがレンタサイクル業者なんですね。てっきり港にあるものと思っていましたが、生活圏のある島中央部へこれで移動するわけか。
ここで取り残されてはいけないので、私も手近なマイクロバスに乗り込みます。
愛車「スーパー買い物号」で白い砂浜を目指す
着いたところは「友利観光」さん。ここで本日の愛車となるママチャリとA3サイズの島内マップ(手書き)を受け取ります。ちなみに料金は時間制となっています。
ところで、今日はロードバイクをもってきていません。これで正解。サンゴの堆積によってできたこの島はなんと浜に限らず一面が「白砂」の砂地。23cのタイヤなんて走ることさえ困難。
ということで、この島ではママチャリが正義なのです。今日一日限りですがこの白銀の「スーパー買い物号」が私の愛車となってくれます。
島の周りは360度「海」。本州も広い意味ではそうなんだけれど、小さい島ではその事実を五感を通じて知ることができます。
まず、訪れたのが「皆治浜(カイジハマ)」。白砂の美しいビーチです。
先にも書きましたがサンゴの堆積でできた島なので、砂に見えるのも元はサンゴ、すなわち「星砂」だったりするのです。
遠浅の透き通った海。浜を歩いて景色を眺めていると、沖の方にも砂浜が見える…?
そうか、遠浅だから所々の堆積地が浮島みたいなビーチになっているんだ。
そして遠浅なら…歩いていけるじゃん。なぜなら「漁サン」を履いているからさ!
ということで意気揚々と遠浅を歩いて、中州の砂浜へ到着…。
うん。「ぜっけい(絶景)」だーーーーー!!!
冬だからか、人が少ないのがまた特にいい。「絶景独り占め」というのは、旅において最高の贅沢なのかもしれません。とにかくここは楽園なのでした。
ちなみに、どうやらここは「コンドイビーチ」のよう。カイジ浜から歩いてたら、知らない間についちゃってたみたい。それほどまでに小さな島でもあります。
2月なのに…「暑い」。写真の服装を見ていただければわかるかと。
気温的に「暑い」のもそうなんですが、特に日光がスゴイ。これは日焼け止めが必須です。
ママチャリ旅的にもペットボトル2本体制で臨んでいますが、これで正解でした。
竹富島の村で現地の生活を感じる
スーパー買い物号はまだまだ進む。
ところで竹富島は、どこへ行っても「自転車置き場」が整備されています。これはとても大切なことで、むやみに自転車で自然内へ立ち入らないことで景観が守られているということ。
次に立ち寄ったのは「西桟橋」。特にひねりも何もない名前と設備ですが…これがここでは画になるんですよね。
白いサンゴの浜に、碧い海と空、その境界線へ伸びる桟橋。素敵なロケーションです。
さて、海辺は満喫できたので、今度は街…いや村に向かって買い物号を走らせます。
この島には「キロメートル」という単位は存在しないように思う。それくらいいろいろ近い。
非常に見通しの良い村落なので、島の平坦さもあって、なんとなく走りながら島の全体像が把握できていくところも面白い。
住居の石垣が人の背よりも低かったり、建物がすべて平屋づくりであったり。
台風が当たり前のように通過する島には、自然とともに生き、被害を最小限に抑えるための生活が根付いているんだなあ、と教科書で知っているはずのことを改めて学べたりもします。
穏やかな島。
この島には「分・秒」という単位もまた存在しないのではないか、なんて思ったりもします。
それほどに緩やかな時間のながれ。
沖縄民謡がゆっくりと、独特かつシンプルな音階で奏でられることは、ここの生活を見れば理解できます。
移動も徒歩か水牛であるこの島では「ゆっくりでいいや、のんびり過ごそうなー」という生活がいたって普通のことなんでしょう。きっと。
そうそう、今日は平日。学校の横を走っていたら掃除中の生徒さんが一様に「こんにちは!!」と元気に挨拶をしてくれました。これってとても素敵なことですよね。都会なんかだと知らない人には近づかない気風ができちゃっている。
教育にはその場その場に適した規模と環境があると思いますが、少なくともこの島の子どもたちは豊かな教育を受けてすくすくと成長してくれることでしょう。
のどかな島を巡ること約3時間。なにやら大体一周できてしまったよう。適当な空き地で昼食代わりに持ってきたパンをかじりながら、ほっと一息。
トータル距離は10kmも走っていない。けれど砂地にママチャリという条件ではかなり走りこんだ方かも知れない。ともかく疲れたけれど、なんだかとてもいい気分。
うん、島の空気をたくさん吸って、今日は元気をたくさんもらった日だったような気がする。これくらいがちょうどいいよね。と自分に話しかけながら「スーパー買い物号」ともここでお別れ。
最後まで、この島の空気に浸りたいから、かえりのマイクロバスはご遠慮して、歩いて港に向かいます。
ゆっくり。のんびり…。途中で牛たちにも挨拶をしながらね。
古き良き、島民の生活が残る島「竹富島」。ゆっくりママチャリライドで十分楽しめるおススメの旅先です。
こういう島がほかにもいくつかあるわけだから、やはり八重山という場所はスゴイと思う。
石垣島へ帰着、3日目ライドを終えて
ということで、あっという間に石垣港にもどってきました。15分で切り替わるこの都会感とのギャップはすごい…。
本島に帰着した後は、夕食場所を探して繁華街をウロウロ。見つけたのは「タコライス」のお店。本当はお酒も飲みたかったけれど、ホテルには買いためたお酒があるので我慢我慢。
ホテルに着いたら、ランドリーに洗濯物を突っ込んで、シャワーを浴びる。
ベランダで明かりがともった石垣の街を眺めながら、お酒とおつまみをたしなむ私。うーん、これも最高の時間の使い方かも知れない。
さあ、明日は石垣旅の最終日。いよいよ「あの島」へ渡ります。
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