【ロングライド】大台ケ原ヒルクライム/奈良の奥地に涼を求めてライド!<奈良県 上北山村>

ツールド×旅Life
ツールド夏休み【大台ケ原】

この夏は異様に暑い!!

なんていうのは毎年の決まり文句で、今年が「数十年に1回の暑さ」とか言われても納得性はとても低い。

この季節、自転車乗りには…特に暑さに極端に弱い私には、「夏に走れるのか!?」という難題が立ちはだかります。

とはいえ、乗らないと精神衛生上よろしくないので、いい候補地をネットで探索するのが夏の日課でもあるのです。

発想はいたって単純。「標高の高いところは気温が低いんだから、夏のライドも快適なのでは!?」

それを確かめに行くために、この旅の目的地となったのは標高1,500m超を誇る関西の名峰「大台ケ原」。

ロングコースのヒルクライムイベント開催地として全国でも有名な場所なんですが、私がここを訪れるのは2度目。ロードバイクをはじめたばかりの時にチャレンジしたコースでもあります。

この写真が2015年、ロードバイクの楽しさを教えてくれた「GIANT TCR composite」

あの頃はまだ若かった…(笑)

前回から約7年を空けて、現在の愛車「Cervelo R2」で暑気払いヒルクライムへ出発です!

現実的には機材の差より、加齢による体力の差が気になるところ…

大台ケ原ライドのコースと装備

今回のスタート&ゴールは奈良県上北山村。有名な「ヒルクライム大台ケ原」のコースをそのまんま走ります。

片道28㎞、獲得標高1,280mのロングクライム。平均斜度は4.7%で数字上は初心者向けに見えますが、実は後半の区間平均が約10%というかなりのヘビーなコースです。

今回は単純に往復するだけのライドにしましたが、全体で60㎞、獲得標高1,500m、実走行時間4時間30分という結果になりました。この模様はのちほど。

大台ケ原ヒルクライムの夏ライド装備がこちら。備忘録もかねて。

片道28㎞のクライムで脱水に陥らないよう、保冷のダブルボトル装備

夏はオーバーヒート予防にコンビニのロックアイス(1kg)を購入して、ボトルを氷でパンパンに。そこにミネラルウォーターを注いでおきます。で、余った氷はジップロックになっているのでそのまま背中のポケットにイン。体幹を冷やしつつ解けたら水として活用する作戦です。

あとは塩分補給タブレットの子袋を忍ばせておくと完璧。

頂上付近の気温が想像できないので、万一に備えて防風のジレを1着サドルバッグに入れておきましょう。オルトリーブサドルバッグLには、このジレとパンク修理キットが入っています。

上北山の集落をポタリング

大阪から車にバイクを積んで約2時間30分のドライブ。電車での輪行より数段疲れますね。

せっかくなのでヒルクライムに入る前に、上北山の集落をぐるりと巡っておきます。

そもそもタイムアタックでもなんでもないので、今日はゆっくり観光して2~3時間かけて頂上を目指すくらいがちょうどいい♪

古くからこの地にあるお寺「景徳寺」

林業の安全を願うため、口伝で引き継がれた「弓引き」の行事があるらしい。

村の中央を流れるのは「北山川」

きれいな川の中は、アユの友釣りや遊泳の人でにぎわっていました。

そうそう、涼しむため来たわけだけれど、ここの標高が約300m超で気温が28度くらい。この日35度予報の大阪の街に比べるとずいぶん涼しいけれど、突き刺す日光の強さは変わらず。

結局暑いんですよ…。

上北山の橋を渡ってすぐあるのは「ヒルクライム大台ケ原」のモニュメント。そしてここがレースのスタート地点。

2001年から開催されているので、もう二十歳を超えているんですね。

といっても、すぐには走り出さない私。

まずは地元の氏神様に、旅の安全を祈願しておきましょう。

「八坂神社の神様、よろしくお願いします!」

対岸にコースはないけれど、つり橋があるとなれば渡らざるを得ない!

と言いながら、タカイトコロコワイ症の私は撮れ高めあてに頑張るのでした。

緩やかな川沿いルートは心地よい田舎道

ヒルクライムの序盤の数㎞は、北山川の支流にあたる「小橡川」(とち?くぬぎ?読み方わからず)に沿った景観を楽しめる、非常にゆるい勾配区間。

川沿いの集落やきれいな水面の景色、時折斜面に現れる小さな滝の姿に、心も体も癒されます。

道幅もあり、路面状況もいいため、ゆっくり流しながら走るのがとても楽しい。

あまりの空気のきれいさ川の美しさから、シャッターが止まりません。

ヒルクライムレースの場合は、この景観を堪能せずに突っ走っていくわけだから、実は非常にもったいないのかもしれません。

秘湯「小処温泉」と秘滝「くらがり又谷の滝」へ寄り道

今回はゆっくりクライム作戦なので、気になったところには立ち寄っていきます。

7年前に分岐を素通りして、気にはなっていたゾーン「小処エリア」(読み方わからず)に寄り道。

3㎞ばかりの森林区間を走ると、そこに現れたのは「秘湯 小処温泉」

いかにも秘湯っぽく森林エリアの川沿いにポツンと一軒あるので、ぜひとも入りたかったのですが、真夏の暑さ、そして走り出しの今に入浴という選択肢はありませんでした。

そして最奥エリアに鎮座していたのが「くらがり又谷の滝」、これが非常に美しかった!!

木漏れ日が差し込む日陰の崖は、まさに「くらがり」。全8段の滝が合わさる落差50mの滝の奥行き感や立体感の迫力もすごい!

何よりあまり人が立ち入らないような秘境にあってのこの存在感には神がかった自然の力を感じました。こういうのをパワースポットというのでしょうか。

滝というコンテンツは結構頑張ってたどり着いたものの、想像と違ってがっかり。ということがままありますが、この滝は本当に素晴らしかったです。

公式見解には「七重にも八重にも」とあるので、どっちやねーーん!と思っちゃう。

容赦ない激坂区間に散る

この看板が目印。

これ以上の説明は不要です。しいて言うなら、ここまでも大体4~5%の上り坂でしたけど??

ってこと。

何気にいい感じで撮れているバイクのカット。

これを引きで見ると…

どーーん!!

平均10%を下回らない区間が、まさに延々と続きます。うーん気がとおくなる。

場所によってはこのような絶景区間もあるので、景色を見る余裕さえあれば、それなりに楽しめるルートではあるのですが、いかんせん斜度が半端ない。

脚を止めると次に走り出すのが億劫になってしまうくらい💦

というのも、この中盤で標高500m~1,200mの標高差700mをわずか8㎞で稼いでしまうから…

あと、日光が強すぎて「暑い!!!」

標高が上がれば涼しいという目論見は完全にハズレ。ボトルの氷水も追いつかずにヒート気味にならざるを得ない。

なので日陰ごとに脚をとめて小休止。幸い風だけは涼しいので、体を冷やして再出発。

この区間で、都合5回は休憩をとっています。

疲れた体には、アブが容赦なく襲い掛かってきますし、夏の山ライドはいろんな意味で危険がいっぱいです。

で、なぜだか蝶にまで止まられて、汗を吸われる私。

休憩中に、私的には珍しい自撮り。

凹面鏡なので、背が高くなって見える!!(笑)

中盤の終盤?に差し掛かると15%の坂が1㎞ほど…

もう無理だ…

ってなる頃に現れる休憩所。ここでもしっかりレストをとりましょう。

で、私はここでボトルの水が尽きてしまいました。夏場はトリプルボトルが必須になるルートですよ

休憩所から残り1㎞、最後の激坂を登り切ったら「大台ケ原ドライブウェイ」に合流です。

死ぬほどの思いをして登ってきた区間ですが、明るい看板には省略しすぎて「温泉すぐそこ」に見えちゃう看板が無慈悲に飾られています。

いやいや、降りるのにも10数kmかかるんですよ…

絶景の連続「大台ケ原ドライブウェイ」

林道からドライブウェイにスイッチすると、道幅が大きく広がります。

今までがらりと環境が変わり、尾根伝いのコースとなるのでガードレールや樹木の切れ目からはいつでも絶景が望める状態に。

おおーーーー。と感嘆の声をあげてしまう景色。

ここは奈良県。なぜか刷り込まれている「鹿と大仏」のイメージを改めないといけませんね。

奥に無限に連なる稜線には神秘性すら感じます。もののけ姫の世界観に近いかも。

ちなみにこのヒルクライムコースで、ドライブウェイは最後の10㎞を占めています

10%は超えませんが、きついところで8%程度、平均でも4%くらいのコンスタントな登りは続いています。

私はこの時ボトルの水を切らして脱水からの脚攣りが出ており、ペダルが回せないという状況になっていましたので、うち数㎞は押し歩きという無残な結果に。

時折出てくる絶景のシャッターチャンスに救われていたという状況でした。

とにかく走り出すと補給が全くできなくなるので、このルートを夏に上る方は十分に気を付けてもらえればと思います。

山の天候は変わりやすい。とはよくいうもので、中盤に痛いほど刺さっていた日光はどこかへいって、かわりにガスが立ち込めてきました。

涼しさに救わながら、奥の森にかかる雲をみて癒される私です。

激闘の末にゴール!「吉野熊野国立公園 大台ケ原」

ゴオォーーーーーール!!!

終盤は本当にヘロヘロになりながら、なんとかたどり着いた感じ。感覚的には24時間テレビのマラソンのフィナーレに近いかも。

とにかくルートのゴール地点である「大台ケ原」に無事?に到着できました。

この時点で、確実な脱水&ハンガーノック

水分と栄養を補給しないとここから下山もかなわない…ということで、山小屋になんとか入った私。

ここの食堂と自販機は、サイクリストのライフラインです。なかったら命の危険があったなあ…。

実はこの時、ノドの渇きも空腹感もなかった私。今までの経験から「これが最もヤバい状態」であることを知っていました。

とにかく何かをおなかに入れないと。ということで、水分が多そうな汁だくの牛丼とお吸い物のセット、あとウォーターサーバで大量の水を…

なんのことはないこのメニュー。食べ終わるまで40分、しかも食べながら寝落ちという相当にヤバい状態だったんです。

食後しばらくしたら、なんとか体の自由が利くようになってきたので、ウォーミングアップ代わりに大台ケ原を軽ーくウォーキング。

すでに16時を過ぎていたので、最終バスも出て車も人もまばらという状態でした。

そんな散歩中に施設の職員さんからお声掛け。

「ヒルクライム大会エントリーおねがいしますねー!」
「ありがとうございます!でも…やめておきます!」

という爽やかな会話も。(笑)

広々とした解放感あるエリアには若干冷たい風が吹いています。

ゴールして初めて「涼しい!」と感じた瞬間。やっぱり夏ライドは侮ってはいけません。

余裕があれば山道をハイキングするつもりで、SPDシューズで来たのですがその体力も気力もありませんでした。なので、本当の大台ケ原の姿は見ていないことになります。

残念だけれど仕方がない。

山の天気は変わりやすい。(2回目)

風と共にガスは晴れていって、青空が見えてきたので改めてモニュメント前での撮影。

このほうが絵になりますね。

体力も下りがこなせるほどには復調したので、大台ケ原に別れを告げてここから来た道をダウンヒルしていきます。

本当は別ルートで下りたかったのですが、この時の私はこれが限界。

幸いにして、往路でずーーっと上ってきた感覚は正しくて、ほぼペダルをまわすことなく小一時間で下山できたのでした。

旅のまとめ

ということで、わかりやすいくらい「前半調子いい、後半グダグダ」という初心者ローディーあるあるを久しぶりに体験した大台ケ原ライドでした。

今回はゆっくり観光しながら登るんだ、と思っていたのですが、さすがに大会コースということもあり中盤以降は必死のクライムとならざるを得ないルート構成にはなっています。

スタートからゴールまでを「大台ケ原ドライブウェイ」一本で走る場合は全体で20㎞、約700mUPとなるので、走りやすく景観もいいライドが楽しめると思います。

唯一恵まれたのは「お天気」。7年前もほぼ同じ展開だったのですが、その時も天気は良かったのです。

実は大台ケ原「日本で最も雨の多い場所」なので、晴れ間にライドができるというのは贅沢な環境なんですよ。これについては良かったなあ!と。

今回のツールド夏休みは「夏に涼を求めて、標高の高い場所に繰り出したら、散々な結果になった。」

というライドとなったとさ。

めでたし、めでたし。

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